ヘレンド(Herend)は、1826年に創立した陶磁器メーカーで、本社はハンガリーにあります。食器や花瓶、オブジェなどの製造で有名です。1851年のロンドン万国博覧会でビクトリア女王からウィンザー城で使うディナーセットの注文を受けたことがヘレンドの名声を不動のものにしました。19世紀のヨーロッパではシノワズリ(東洋風趣味)が大流行しており、女王がヘレンドに注文した食器は中国風の意匠と蝶がデザインされていました。ヘレンドは、現在も金魚や牡丹などシノワズリの面影漂うモチーフを取り入れたユニークな作品を発表しています。
ヘレンドを特徴づけているのが、自然のモチーフを題材にした色鮮やかな絵付けです。なかでも、グリーンの釉薬が印象的なアポニーグリーンは有名です。この他にも、野生植物を題材にしたワイルドフラワーズ、華やかな薔薇をモチーフにしたウィーンの薔薇、かわいらしい小花を散らしたミルフルールなどが人気です。ヘレンドは、細かい細工のオブジェの制作も得意としています。フクロウや猫、ウサギ、ティディベアなどの動物をモチーフとした置物やボンボン入れなど、ヘレンドの食器は古き良き時代の香り漂う優雅さを食卓にもたらしてくれます。
ヘレンドの陶磁器は、1点ごとに良く見ると絵柄の細部が微妙に違います。これは、21世紀の今でも、膨大な時間をかけて1点1点絵付けを手作業で行っているためです。当店では、人気のアボニーグリーンだけでなくその他のシリーズも買取を行っています。