鑑別書と鑑定書

2015/02/24

宝石は高価なものですから、それが「どんな宝石で本物である」ということを客観的に証明するデータがあれば、買い手としては安心です。
それだけでなく、将来財産として売買をする際にも役立ってくれます。

宝石鑑別書は全ての宝石に対して出されるもので、宝石の種類と天然石かどうかについて判定するものです。
本物の宝石であれば、「天然コランダム・宝石名サファイア」のように記載されます。
またその宝石に人工処理が施されているかどうかと、施されていた場合は、どんな処理であるかも記載されます。
鑑別は宝石の屈折率、硬度、偏光性、多色性、比重などを科学的に測定し、その宝石が何の宝石であるかを判定します。
鑑別書にはたくさんの科学的データが記載されますが、それらは結果として何の宝石であるかを導きだすための情報にすぎず、もっとも大事なのは鑑別結果であると認識するのがよいでしょう。

鑑別書は石のランク付けをするものではありません。
ですので、品質に関する表記や、価格、原産地などについては記載されないのが普通です。

一方鑑定書はダイヤモンドにだけ発行される証明書です。
別名ダイヤモンド・グレーディング・レポートとも言われるこの証明書は、ダイヤモンドの品質を表す4つの基準(カラー・クラリティ・カット・カラット)に基づいて記載されます。
鑑定は専門の鑑定士が行ないます。
また、一つの宝石について二人の鑑定士が鑑定するダブルチェック制度を用いますので、客観的で正確な判定が保たれています。
このダイヤモンドの鑑定書の場合は、鑑別書とは違って、石のランク付けをするものですので、購入しようとするダイヤモンドが客観的に見て価値が高いか一目でわかります。

また、鑑定書は一粒の石に対して発行されるものです。
ですから、小さなダイヤモンドがたくさんちりばめられたものには発行されません。
また鑑別書同様、鑑定書の発行にも料金がかかります。
そのお値段はだいたい5,000~10,000円くらい。カットの違いやカラット数によっても変わることがあります。

ダイヤモンドを選ぶのに、鑑定書は重大な参考となりますが、あまりグレードばかり気にしては、せっかくの宝石選びの楽しさも半減してしまうというもの。
過度に鑑定書の結果を気にせずに、デザインやカットを含めて自分自身の目で選ぶことも大切です。