エルメス(HERMES)の歴史

2021/06/03

世界中の誰もが憧れるバッグ「ケリー」や「バーキン」など名作を生み出した、フランスが誇るラグジュアリーブランド「エルメス(HERMES)」。実は、コングロマリットなどのブランドグループには一度も属さず、6代に渡る一族経営を続けていることは意外と知られていません。今回はそんな「エルメス(HERMES)」の歴史や名作誕生の由来について、辿ってみたいと思います。
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一族6代に渡るエルメス(HERMES)の栄光

もはや世界中でその名を知らない人はいないと言っても過言ではない、フランスを代表するラグジュアリーブランド「エルメス(HERMES)」。
そんな「エルメス(HERMES)」ですが、多くのラグジュアリーブランドが、LVMH (モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)やケリング(KERING)といった、巨大ラグジュアリー・コングロマリット(直接の関係を持たない複合企業体)の傘下に属すことが潮流となるなか、創業から6代に渡り一族経営を続けている稀有なブランドでもあります。

創業者であるティエリー・エルメスは、1801年に当時フランス領であった現ドイツ・クレフェルドに生まれます。ティエリーの父は、地元で酒場を営んでおり、幼いティエリーは、酒場に乗りつけたお客の馬車の整備や馬の世話をしていたと言われています。特に、馬車に使われる馬具の整備が地元で評判を呼び、わずか13歳でパリに出て、馬具屋の見習い職人として修行に励みます。その後、馬具の製作だけでは物足りず、皮革のなめしや選定も学び極め、1837年パリに自身の馬具工房を構えます。これがエルメス(HERMES)の始まりになります。彼が製作する最高峰の馬具はたちまち人気を博し、パリ万国博覧会においては、1867年に銀メダル、1878年にはグランプリを受賞するほどでした。

ティエリーの息子シャルル・エミール・エルメスが2代目を継ぐと、1880年には工房を移転し店舗を併設します。この移転先こそが現在のフォーブル・サントノーレ通り24番地にある、エルメス(HERMES)の本店になります。そしてここから、高級馬具の直接販売を始め、ヨーロッパ中に名声を轟かせていきます。1892年には、馬具の鞍を入れるための鞄「オータクロア」を製作します。この「オータクロア」こそが、後にエルメス(HERMES)の代名詞となるバッグ「バーキン」の前身となります。

シャルル・エミールの息子エミール・モーリス・エルメスが3代目として就任した頃、世の中は馬車から自動車の時代に変貌を遂げていきます。この社会変化に柔軟に対応し、現在に至る「エルメス(HERMES)」の基盤を作ったのが、3代目エミール・モーリスです。馬具で培った技術で、バッグをはじめとする皮革製品、シルク製品などの販売を展開していきます。1923年に発表されたバッグ「ブガッティ(後のボリード)」は、世界初のバッグにファスナー(ジッパー)を取り付けたことで有名です。そして、1927年に腕時計、1937年にはこちらも後にブランドの代名詞となる初めてのシルクスカーフ「カレ」を発表しました。そのほかにも、香水、メンズワードローブとしてシルクのネクタイなど、多角的に事業を広げていきます。

4人の娘の父であったエミール・モーリスは、1951年に次女の娘婿であったロベール・デュマに4代目を託し、「エルメス(HERMES)」は目覚ましい発展を遂げていきます。ロベール・デュマ・エルメスとなった彼は、シルクスカーフ「カレ」をはじめとする、先代の時代に発表したラインの名声を押し上げるとともに、1935年に自身がデザインし発表したバッグ「サック・ア・クロア」は、1956年にグレース・ケリーが手にしていた報道が世界中に映されたことで爆発的な人気を博し、後に「ケリー・バッグ」の呼び名でブランドの象徴となります。また、現在も人気を誇るブレスレット「シェーヌ・ダンクル」も彼の代に生まれました。

ロベール・デュマの息子で、1978年に5代目に就任したジャン・ルイ・デュマは、「エルメス(HERMES)」をさらなる高みに飛躍させていきます。時代のニーズに沿った経営戦略で、当時中高年を中心とした購買層を、若い女性中心のターゲット層に転換し、ブランドイメージを刷新することで見事成功に導きます。その代表例が、1984年に発表された、イギリスの人気女優ジェーン・バーキンの名をとった「バーキン」になります。

そして2006年ジャン・ルイ・デュマが退任すると、後継としてまだ若かった甥のピエール・アレクシィ・デュマに代わり、ジャン・ルイ・デュマの右腕として活躍したパトリック・トマが、創業一族以外で初めて一時的な中継ぎ役として経営の舵取りを担います。2013年正式にピエール・アレクシィ・デュマが6代目に就任し、エルメス(HERMES)は現在に至ります。
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伝統から培った「エルメス(HERMES)」の特徴と名作

