指輪(リング)の起源・由来について

2018/10/03

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装身具の代表格として、今や結婚をはじめとする儀式や装飾品の一部として一般に定着している「指輪(リング)」。
その起源、はめる指の意味、様々な種類の指輪における由来を説明していきたいと思います。

指輪(リング)の起源

現在はすっかり装飾品やアクセサリーとしての側面が強い指輪ですが、そもそものルーツを辿っていくと、魔除けや護符、地位や身分の証明、婚約や既婚のしるし、武器などの目的から装身具として始まったと言われています。
指輪の起源については、麻や葦などの植物の紐で結び目を作り、魔除けや無病息災などのおまじないとして体の一部分に巻く風習から始まったとも言われていますが、今から3000年以上前の紀元前の古代エジプトではすでに指輪は存在していたそうで、遺跡から出土した宝飾品の中には、金や銀の指輪があったそうです。
その後、指輪を身につける文化は古代ギリシア・古代ローマに広がり発展していきます。

ヨーロッパにおける指輪(リング)の歴史

古代ローマはじめとするヨーロッパに指輪が伝わると、権威の象徴として、また願い事を叶えるため、両手にたくさんはめる人も現れほど多くの人々に用いられるようになります。
婚約の証として指輪を贈る習慣が始まったのも、古代ローマ時代からと言われています。歴史資料によると、当時のローマ人が、鉄の指輪を婚約の誓約のしるしとして贈ったことが書き記してあります。
そして、結婚指輪の原型も同時代に誕生します。
だた現代のように男女がお互いに指輪を贈り合う習慣は行われておらず、当時の結婚は、家と家の子孫繁栄のための手段であり、契約という意味合いが強かったため、契約証として花嫁側の家に指輪を贈る習慣だったようです。
結婚の証として指輪が公にみなされたのは、9世紀のローマ教皇ニコラウス1世によるところだと言われています。
現代のような結婚指輪の交換は、11世紀頃の記録に初めて登場します。その後、この習慣はヨーロッパ各地に広がっていきました。
中世ヨーロッパのフランスでは「ギメルリング(知恵の輪のようにいくつかのリングを重ね合わせることでひとつになるリング)」が、「永遠に離れることのない愛」などのモチーフとともに結婚指輪として人気を博します。
また、左手の薬指に指輪をはめる習わしも、心臓に直結する静脈が左手の薬指と直接つながっていると考えられていた古代エジプトにまで遡り、1614年には「ローマ典礼儀式書」において、指輪を左手薬指にはめることは「誠実と貞節の証」と説いたことから、当時の結婚の貞操観念と重なり、カトリック信者たちを中心に広まっていったと言われています。

アジア・日本における指輪(リング)の歴史

アジア、特に中国ではその起源は定かでありませんが、紀元前にはすでに存在していたという説もあります。
また指輪を中国語では「戒指」と書き、「指を戒める」つまり直訳すると「(指で)まちがいを起こさぬよう注意する」という意味になります。
古来中国では、男性の権力の象徴として、女性の装身具として「戒指」は用いられていたそうです。
権力者がまちがいを起こさないように、当時女性の月経は不浄と考えられ身体に触れないように、という戒めの意がこめれれていたと言われています。
日本においては、中国から縄文時代ごろに伝わり、シャーマンなどが呪術的な意味を持つ証として身につけていたり、埋葬の際に副葬品としての役割があったとされています。
その後、日本の歴史から指輪はほぼ消えてしまい、再び文献などで登場するのは、江戸時代になってからだと言われています。当時は「ゆびがね」や「ゆびはめ」と呼ばれていました。明治時代になると、鎖国もなくなりキリスト教が普及し始めると、指輪の文化は瞬く間に日本中に広がります。

指輪(リング)の種類とその由来について

婚約指輪(エンゲージメントリング・エンゲージリング)

現代ではプロポーズの際にサプライズで贈る指輪としても有名ですが、前述で紹介させていただいたように、婚約指輪の歴史は古代ローマから始まり、両家の家族間での「結婚の約束の契約」のしるしとして、花婿から花嫁の家へ贈られていたと伝えられています。
15世紀になると、富裕層の間で婚約指輪にダイヤモンドが使われるようになりました。
ただし、当時はまだカッティング技術や研磨の技術が少なく、採掘された自然の形状のものが用いられていたようです。
現代に通じるダイヤモンドがヨーロッパにおいて婚約指輪に採用されはじめたのは、19世紀末頃だと言われています。
日本においては文明開化の明治以降、真珠や誕生石で作られた指輪を婚約指輪として贈っていましたが、戦後の高度経済成長期にそれまで制限されていたダイヤモンドの輸入が解禁となり、さらに「婚約指輪は給料の3ヶ月分」と謳ったダイアモンドジュエリー会社のCMで拍車がかかり、婚約指輪はダイヤモンドというイメージが定着したそうです。

結婚指輪(ウェディングリング・マリッジリング)

