カメラの歴史
2015/06/02
誰でも気軽に写真を撮れるようになった現代。
その背景にはたくさんの人々の努力によって、カメラを開発、進化させてきた歴史があります。
そこで今回は、カメラはいつ誕生し、どういった経緯で現在のようなかたちになっていったのか、その進化の軌跡についてご紹介します。
カメラの原理そのものは1000年前にもあった?!
工学的に画像を捉えるというカメラの原理は、意外と古くからありました。
今から1000年ほど前の1021年、アラブの科学者であるイブン・アル=ハイサムが、イメージスクリーン上へ画像を投影する「カメラ・オブスクラ」という装置について、「光学の書」という書物に記述しています。
しかしこの段階では、画像を保存する方法がまだ開発されていませんでした。
画像保存ができるようになったのは18世紀以降
画像の保存が可能になるのは、18世紀以降です。
まず1724年にドイツの解剖学者であるヨハン・ハインリヒ・シュルツェが、銀とチョークの混合物に光を当てると黒くなることを発見。
この原理を基に、1824年に世界初の写真である「ヘリオグラフィ」の仕組みを考案して撮影したのが、フランスの発明家であるジョセフ・ニセフォール・ニエプスでした。
ニエプスが考案した仕組みは、まさにカメラの原理そのもの。
アスファルトピッチでコーティングした鉛と錫の合金プレートを、レンズを透過させた光にさらすと光に当たった部分が硬化するため、光が当たらず硬化しなかった部分のアスファルトピッチを後から溶解させることで画像を残せるというものでした。
ただし、この方法は露光時間が8時間ほど必要だったと言われています。
その後1839年にルイ・ジャック・マンデ・ダゲールによって発表されたのが、史上初の実用的な写真技術である「ダゲレオタイプ」。さらにこの技術を採用してジルー商会が発売したのが「ジルー・ダゲレオタイプ・カメラ」です。
これが後に誕生するアナログ式カメラの原型となりました。
画像の保存材料は、リチャード・リーチ・マドックスが1871年にガラス式の写真乾板を発明し、一般化していきました。
その後、ガラス式よりも軽くて便利な写真フィルムが次々に登場します。
まずは1885年に紙のフィルムがアメリカのジョージ・イーストマンにより創始され、1889年にはセルロイドのフィルムが発表されました。
小型フィルムカメラは20世紀以降に登場
20世紀に入ると、カメラは急速に広まっていきます。
その頃主流だったのは、画質が良いという理由でガラス乾板を使用した木製の大型カメラでした。
1910年以降には、35㎜幅のフィルムを使用した小型サイズのカメラが欧米各国で開発され始めます。
その中でも最も成功を収めたカメラは、1925年にドイツの光学機器メーカーであるエルンスト・ライツが発表した「ライカⅠ」をはじめとするライカ・シリーズです。
これが画期的であったのはカメラ本体だけでなく、極めて高性能なレンズや画角サイズの異なる交換式レンズ、引き伸ばし機を総合的に開発、販売したことでした。
江戸時代に日本にもカメラが到来
日本にカメラが伝えられたのは江戸時代である1848年のことで、オランダ商人の手によるものとされています。
1903年には小西商店(コニタミノルカ)から、日本初アマチュア向けカメラとして「チェリー手提暗函」が発売されます。
その後は1919年にペンタックスの製作会社である旭化学が創業。1936年には35㎜のレンジファインダーカメラがキヤノンより発売されるなど、本格的にカメラの国内生産が始まります。
1950年代以降には、日本のカメラが世界で高く評価され始めます。
朝鮮戦争時に日本製カメラの堅牢性や精密性が証明され、米兵たちが買い求めて本国に持ち帰ったのがきっかけと言われています。
それ以降現在でも、キヤノンやニコンなどは世界的なブランドとして認知され続けています。
このような長い歴史を経てきたカメラ。
1つの製品をより長く大切に使いたいものですが、新製品が次々と登場する現代ではつい目移りしてしまいますよね。
新しいカメラを買う時には古いカメラを下取りに出してはどうでしょうか。
カメラの購入資金の足しにもなりますし、まだまだ使えるカメラを自宅で眠らせてしまうことのない有効な手段だと言えます。