加熱処理をしたサファイアとしていないサファイアの違い
2015/11/18
「サファイアを加熱処理する」と聞くと、あまり良い印象を持たない方もいるかもしれません。
しかし、現在流通しているサファイアの中で非加熱処理のものを探すのは、かなり困難なことだと言えるほど、サファイアの加熱処理は一般的になっています。
では、この加熱処理とはどんな事をしているのでしょうか?
加熱処理しないものとの違いはどんなところにあるのでしょうか?
サファイアの加熱処理とは?
現在市場で目にするサファイアのうち、9割以上、つまりほとんどのサファイアが加熱処理されたものだと言われています。
サファイアの加熱処理は、500~1600度もの高温で石を加熱し、化学反応を起こして淡い色の石を濃い目に変えたり、内部の汚れを除去したりする目的で行われます。
ただし、石の内部の組織を壊してしまうことも多いので、美しいインクルージョンを持つ天然サファイアにとっては、加熱処理が必ずしも最良の処理だとは言い切れません。
非加熱処理のサファイアとは?
流通している大多数のサファイアが加熱処理されたものという現状において、非加熱処理のサファイアに出会えるのは奇跡に近いことです。
もちろん、全くないというわけではありませんが、出会えたとしても価格はかなり高くなることが予想されます。
石の内部に見える美しいシルクインクルージョンがあるのは非加熱サファイアの証。
絹の糸のように見えるきれいな内包物は、高温で処理する際に溶けてしまうことが多いので、これが確認できれば非加熱のサファイアだと考えて良いかもしれません。
そうした石に出会えたときは、形や色、価格に納得できるのであれば、チャンスを逃さず手に入れるべきだと言えるでしょう。
加熱処理のメリット・デメリットは?
加熱処理のメリットとしては、やはり石の色が美しく仕上がることがあげられるでしょう。
サファイアの醍醐味は輝きとその色を楽しむことにありますので、「大きさや形は良いが、色はあまりパッとしない」というサファイアを加熱することで、色と輝きが増すのであれば必ずしも加熱処理が悪いものだとは言えません。
デメリットとしては、先に書いたようにキレイなシルクインクルージョンが壊れてしまうことがあげられます。
天然の美しさをわざわざ壊してしまうのは、石にとっても見る人にとっても非常に残念なことだと言えます。
また、加熱処理されたものと確認しないまま購入してしまう可能性があることもデメリットとしてあげられます。
処理済みかどうかは、目利きの職人が見ればすぐに分かりますし、難しい場合は大手機関で鑑定することもできます。
加熱サファイアは非加熱サファイアと比べると価値が大きく異なりますので、購入する際はしっかりと確認しましょう。
理想の天然サファイアに出会えたのであれば、奇跡に近いチャンスだと言えますが、現状ではなかなかそのチャンスに巡り合える可能性は少ないと言えます。
加熱処理することでそのサファイアの魅力がグンとアップするのですから、加熱処理は選択肢の一つと言えるのかもしれません。