時計の進化を2世紀早めた「ブレゲ(Breguet)」の歴史 -デザイン編-

2020/06/08

世界5大時計ブランドに数えられ、世界中の王侯貴族や著名人に愛された「ブレゲ(Breguet)」。また、美しく洗練された機械式時計の数々には、時計の歴史や進化を2世紀早めたと言われるほど、ブレゲ(Breguet)が開発・発明した技術が多く盛り込まれています。ここでは機構編に続く装飾・意匠・デザイン編になります。
ブレゲ(Breguet)時計画像

装飾・意匠・デザイン

ブレゲ針(1783年)

当時、時計の針の多くは、太くて装飾が多いため時刻が見づらいものでした。ブレゲはそんな時計の針一つにおいても、デザインに優れ、視認性が高いものを考案します。それこそが「ブレゲ針」で、シンプルな針の先端部を丸くして穴を空けることで視認性を高くし、月を思わせるデザインに仕上げることで上品さも兼ね備えます。「ブレゲ(Breguet)」の代名詞でもあり、この針は一流ブランドの時計にも採用されるなど、今や時計界のスタンダードとして知られています。

ブレゲ数字(1783年)

「ブレゲ針」同様、「ブレゲ(Breguet)」の代名詞として知られる「ブレゲ数宇(ブレゲ文字)」。時計の視認性を追求するために、文字盤の数字を独自の書体でデザインしたものになります。

ギョーシェ彫り(1786年)

「ギヨシェ」や「ギョーシエ」など発音により言い方が異なりますが、こちらも「ブレゲ(Breguet)」の代名詞として知られるデザイン加工の一つです。「ギョーシェ彫り(模様)」は、複数の工程により文字盤に規則的な模様を彫り込むことで、見た目の美しさはもちろんのこと、文字盤の光の反射を抑えて視認性を高くする効果を生み出しています。この「ギョーシェ彫り(模様)」もまた、現代では多くの時計ブランドが採用するほど、時計界のスタンダードとして知られています。

以上になりますが、ここで紹介させて頂いたものは代表的な一例に過ぎず、この他にも多くの「時計界の偉業」を彼は残しています。

ブランドの復活と代表モデルたち

しばらくの間、時計業界の第一線から影を潜めていた「ブレゲ(Breguet)」でしたが、パリ5大宝飾店の一つでありナポレオンの御用達ジュエラーとして知られるショーメ(CHAUMET)へ、1970年に経営権が受け継がれると、復活の狼煙をあげます。時計界の名門ジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)やオーデマ・ピゲ(AUDEMARS PIGUET)にて時計師としての実績を積んだあと、ショーメ(CHAUMET)に加わったダニエル・ロートが指揮を取ることで、「ブレゲ(Breguet)」は息を吹き返していきます。
ちなみに、ダニエル・ロートという人物は、創業者アブラアン-ルイ・ブレゲが発明した「トゥールビヨン」を世界で初めて腕時計サイズへと落とし込み、実用化した人物でもあります。
1976年にはスイス・ジュラ山脈のジュウ渓谷に工房を移転し、全ての制作工程をスイスで行うようになります。

しかし、1987年になると既にショーメからは独立していましたが、資本母体であったケリング(KERING)グループの前身であるPPR(ピノー・プランタン・ルドゥート)グループから、中東の投資会社インベストコープに売却されてしまいます。
1999年になり、時計業界三大企業グループ「スウォッチ・グループ(SWATCH GROUP)」が買収に乗り出し、傘下に入ったことでようやく現在のカタチに落ち着き、事業も回復していきます。
また、スウォッチ・グループ自体が、お互いを支え合う協同組合のようなニュアンスで大きくなったグループであったことから、「ブレゲ(Breguet)」は、その莫大な資金力を元手に、現在は研究や新技術の開発に力を入れることができるようになりました。
そして、「ブレゲ(Breguet)」を代表するタイムピースが復活を遂げたり誕生したりと、世界中から再び脚光を浴びることになります。そして、主な代表モデルが以下の通りです。
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「タイプ20」「タイプXX」(1955年)

前述の「マリン・クロノメーター」から続く軍隊との縁から、フランス海軍航空部隊向けに1955年から制作し、納品されていたモデルが「タイプ20」になります。そして、その軍用パイロットウォッチを民間用モデルとして発表されたのが「タイプXX」になります。ちなみに「XX」はローマ数字の20のことです。

「クラシック」(1972年)

原点回帰により創業者の想いが込められたシリーズで、名前の通りクラシカルでシンプルなデザインに、視認性と時計としての精度の高さを追求しており、「クラシック・コンプリケーション」といった複雑機構を搭載したモデルから、超薄型のものまで幅広くシリーズ展開しています。

「マリーン」(1990年)

「マリン・クロノメーター」の技術からヒントを得て、現代用に改良を加え誕生したブレゲ(Breguet)を代表するスポーツウォッチです。防水機能や強固な設計のケース、洗練されたデザインで人気を博しています。

「アエロナバル」(1995年) 

民間用パイロットウォッチモデル「タイプXX」の復刻モデルとして発表されたのが「アエロナバル」になります。こちらも、スポーツウォッチモデルとして、ブレゲ(Breguet)の人気モデルの一つです。

「トラディション」(2005年)

耐衝撃吸収装置「パラシュート」などアブラアン-ルイ・ブレゲが発明した複数の技術を再現し、搭載したハイスペックモデルになります。創業時の懐中時計をモチーフに制作された腕時計で、シースルー仕様の文字盤から覗く時計内部の機構は、機械式時計ファンにはたまらない作りになっています。

「トランスアトランティック」(2005年)

パイロットウォッチとして、「タイプXX」、「アエロナバル」、「トランスアトランティック」と系譜が続くモデルで、「アエロナバル」に日付表示が搭載されるなど、実用性を重視したシリーズになります。

最後に、1993年から創業者より7代目の子孫にあたるエマニュエル・ブレゲがブランドに加入し、パリにあるブレゲ博物館の館長やブレゲ家の資料の管理や研究に携わっています。このことで、創業者アブラアン-ルイ・ブレゲの残した資料から複雑機構の再現に取り組んでみたり、また創業者の魂を受け継ぐことで、時計にはタブーとされる磁気を利用し精度を高める「マグネティック・ピボット」や、機械式ムーブメントの部品にシリコン素材を導入したりと、一例に過ぎませんが創業者顔負けの発想で、新技術の開発を積極的に行っています。
このように、長い歴史を歩んできた私たちの憧れの時計ブランド「ブレゲ(Breguet)」は、進化を止めていません。

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