世の中には数多くのブランドが存在しますが、その中で「エルメス(HERMES)」は価格ひとつ取っても格の違いを感じさせるブランドと言えるのではないでしょうか。
では、その違いはどこにあるのかと言えば、その最大の特徴は、「究極のクラフトマンシップ」と「高品質の素材へのこだわり」、そして「最高の人材」と言えます。
馬具工房から始まったエルメス(HERMES)ですが、その技術力はのちにフランス皇帝やロシア皇帝を顧客に持つほど高く評価されました。現在も、エルメス(HERMES)の工房においては、1人の職人が最初から最後まで全ての工程を担当し、製品一つ一つ手作業で作り上げます。また、すべての製品において誰がどこの工房で作ったか管理されており、修理の場合など全従業員の半分を占めると言われる製造部門の職人たちが、完璧なアフターケアで「究極のクラフトマンシップ」を存分に発揮しています。時代に逆行するような生産体制ではありますが、これこそが「ブランドへの信頼の証」であり、エルメス(HERMES)の製品が「一生モノ」と言わしめる所以でしょう。
そして、エルメス(HERMES)と言えばバッグや財布をはじめとする「皮革製品」が有名ですが、レザーひとつとっても「高品質の素材へのこだわり」は強く、ブランドの基準を満たす希少な高品質のレザーを探し、それが世界的に有名なタンナー(なめし革業者・皮革製造業者)であっても、仕入れる品質に妥協を許しません。
また、「最高の人材」といえば創業一族のポテンシャルの高さもさることながら、デザイナーたちも錚々たる顔ぶれです。特にレディースのプレタポルテ(高級既製服)のデザイナーには、マルタン・マルジェラ、ジャン=ポール・ゴルチエ、クリストフ・ルメールなどが活躍しており、そんな「最高の人材」を採用できるのは、やはり格の高さがあるからと言えるでしょう。

そんな「エルメス(HERMES)」ですが、数十年の長きにわたり人気を2分する名作が存在します。これこそ、憧れのバッグとして名高い「ケリー」と「バーキン」です。

「ケリー・バッグ」の愛称で知られる「ケリー」は、前述でも触れたように後に4代目となるロベール・デュマが、1935年にデザインし「サック・ア・クロア」の名で発表されたバッグで、1956年にモナコ公国の妃となったアメリカの女優グレース・ケリーが、マスコミから妊娠中のお腹を隠すために持っていたバッグとして有名になり、その彼女の人気にあやかり、商品名を「ケリー」に変更しました。時代を超えた不動の人気を誇り、婦人用バッグにおけるデザインの代名詞として、さまざまなブランドからこのデザインに似たバッグが販売されています。本家エルメス(HERMES)においては、人気のサイズパターンとして「ケリー25」「ケリー28」「ケリー32」「ケリー35」の大きく4つが展開されています。

そして、もう一つのアイコンバッグ「バーキン」。エルメス(HERMES)最初のバッグと言われる、1892年に製作された馬具の鞍を入れるための鞄「オータクロア」が、原型と言われています。時を経て、5代目ジャン・ルイ・デュマが偶然飛行機でイギリスの女優で歌手のジェーン・バーキンの隣に座ったことがきっかけで誕生しました。二人の会話の中で生まれた、彼女が理想とするバッグをエルメス(HERMES)が「オータクロア」をベースに再現しました。収納力や機能性を兼ね備え、中古市場において価値が下がりにくいバッグとしても有名で、人気のサイズパターンとして「バーキン25」「バーキン30」「バーキン35」「バーキン40」の大きく4つが展開されています。

その他にも「エルメス(HERMES)」の人気定番ラインとして、1923年に「ブガッティ」の名で発表され、バッグに世界初のファスナーを採用した「ボリード」、ブランドの頭文字「H」の金具が特徴的なショルダーバッグで、アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの妻ジャクリーンが愛用していたと言われる「コンスタンス」、美術品や絵画を見るような芸術的なデザインでコレクターも多いシルクのスカーフ「カレ」など、たとえ高額であっても、人々を魅了してやまない不朽の名作たちが揃うのもまた「エルメス(HERMES)」の特徴であり、格の高さと言えるでしょう。
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時を超えて受け継がれる「エルメス(HERMES)」の真価

なぜ「エルメス(HERMES)」の製品が、こんなに人々の羨望を集め価値が高いのか、その最大の理由に「希少性」が挙げられます。
前述でも紹介させていただいた通り、1人の職人が全工程を担当し、一つ一つ手作業で作り上げるため、クオリティは非常に高いが生産には限界があります。また、人気ラインのオートクチュール(オーダーメイド)などは、良い素材が入らないと製作しないため、手元に届くのが数年待ちなど当たり前と言われています。
つまり、一般的なブランドと比べると需要と供給のバランスが逆転しており、欲しい人が多いのに上客にしか売らない、それでも買いたい人は待つ、といった特異な販売形態が存在するのです。
そのため「エルメス(HERMES)」の製品は、極めてリセールバリュー(再販価値)が高く、「身に着ける資産」と言われることもあります。実際に「バーキン」などは、オンラインによるラグジュアリーバッグの売買を手掛ける海外企業「Baghunter」の調査報告によると、株や金( GOLD)と比較して、個人資産を投資する対象の中で「一番優良な投資先」と発表しています。そして、中古買取市場においても購入金額以上で取引されるケースが多いのが、「エルメス(HERMES)」のような希少性が高く、世界的に根強い需要があるアイテムなのです。

最後に「エルメス(HERMES)」は、コロナ禍において多くのブランドが経営的なダメージを受けているなか、2020年度の売上高はほぼ無傷でした。また、世界的な流れでもある地球温暖化など環境問題におけるサステイナビリティの取り組みにも積極的で、企業としての評価も上がっています。
では、なぜ人々は「エルメス(HERMES)」に魅了されるのか。そのヒントは、「エルメス(HERMES)」のロゴに描かれていると言っても良いでしょう。
有名な「デュック(四輪馬車)とタイガー(従者)」のロゴには、馬車の主人は描かれて(乗って)いません。そこにはエルメス(HERMES)の哲学が込められており、主人とは「お客様」を指し、エルメス(HERMES)は最高の製品(馬車)とサービス(従者)を提供させていただきますが、それを上手に使いこなすのは「お客様」次第、といった理念が貫かれています。これこそが180年以上の歴史の中で、世界中から支持され続ける「エルメス(HERMES)の真価」の全てなのです。

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