ベルルッティの歴史(Berluti)

2018/09/05

イタリア人の靴職人により、フランスにて靴専門のメゾンとして創業したベルルッティ(Berluti)は、今や極上のレザーを扱う100年以上続く老舗高級ブランドです。そのデザインは芸術の域に達し、手がけた靴は「靴の宝石」と呼ばれるほどです。そんなベルルッティ(Berluti)の歴史を辿っていきたいと思います。

ベルルッティ(Berluti)の始まり

芸術的な美しさを誇る革靴が有名なベルルッティ(Berluti)。その愛用者にはパブロ・ピカソやアンディ・ウォーホルも名を連ねるほどです。
そんなベルルッティ(Berluti)の創業者であるアレッサンドロ・ベルルッティは、1865年にイタリアのアドリア海に面したセニガッリアで生まれました。19歳になると、のちに世界の芸術の中心的な街として開花するフランス・パリに出て、1895年にビスポーク(カスタムメイドによる受注生産)の紳士靴メゾンを開き、ベルルッティ(Berluti)の歴史が始まります。
完全主義者だったアレッサンドロの作る靴は、靴型からデザインや素材、履きやすさに至るまで徹底的にこだわり抜き、美意識の高い当時のパリのセレブ層に支持されました。
のちにベルルッティ(Berluti)を代表するラインナップとなる「アレッサンドロ」は、当時のアレッサンドロ自身が創り出し、一枚の革を使用した縫い目が無い革靴として、彼の技術の高さが伺える代表作です。
そして、機能性と芸術性を兼ね備えたアレッサンドロの革靴は多くの顧客を抱え、息子であるトレッロ・ベルルッティに2代目として継承されていきます。
トレッロもまた、父譲りの完璧主義者で、革靴にかける情熱はさらにベルルッティ(Berluti)を大きく開花させ、1928年にはモンタボー通りに工房兼ブティックを開設します。
トレッロの息子であるタルビーニオ・ベルルッティは、小さい頃より父から経営を学び、第二次世界大戦後に3代目に就任するとベルルッティ(Berluti)の近代化を進め、様々な変革をもたらしました。
1959年には、今までのカスタムメイドによる受注生産だった靴製作だけでなく、高級既製靴の生産をスタートさせます。また、紳士靴以外にレディースコレクションを発表し、新たな顧客を獲得することに成功しました。
タルビーニオにより、ベルルッティ(Berluti)は世界的ブランドとして発展していきます。
ベルルッティ(Berluti)財布画像

マダム・オルガの登場

タルビーニオの功績により、事業は順調に拡大し、1960年代に入ると4代目として、タルビーニオの従姉妹にあたる、オルガ・ベルルッティへ受け継がれます。
オルガは幼少期をイタリアで過ごし、パリに渡り叔父である2代目トレッロの影響を受けました。
ベルルッティ(Berluti)を語る上で、オルガの存在は欠かせません。
のちに象徴となる数々の技術・技法や定番モデル、逸話など、現在のベルルッティ(Berluti)の代名詞は、4代目オルガ・ベルルッティの登場により、女性ならではの新しい視点から、技術の革新と芸術的感性がブランドにもたらされたからです。
まずは、ベルルッティ(Berluti)で使われている高級革素材「ヴェネチアレザー」です。こちらは、ベルルッティ(Berluti)のみが使用を許された門外不出の革であり、独自の鞣し(なめし)技術により、しなやかさと密着感などの伸縮性に優れ、手染めによる加工は発色性にも優れています。これをメゾンで初めて使い始めたのがオルガです。
次に、そのヴェネチアレザーに施す特殊な染色技法である「パティーヌ」は彼女が完成させ、グレー・緑・黄など、紳士靴になかった多彩な色使いを取り入れました。
また、デザイン面でも今や定番となったアンディ・ウォーホルのためにデザインしたと言われるローファー「アンディ」や「ウォリアー」、入れ墨のような革新的デザインの「タトゥー」などその力量を発揮しました。
そんなオルガには逸話も多く、彼女の顧客でもあった当時のイギリス王室のファッションリーダー・ウィンザー公より、王室に伝えられる靴紐の結び方「ウィンザーノット」を伝授されたり、「靴を磨きなさい。そして、自分を磨きなさい」と彼女が残した有名なこの言葉には、「靴への愛情」や「靴の美学」が込められ、今もベルルッティ(Berluti)のアイデンティティとなっています。
そんなオルガは、仲間や顧客たちから「マダム・オルガ」や「色の魔術師」と呼ばれ尊敬を集めました。
ベルルッティ(Beluti)財布画像

今も進化し続けるメゾン

ベルルッティ(Berluti)は、1993年にルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)などで有名なLVMH (モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)のグループ傘下に入ります。
一方メゾンとしては、トータルファッションブランドとして進化を続けます。新たな技術として、18世紀のフランス貴族たちが交わしていた手紙をモチーフにした、革の表面に文字のようなデザインをする加工技術「カリグラフィ」が完成します。
2005年には、バッグ・財布・ベルトなどのラインをスタートさせ、高級革素材のヴェネチアレザーを使用した「アンジュール」や「エミーオ」などのバッグが人気を博します。
2011年にはレディ・トゥ・ウェア部門(プレタポルテ)にも進出し、翌年には初のプレタポルテコレクションを発表しています。
ベルルッティ(Berluti)は、「扉は開かれるためにある」と謳っている通り、幾多の変革を遂げながらも、新たな扉を見つけ絶えず進化し続けています。
現在に至るまで発表されてきたレザー製品の数々は、芸術的なデザインはもちろんのこと、「過程」を楽しみ丁寧に手入れをすることで美しさが増す素材感など、今も高価であるにもかかわらず世界中の著名人や文化人から愛され続けています。
ベルルッティ(Berluti)財布画像

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