色や傷に処理を施したダイヤモンドとは
最終更新日:2025/07/31


大嶋 雄介
2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。
◾️ 目次
ダイヤモンドの価値に関わる「処理」とは?
ダイヤモンドは天然のままでも美しい輝きを放つ宝石ですが、色の濁りや小さな傷がある場合、それらを人工的に補正する処理が施されることがあります。これらの処理は、見た目を美しく仕上げる目的で行われますが、ダイヤモンドの本来の価値や市場価格に大きく影響を与えるため、正しく理解しておくことが大切です。
ダイヤモンドの色処理とは?
天然のカラーダイヤモンドと処理石の違い
自然界から産出されるダイヤモンドには、無色透明なものだけでなく、さまざまな色味を帯びた「カラーダイヤモンド」も存在します。紫、青、緑、オレンジ、赤など多様なカラーがありますが、特に希少性が高いのはブルーやピンクなどの色味です。しかし、これらの天然カラーダイヤモンドは非常に稀少で高価であるため、市場に流通することはまれになり、カラーダイヤのように見えるものの中には類似石や人工的な色処理が施されたものが多数含まれています。
色処理の具体的方法
主に「放射線照射」や「加熱処理」が使われ、例えばライトイエローやライトブラウンのダイヤモンドに放射線を照射することで、ブルーやブルーグリーンに変化させることが可能です。その後加熱することで、オレンジ、イエロー、さらにはピンクやレッドへと色が変化することもあります。このような処理は科学的にコントロールされているとはいえ、処理後の色が完全に予測できない場合もあり、ある意味で偶然性を楽しむ側面もあります。
色処理されたダイヤモンドの価値と見分け方
市場価値の違い
天然のファンシーカラーダイヤモンドは、1カラットあたり数十万ドルにもなるほどの高値が付く場合があります。一方、人工的な色処理が施されたダイヤモンドは、同じサイズでも数千ドル未満と大きな価格差があります。これは、元々の石の品質が異なることや、処理の有無によって「稀少性」や「天然性」が損なわれるためです。
見分けるポイント
色処理ダイヤモンドの判別は一般の消費者には困難になります。しかし、基本的には色処理をしたものは鑑別所等に記載されるため、一般消費者は購入時の鑑別書から判断する必要があります。専門家は「色の均一性」や「光の屈折具合」などから処理の有無を判断します。
ダイヤモンドの傷処理(含浸処理)について
ダイヤモンドは本当に傷がつかない?
「ダイヤモンド=世界で最も硬い天然物質」とよく言われますが、それはあくまで「硬さ」であり、衝撃に対する「靭性(じんせい)」は高くありません。特にジュエリーとして加工されたダイヤモンドは、ファセットやエッジの部分が欠けやすくなることがあります。
傷を隠す「含浸処理」
こうした傷や天然の傷を目立たなくするために行われるのが「含浸処理(フラクチャーフィリング)」です。透明な樹脂やワックスなどを微細なクラックに浸透させることで、傷が光を反射しづらくなり、見た目が改善されます。ただし、この処理はダイヤモンドの輝きや透明度に影響を及ぼし、顕微鏡やルーペを使えば処理の痕跡が確認できます。
傷処理ダイヤモンドの流通と注意点
日本国内では傷処理ダイヤモンドの流通は比較的少ないものの、海外、特にアメリカの市場では一般的に流通しています。そのため、海外から個人輸入したジュエリーには、こうした処理が施されている可能性も否定できません。
また、国内の中古市場では色処理や含侵処理をしたものはほぼ値段がつかないため天然ダイヤは存在するリセールバリューは期待できなくなります。
購入前には、信頼できる販売元か、処理の有無を記載した鑑定書を確認するようにしましょう。
処理石でも魅力はある?購入時の考え方
「人工的に処理された」と聞くとネガティブな印象を持たれる方も多いですが、すべてが粗悪品というわけではありません。もともとのダイヤモンドの品質が悪くないものも多く、適正な価格で、リセールを望ま無いのであればあれば、十分に価値ある選択肢です。特にファッション用途や普段使いであれば、天然ダイヤモンドにこだわらず、色処理されたものを気軽に楽しむという考え方も有効です。
まとめ:正しい知識で賢くダイヤモンドを選ぼう
色や傷に処理が施されたダイヤモンドは、天然のダイヤモンドとは異なる価値基準で評価されます。しかし、それぞれに魅力があり、目的や予算に合わせて賢く選ぶことで、満足のいくジュエリー選びが可能になります。処理の有無を確認するためにも、信頼できる販売店や鑑定機関を利用することが重要です。