宝石のグレードを判断する8つの項目

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大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。

宝石選びにおいて直感も大切ですが、専門的な評価基準を知っておくことで、より確かな判断が可能になります。見た目の美しさだけではわからない宝石の本質を知るために、ここでは「グレードを判断する8つの項目」を詳しく解説します。


1. 色相(ヒュー)

色の系統と評価

宝石の色相とは、基本的な色合いを指します。無色系の宝石では、黄色や茶色、グレーがかっていると評価が下がりますが、色石(カラーストーン)では色の鮮やかさや深みが価値に直結します。色がはっきりと出ている宝石は、高評価につながります。


2. 透明度(クラリティ)

内外の透明感がカギ

宝石の透明度は、美しさを左右する最も重要な要素のひとつです。とくにダイヤモンドでは、内包物や濁りの有無がグレードを決定づけます。外側だけでなく、内部の透明度もチェックし、光の通り方や反射具合を見極めましょう。


3. 彩度(サチュレーション)

純粋な色味の強さ

彩度とは、色の鮮やかさを表す指標です。純色に近ければ近いほど彩度は高く評価され、くすみや他の色の混入が目立つ場合は、彩度が低いと判断されます。例えば、サファイアが灰色がかっている場合、彩度が低いとされます。


4. 多色性(プレオクロイズム)

光の角度による色の変化

多色性とは、石に光が当たる角度によって異なる色に見える現象を指します。濃いブルーのサファイアが緑や紫に見えることがあるのはその一例です。必ずしも欠点ではありませんが、強すぎると宝石の評価に影響を与える場合があります。


5. 形(なり)

プロポーションと仕上げの精度

「形(なり)」は、宝石のプロポーション、輪郭、仕上がりを総合的に評価する項目です。バランスの悪いカットは輝きを損ね、石本来の魅力を引き出せません。実物を手に取り、対称性やカットの深さ、光の反射などを確認することが重要です。


6. ウィンドウ・色むら・色の豊かさ

均一性と原石のポテンシャル

色の豊かさは原石の品質に左右されます。一方で、色むらやウィンドウ(特定箇所の色抜け)はカットの精度や色のかたよりが原因となります。とくにカラーダイヤモンドでは、無色部分があると全体の評価が下がる傾向にあります。


7. インクルージョン(内包物)

美観に与える影響を評価

インクルージョン(内包物)は、天然石には避けられない存在ですが、その位置や大きさ、種類によっては美しさを大きく損なうこともあります。ルーペや顕微鏡を使って、石全体の輝きに悪影響がないかを多角的に確認しましょう。


8. 蛍光性(フローレッセンス)

紫外線による光の反応

蛍光性とは、紫外線を照射した際に宝石が発する光のこと。ダイヤモンドではこの反応が強すぎると、カラーや透明度に影響を与えることがあります。ただし、蛍光性は天然石の証でもあり、適度であればむしろ高評価となる場合もあります。

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宝石選びにおけるグレード判断の重要性

宝石の評価は複数の視点から行われ、単一の基準では決まりません。今回紹介した8つの項目は、宝石鑑定士や業界のプロフェッショナルが用いる判断基準として広く採用されています。これらを理解しておくことで、自身の審美眼を鍛え、納得のいく宝石選びができるようになるでしょう。