末永く使うために…ダイヤモンドの性質を理解しよう
最終更新日:2025/11/19

大嶋 雄介
2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。
◾️ 目次
ダイヤモンドは「地球上でもっとも硬い鉱物」として知られています。しかし、その魅力や耐久性を支えているのは硬度だけではありません。
実は、日常の取り扱いに関わるさまざまな性質を持っており、それらを理解することで、ダイヤモンドをより長く、美しく保つことができます。
本記事では、ダイヤモンドの代表的な性質をわかりやすく解説し、普段のお手入れ方法まで詳しくご紹介します。
ダイヤモンドの代表的な性質とは?
1. 鉱物中で最高ランクの「モース硬度10」
モース硬度とは、鉱物同士をこすり合わせた際にどちらに傷がつくかで判断する硬度の指標です。
1が最も柔らかい(滑石)で、10が最も硬い物質となります。
ダイヤモンドはモース硬度10を誇り、傷がつきにくい鉱物の代表格です。
この圧倒的な硬さの理由は、炭素原子同士が規則正しく結合した強固な原子構造にあります。結合方向に歪みがほとんどなく、1つ1つの炭素原子が強く結びつくことで、ダイヤモンド独自の硬さが生まれています。
しかし、硬度が高い=すべてのダメージに強いわけではありません。

2. 衝撃には弱い?「靭性(じんせい)」という性質
硬度とは別に、衝撃や割れへの強度を示す「靭性」という指標があります。
ダイヤモンドは硬度こそ最大級ですが、靭性は水晶と同程度とされており、
ハンマーなどで強い衝撃を与えると割れる可能性があります。
また、ダイヤモンドには「劈開(へきかい)」と呼ばれる、特定方向に力が加わると割れやすい性質もあります。有名な“職人がダイヤモンドを割る映像”は、この性質を利用したものです。
そのため、
「硬いから絶対に割れない」と思って無造作に扱うのは禁物です。
3. 油とよくなじむ「親油性」
ダイヤモンドは油に非常に馴染みやすい「親油性」を持っています。
そのため、人の皮脂やハンドクリーム、化粧品などの油分が表面に付きやすく、輝きがくすむ原因になります。
宝飾店や職人が白手袋やピンセットでダイヤを扱うのは、
「高価だから丁寧に扱う」だけでなく、この親油性による汚れ付着を防ぐためでもあります。
また、親油性は真贋判定のヒントにもなり、油が馴染む場合は本物の可能性が高いと言われています。
4. 日常環境に強い「高い安定性」
ダイヤモンドは化学的にも非常に安定した鉱物です。
- 酸で溶けない
- 日光にも強い
- 酸素とも反応しない
鉄や銀は酸化によって錆びたり変色したりしますが、ダイヤモンドはその心配がほとんどありません。
この“環境変化に強い性質”こそが、ダイヤモンドが「永遠の輝き」と称される理由のひとつです。
ダイヤモンドの性質から考える日常のお手入れ方法
これらの性質を踏まえると、日々の取り扱いやお手入れに気をつけるべきポイントが見えてきます。
1. 保管は「個別に」
モース硬度10のダイヤモンドでも、ダイヤ同士が擦れ合えば傷がつきます。
ジュエリーボックスにまとめて放り込むのはNG。
1点ずつ個別ケースに入れる、柔らかい袋に収納する など、接触を避ける工夫をしましょう。
2. 使用後はクロスで皮脂をオフ
親油性が高いため、1日着けているだけでも皮脂や化粧品が付着し、輝きが曇ります。
帰宅後は柔らかいクロスで優しく拭き取る習慣をつけましょう。
3. くすみがひどい場合は中性洗剤で洗浄
輝きが落ちてきた場合は、次の方法で簡単にケアできます。
- 中性洗剤をぬるま湯に数滴入れる
- ダイヤモンドをやさしく浸け置き
- 柔らかいブラシ(歯ブラシ)で軽くこする
- しっかりすすぎ、クロスで水気を取る
ほとんどの汚れはこの方法で十分に落とせます。
4. 強い衝撃には注意
硬度は高いですが靭性は高くないため、
「硬い=壊れない」と思って扱うと破損の原因に。
家事や運動時には外すなど、意識して衝撃から守りましょう。
まとめ|性質を理解してこそ、ダイヤモンドは“永遠”になる
ダイヤモンドは硬度の高さだけでなく、靭性・親油性・安定性といった多様な性質を持っています。この性質を理解することで、毎日安心して着けられるだけでなく、将来にわたってその美しい輝きを保つことができます。
「永遠の輝き」を守るのは、あなたの日々の扱い方次第。
大切なダイヤモンドと、どうぞ末永くお付き合いください。