結婚指輪は、結婚の証として指輪を男女で交換し日々身に着けて、はめている人が結婚していることを証明しますが、現在のスタイルが定着したのは、11世紀以降のヨーロッパだと言われています。
英語表記はウェディングリング(wedding ring)で、マリッジリング(marriage ring)は和製英語です。
円い輪を描く指輪は「永遠の愛」を象徴し、自身の分身として交換することで、夫婦の絆を深め、離れているときでも指輪が2人の愛を守るという言い伝えがあります。
国や宗教によって、はめる指は左手もしくは右手の薬指になり、ペアリングとして日々身につけることから金属製の結婚指輪が一般的になり、欧米では指輪の素材として腐食しにくい点から金(ゴールド)が用いられることが多くなりました。
一方、 日本に結婚指輪が広まったのは明治時代で、キリスト教の普及が由来していると言われています。
大正時代には広告効果もあって、以降習慣として根付きました。
また、指輪のデザインとしては甲丸(こうまる)と呼ばれ、指輪の断面が半円形に近い形をした歴史的にも長く採用され続けている基本的なデザインが多く好まれ、日本では板にのっているかまぼこに似ていることから「かまぼこ」や「かまぼこ型」と呼ばれました。

地位・身分・職種を証明する指輪

古代より地位や身分、職業がその指輪をはめていることで見た目でわかるような装身具としての指輪もありまます。
例えば、ローマ教皇の指輪は「漁師の指輪 」と呼ばれ、初代のローマ教皇ペトロが漁をする姿が彫り込まれています。
その他にも、枢機卿に選ばれた時に教皇から授けられる「枢機卿の指輪 」、神との永遠の契約を示した「聖職者がつける指輪」、古代ローマでは武勇の印とした鉄の指輪「騎士の身分を表す指輪」などが有名です。

魔除けとしての指輪

不死のシンボルが刻印された指輪や、邪気を寄せ付けないよう霊力が宿るとされる貴石がついた指輪など、いつも身体に身につけて魔除けとして用いられたものもあります。

その他にも、未亡人が身に着ける「寡婦指輪」、王が使者に持たせる王の印章がついた「認印指輪」、足の指にはめる指輪、武器としての指輪などがあります。

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はめる指の意味について

指輪には古来より神秘的な力が宿ると伝えられ、左右の手やはめる指によって願いや意味が異なると言われています。

左右の手について

古来より、指輪をはめる手にも意味があるとされ、右手は現実の力を現し「権力と権威」を象徴、左手は想う力を現し「服従と信頼」を象徴すると言われています。特に左手は右手よりも心臓に近いため、心や精神性にまつわる意味付けがされたそうです。

指について

・親指(サム)

親指は、リーダーや指導者の指と言われ、権力や権威を象徴し、信念を貫き意志や望みがかなうという意味があると言われています。古代ローマでは婚約指輪以外の指輪は、すべて親指にはめると望みが叶うとされました。
また、戦場で弓を引く時に、親指を保護するための指輪としても用いられました。親指にはめる指輪を「サムリング」と言います。

・人差し指(インデックスフィンガー)

人差し指は、成功・積極性・導き教える行動や開拓を象徴し、集中力や相手との意思疎通が高まるという意味があると言われています。また、ヨーロッパでは、大胆という意味もあるそうです。人差し指にはめる指輪を「インデックスリング」と言います。

・中指(ミドルフィンガー)

中指は、トラブル回避・直感やひらめきを象徴し、将来に対する予測や生き方について道を切り開くという意味があると言われています。
また、ヨーロッパでは、分別という意味もあるそうです。中指にはめる指輪を「ミドルフィンガーリング」と言います。

・薬指(リングフィンガー)

薬指は、古代より心臓に直結する静脈が左手の薬指と直接つながっていると考えられていたため、指輪をする指としての意味から英語で「リングフィンガー」と呼ばれるようになったそうです。愛や結婚・創造を象徴し、精神の安定や愛の絆を深めるという意味があると言われています。
また、手の指の第四指つまり薬指は、日本では「お姉さん指」 や 「名無し指」 や「紅差し指」など、中国は「無名指」 、ヨーロッパの一部の国でも「名無し指」と呼ばれています。なぜ名前が無い指なのかと言いますと、呪文や魔法をかけるときに、その対象の名前を呼びますが、(魔除けという意味においても)一番大切な指に名前がなければ、呪文や魔法はかけられないからという言い伝えがあるからだそうです。
薬指にはめる指輪の呼び名は数々ありますが「アニバーサリーリング」「エンゲージメントリング」「ウェディングリング」「マリッジリング(和製英語)」などが代表的なものとなります。

・小指(リトルフィンガー)

小指は、チャンスや秘密を象徴し、チャンスを求めたり願いを叶えるという意味があると言われています。
また、ヨーロッパでは、傲慢という意味もあるそうです。小指にはめる指輪を「ピンキーリング」と言います。

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今日に至る指輪の事情

昨今、指輪(リング)は日常の装飾品として、ファッションの一部として、広く一般に浸透してきました。素材もゴールド(金)・シルバー(銀)・プラチナ(白金)などをベースに、ダイヤモンドやパールなどの宝石を配したものや、廉価なものまで幅広く存在しています。
また、デザイン面や制作技術においても、世界的に有名なジュエラーを先頭に発展してきました。
「ティファニーセッティング」で有名なティファニー(TIFFANY & Co.)、各国の王室御用達ブランドであり「王の宝石商、宝石商の王」と称されるカルティエ(Cartier)、洗練したデザインで世界中のセレブに虜にしたブルガリ(BVLGARI)、「キング・オブ・ダイヤモンド」や「スターたちのジュエラー」と称されるハリーウィンストン(HARRYWINSTON)、「世界五大ジュエラー」と「グランサンク」の両方に名を連ねるヴァンクリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)、「21世紀のキング・オブ・ダイヤモンド」と称されるグラフ(GRAFF)など、もはや指輪(リング)は、その起源や由来を昇華し人々を魅了し続けています。

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