ダイヤモンドの語源とその歴史
最終更新日:2025/11/19

大嶋 雄介
2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。
◾️ 目次
ダイヤモンドは古代から人々を魅了し続けてきた宝石です。
その唯一無二の輝き、圧倒的な硬度、希少性から「宝石の王」とも呼ばれ、現代でも特別な意味を持つ存在として愛されています。
ここでは、ダイヤモンドの語源、発見から価値の変遷、紛争ダイヤモンド問題、有名なダイヤモンドの逸話まで、奥深い歴史をわかりやすく紐解きます。
ダイヤモンドの語源と意味
ギリシャ語「アダマス」が語源
ダイヤモンドという言葉は、ギリシャ語の adamas(アダマス)=「征服できない・最も強い」 を語源とすると言われています。
この語は “adamazein” → “adamant” と変化し、否定の “a” が取れた形が現在の diamond に繋がったという説が有力です。
日本名「金剛石」が示す強さ
日本ではダイヤモンドを「金剛石」と呼びます。
これは仏教用語「金剛=壊れないもの」に由来し、硬度の高さを象徴しています。
石言葉が表すダイヤモンドの魅力
ダイヤモンドの石言葉は
「純潔」「永遠の絆」「不屈」「純愛」
これらは、婚約指輪や結婚指輪にダイヤモンドが選ばれる大きな理由の1つです。
特別な瞬間にふさわしい意味を持つ宝石であることがわかります。
ダイヤモンドの歴史を紐解く
古代ローマでは価値が低かった?
意外にも、古代ローマ時代のダイヤモンドの価値は現在ほど高くなく、ルビーの8分の1以下 だったとも伝わります。当時は硬さ以外の魅力が知られておらず、宝飾品としての価値は低かったようです。
インドでの発見と工業用としての利用
最初にダイヤモンドが発見されたのは インドの川。
硬い石として川底に見つかることが多く、当初はその硬度を活かした「道具」として扱われていました。
研磨技術の誕生で価値が急上昇
ダイヤモンドが宝石として評価され始めた大きな転換点は 15世紀ベルギー。
「ダイヤモンドをダイヤモンドで磨く」技術が確立されたことで、美しい光を放つ宝石としての価値が一気に高まりました。

ダイヤモンド市場とユダヤ人の歴史的関係
ダイヤモンドの歴史には、ユダヤ人商人の存在が欠かせません。
迫害や移住を強いられながらも、
ヴェニス → ブリュージュ → リスボン
と拠点を移しながら、卓越した商才をもって世界のダイヤモンド取引を支え続けました。
19世紀末〜20世紀初頭には、ユダヤ人のセシル・ローズが創業したデビアス社が世界のダイヤモンド産地の 9割以上 を支配するほどになり、その影響は現代のロンドンやイスラエルにも色濃く残っています。
紛争ダイヤモンドの語源と現実
ブラッドダイヤモンドとは
一部のダイヤモンドは
「ブラッドダイヤモンド(血塗られたダイヤモンド)」
と呼ばれることがあります。
これは、アフリカの紛争地域で反政府組織などがダイヤモンドを採掘し、
その売却益を戦費として利用していたことに由来します。
ダーティダイヤモンド、ウォーダイヤモンドと呼ばれることもあります。
キンバリー・プロセスによる改善
2000年に南アフリカで採択された キンバリー・プロセス によって、紛争に関与していない「正当なダイヤモンド」だけを流通させる仕組みが整備されました。完全な解決には至っていませんが、日本では2003年以降ほとんど流通していない とされています。
歴史に名を刻む有名ダイヤモンド
リージェント・ダイヤモンド
・原石約410カラットの巨大ダイヤ
・ナポレオンが戴冠式で着用
・盗難事件を経て、現在はルーブル美術館に展示
その美しさとエピソードから「王家の宝石」として知られています。
ホープ・ダイヤモンド
・珍しいブルーダイヤモンド
・所有者に不幸が続く「呪いのダイヤ」として有名
・マリー・アントワネット → ホープ家 → スミソニアン博物館へ
今も多くの人々の興味を引き続ける神秘的な宝石です。
まとめ:語源と歴史が深めるダイヤモンドの価値
ダイヤモンドの語源「アダマス」が示す通り、その強さと輝きは古代から人々を魅了してきました。
インドでの発見、研磨技術の誕生、ユダヤ人商人の活躍、紛争ダイヤモンドという悲しい現実、有名ダイヤの逸話など、ダイヤモンドの歴史には多くのドラマがあります。
その輝きは単なる装飾品ではなく、人類の歴史と文化が積み重なった象徴 ともいえるでしょう。



