エルメス(HERMÈS)がこだわるレザーとは
2019/08/29エルメス(HERMÈS)といえば「ケリー」や「バーキン」といったバッグが有名ですが、なぜ希少で高価なのかご存知でしょうか?そこには全ての制作工程を手作業で作り上げること、そして厳選された希少で良質な最高級レザーのみを使うという「こだわり」があるからです。今回はそんなエルメスで使われているレザーについてご紹介させていただきます。
なぜ人々はエルメス(HERMÈS)の皮革製品に魅せられるのか
誰もが知るフランスの世界的なラグジュアリーブランド「エルメス(HERMÈS)」。その始まりは1837年に馬具工房からスタートし、のちにフランス皇帝やロシア皇帝を顧客に持つほどその技術は高く評価されました。エルメスといえば「皮革製品」、と言われる所以はこの原点があるからでしょう。
近年おいては、多くのハイブランドが鞄や財布などの皮革製品を制作する工程を効率化する中、エルメスは創業以来の伝統を貫き、効率化とは真逆を行く全ての作業工程を高い技術力を持った職人たちが一つ一つ手作業で行うことで、最高品質のラインナップを世に送り出しています。
もちろん、エルメスの代名詞となった「ケリー」や「バーキン」も同様の工程で作られています。
また、エルメスの製品は長く愛用されることを想定しているため、長持ちする高品質の素材を採用しています。皮革製品であるならば、世界トップクラスのタンナー(なめし革業者・皮革製造業者)から仕入れた、厳選された最高級のレザーを使います。
エルメスの製品は、決して安いものではありませんが、高品質の素材を用い、職人の高い技術力と完璧なアフターケアに裏打ちされた「安心=一生モノ」ということが、時代を超えて人々を魅了してやまない理由なのではないでしょうか。
最高のクラフトマンシップと御用達タンナー
かつてエルメスのCEOが、「当社は高いクラフトマンシップを誇るが、それだけでなく、エルメスの基準を満たす天然素材を探し、それを確保するべく投資していくことも重要な仕事だ。」と言ったように、エルメスの看板であるバッグや財布をはじめとする皮革製品には、最高のクラフトマンシップと希少な高品質のレザーが欠かせません。
一つに、最高のクラフトマンシップとはどのようなものなのか。
エルメスの工房は、1人の職人が最初から最後まで全ての工程を担当し、一つ一つ手作業で作り上げます。
そのため、世界中からのオーダーに応えるだけの職人の人数は限られているため制作できる数も限られ、その結果納品までに数年待ちといった状況が起こり、アイテムの希少性が高くなってしまうのです。
ただし、すべての製品においてどこの工房で誰が作ったのかが分かるようになっており、修理の場合などはその職人が受け持つため、完璧なアフターケアによる「ブランドへの信頼の証」が生まれ、絶大な人気を確立しているのです。
そして、もう一つ希少な高品質のレザーにおいては、エルメスの革への強いこだわりがあり、世界的に有名なタンナー(なめし革業者・皮革製造業者)からも、仕入れる品質に妥協を許しません。
ここで、エルメス御用達の代表的なフランスのタンナーを紹介したいと思います。
タナリー・デュ・プイ社
フランス・オーヴェルニュ地方にある、1948年創業の老舗タンナーで「デュプイ」として知られています。世界のハイブランドたちも「デュプイ」のレザーを使っていることが品質の証としてのステイタスになる程です。
通常のタンナーがなめしにかける作業工程の3倍以上の時間をかけ、最高品質の優れた革を作り出します。
ことにエルメスに関しては、その革の中からさらに厳選して買い付けをしています。
アノネイ社
上記の「デュプイ」から1984年に独立したフランスのタンナーで、世界最高峰のタンナーのひとつです。世界的に有名な高級靴のブランドの数々もアノネイ社の革を仕入れているほどです。
特にボックスカーフ(生後6ヶ月までのオスの子牛の革)が有名で、エルメスの代表的な書類バッグ「サック・ア・デペッシュ」にも採用されています。
エルメス(HERMÈS)がこだわり抜いた最高のレザー
エルメスのアトリエには、世界中から仕入れた最高品質の革が、天候による劣化が起こらぬよう厳重に保管されています。
その種類も膨大で、牛革を筆頭に山羊革・水牛革・ワニ革など様々です。
ここで、エルメスがこだわる代表的なレザーの一部を紹介したいと思います。
ヴォー クリスペ トゴ(Veau Crispe Togo)
1997年から使われるようになった、通称「トゴ」で知られる雄の子牛革です。エルメスの定番の革で、革の風合いが楽しめ、適度な柔らかさで扱いやすく、摩擦にも強いため、バックや財布・小物など、幅広いアイテムで使用されています。
トリヨン クレマンス(Taurillon Clemence)
エルメスのレザーの中で一番使われている、雄牛レザーです。しっとりした柔らかい質感はエルメスのレザーの中でも群を抜いていて、キズや摩擦にも強く、その耐久性から「ガーデンパーティー」「リンディ」「ピコタン」などをはじめとした様々なアイテムに使用されています。
ヴァシェット クリスべ フィヨルド(Vachette Crispe Fjord)
通称「フィヨルド」で有名な雌の子牛革です。マットな質感と程よい柔らかさで、防水・耐水性にも優れていて「ガーデンパーティー」などの普段使いのバッグなどに使用されています。
ボックスカーフ(Box Calf)
世界最高品質のレザーの一つと言われる生後6ヶ月までの雄の子牛革です。しっかりとした硬さと、加工を施した光沢が美しく、「サック・ア・デペッシュ」を筆頭にエルメスのアイコンバッグには欠かせない素材です。前述のタナリー・デュ・プイ社でも作るのが簡単では無いと言わしめるレザーです。
ヴォー エプソン(Veau Epsom)
2003年から使われている、型押しされた雄の牛革です。細かな革目の型押しが施され、型崩れしにくい硬い質感が特徴で、エルメスのアイテムに幅広く使われています。現在人気のレザーの一つです。
ヴァシェット グレネ アルデンヌ(Vachette Grainee Des Ardennes)
ベルギー南東部からフランスにまたがるアルデンヌ地方の雌牛の革に、プレス加工されたレザーです。エルメスの中でも人気の素材の一つでしたが、現在は廃盤で、中古品でのみ購入が可能です。
ヴォー グレネ クシュベル(Veau Graine Couchevel)
雄の子牛革にガラス加工が施されたレザーです。キメの細かい質感と上品な光沢で人気の高い素材でしたが、現在は廃盤となっています。
ヴォー スイフト(Veau Swift)
2003年から使われている、雄の子牛革です。滑らかでしっとりとしたスムースな質感と発色の良さから、エルメスの中でもカラーアイテムに使われることが多いです。
ヴォー バレニア(Veau Barenia)
雄の子牛革で、マットな質感と防水性に優れた素材です。使い込むほどにツヤ感や味わいが出てくるため、エルメスの皮革製品でも人気素材の一つです。また、時計のベルトなどにも使われることがあり、アップルウオッチ・エルメス(Apple Watch Hermès)のレザーバンドにも採用されていることで有名です。
以上になりますが、そのほかにもエルメスがこだわる上質レザーは多々あります。
エルメス曰く良いレザーとは、「厳選され、美しく、そして感動をもたらすもの」であり、「手が呼ばれているような、つい触れたくなるレザー」と言っています。
また、この世に一つしかない一点ものであるレザーには「素材に対する敬意が必要」とも言っています。
ここに、エルメスのレザーにおける哲学のすべてが語られているのではないでしょうか。
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