鑑別書と鑑定書とは?違い・役割・ダイヤモンド鑑定の基礎を徹底解説

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大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。

宝石やジュエリーを購入する際、「鑑別書」や「鑑定書」という言葉を目にすることが多いでしょう。しかし、この2つの違いを正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。本記事では、鑑別書と鑑定書の違い・役割・必要性を分かりやすく解説し、宝石選びや将来の売却時に役立つ知識として情報量を充実させてご紹介します。


宝石に証明書が必要な理由

宝石は高価な資産であり、見た目だけでは「本物かどうか」「どのような性質を持つ宝石なのか」を判断するのは困難です。そこで重要になるのが、第三者機関が客観的に評価した証明書の存在です。

購入時の安心材料になる

鑑別書や鑑定書が付属していることで、

  • 宝石の種類
  • 天然か人工か
  • 品質や評価基準

といった情報が明確になり、購入者は安心して宝石を選ぶことができます。

将来の売却・資産価値の証明にも有効

宝石は将来的に売却や相続の対象となることもあります。その際、鑑別書・鑑定書は価値を裏付ける重要な資料となり、査定をスムーズに進める助けになります。


鑑別書とは?

鑑別書の基本的な役割

鑑別書とは、宝石の種類や天然石であるかどうかを判定するための証明書です。ダイヤモンドを含む、すべての宝石を対象に発行されます。

例えば、サファイアの場合は

「天然コランダム 宝石名:サファイア」

といった形で記載されます。

人工処理の有無も明記される

鑑別書には、宝石に対して

  • 加熱処理
  • 含浸処理
  • 放射線処理

などの人工的な処理が施されているかどうか、また施されている場合はその内容も明確に記載されます。

科学的な検査に基づく判定

鑑別は以下のような科学的データの測定によって行われます。

  • 屈折率
  • 硬度
  • 比重
  • 偏光性
  • 多色性

これらの数値から総合的に判断し、「その石が何であるか」を特定します。ただし、鑑別書に記載されている数値自体が重要というよりも、最終的な鑑別結果こそが最も大切だと理解しておくと良いでしょう。

鑑別書ではランク付けはされない

鑑別書はあくまで「種類の特定」が目的です。そのため、

  • 品質評価
  • 価格
  • 原産地

といった価値や優劣に関する情報は原則として記載されません。

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鑑定書とは?

鑑定書はダイヤモンド専用

鑑定書は、ダイヤモンドにのみ発行される証明書です。「ダイヤモンド・グレーディング・レポート」とも呼ばれます。

4Cによる品質評価

鑑定書では、ダイヤモンドの価値を決定する国際基準である4Cに基づいて評価が行われます。

カラー(Color)

無色に近いほど評価が高くなります。

クラリティ(Clarity)

内包物やキズの有無・程度を評価します。

カット(Cut)

輝きに大きく影響する重要な要素で、唯一人の技術が反映される項目です。

カラット(Carat)

ダイヤモンドの重量を示し、数値が大きいほど希少性が高まります。

ダブルチェック体制による高い信頼性

鑑定は専門の鑑定士によって行われ、複数の鑑定士が確認するダブルチェック制度が採用されています。そのため、客観性と正確性が高く保たれています。

ダイヤモンドの価値が一目で分かる

鑑定書は鑑別書と異なり、石のランク付けを明確に示す証明書です。購入予定のダイヤモンドが市場においてどの程度の評価を受ける品質なのか、一目で把握できます。


鑑定書・鑑別書の注意点

一粒石のみが対象

鑑定書は一粒のダイヤモンドに対してのみ発行されます。そのため、メレダイヤ(小粒のダイヤモンド)が多数使われているジュエリーには原則として発行されません。

発行には費用がかかる

鑑別書・鑑定書ともに発行には費用が必要です。

  • 相場:5,000円〜10,000円前後
  • カラット数やカットの種類によって変動あり

鑑定書に頼りすぎない宝石選びも大切

ダイヤモンド選びにおいて鑑定書は非常に重要な参考資料ですが、グレードだけにこだわりすぎると宝石選びの楽しさが損なわれてしまうこともあります。

最終的には、

  • デザイン
  • 実際の輝き
  • 身に着けたときの印象

といった点も含め、自分自身の目で選ぶことが満足度の高い宝石選びにつながります。


まとめ|鑑別書と鑑定書を正しく理解しよう

  • 鑑別書:宝石の種類や天然・人工の判定を行うもの
  • 鑑定書:ダイヤモンドの品質を4Cで評価するもの

それぞれの役割を理解することで、購入時の安心感が高まり、将来的な資産価値の証明としても役立ちます。宝石を選ぶ際は、証明書の内容を正しく読み取り、賢く活用しましょう。