天然石の処理方法

2015/02/26

宝石を買う時、誰でもできれば「天然石」を手に入れたい、と思うでしょう。
人の手をいっさい経ずに、自然に育まれた宝石は稀少で、その価値も高いものです。
しかし、全くの天然石というものは非常に少なく、市場に出回る宝石は、多少なりと人工処理が施されているものがほとんどです。

宝石の処理には、「加熱処理」や「含浸処理」などいろいろな種類があります。

宝石は、地球内部で圧力と熱により育まれますが、その熱や圧力が足りなかったものも多々あります。
そういったものに人の手で圧力と熱を加える事により、宝石の美しさを引き出すのが加熱処理です。
しかし、何でもかんでも加熱処理をすれば美しくなる訳ではなく、あくまで宝石の潜在的な美しさを引き出すだけです。
加熱処理を施して美しくなった宝石の価値がない訳ではありませんので、過度に反応する必要もありません。

もう一つよく利用されるのが含浸処理です。
こちらはエメラルドなどの内包物の多い宝石に施される事が多いです。
宝石の原石をカットする際、内部から液体がでてしまうことがあります。
そうなると、石の内部に隙間ができてしまい白っぽく濁って見えたり、隙間に研磨剤が入り込んで、石の美しさを損ねてしまったりすることがあります。
それを防ぐ為に、石を洗浄してから、できた隙間に無色透明のオイルや樹脂をしみ込ませ、元に戻すのです。
これは宝石の強度を保つ意味もあります。

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このように処理と言っても、極端に宝石を変質させるわけではなく、理由があって施されているのです。

ただし、天然石以外の合成石や人造石、模造石などが宝石と呼ばれ、きちんと表記されていないこともありますので、それがどんな石でどのような処理が施されているのかは、きちんと確認してから購入するのが賢い方法と言えるでしょう。
合成石や人造石、イミテーションに関しては、一概に悪いという訳ではなく、「カジュアルシーンでおしゃれを楽しむためのもの」と認識するのが良いのではないでしょうか。

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