21世紀のキング・オブ・ダイヤモンド「グラフ(GRAFF)」の歴史
最終更新日:2025/07/18


大嶋 雄介
2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。
◾️ 目次
英国ロンドン発のハイジュエリーブランド「グラフ(GRAFF)」。一代で世界最高峰のダイヤモンドジュエラーにまで上り詰め、「21世紀のキング・オブ・ダイヤモンド」と称されるまでになりました。この記事では、創業者ローレンス・グラフの情熱と挑戦、そして歴史的なダイヤモンド作品の数々を通じて、グラフが築き上げた伝説をご紹介します。
ローレンス・グラフという人物
少年時代とジュエリー業界への第一歩

ローレンス・グラフは1938年、ロンドン東部のステップニーに生まれました。15歳で「セントラル・スクール・オブ・アート・アンド・クラフツ(現:セントラル・セント・マーチンズ)」に通いながら、ジュエリー工房で見習いとして働き始めます。雇用主からは見込みがないと言われるも、18歳で独立を決意。経験豊富な宝石商と共に修理工房を立ち上げ、自らの手で道を切り開いていきました。
クラスターリングで一躍脚光を浴びる
小粒のダイヤモンドを組み合わせ、まるで大粒のような輝きを放つ「クラスターリング」のデザインで注目を浴びたローレンス。贅沢かつ革新的なデザインが顧客に評価され、1960年、22歳で「グラフ・ダイヤモンズ社(GRAFF)」を設立。以降、彼の快進撃が始まります。
グラフのグローバル展開とブランドの確立

ハットンガーデンから世界へ
1962年にはイギリスの宝飾業の中心地ハットンガーデンに店舗を構え、世界各国からダイヤモンドの原石を買い付けるネットワークを構築。中東やアジアの王族・富裕層を顧客に取り込み、ブランドの地位を急速に確立しました。
自社一貫体制と卓越したクラフトマンシップ
グラフは原石の仕入れから研磨、デザイン、セッティングに至るまでを自社一貫で行う体制を構築。徹底した品質管理によって、唯一無二のジュエリーを生み出し続けています。
歴史に名を刻むグラフのダイヤモンド

ザ・パラゴン(The Paragon)
1990年に発表された「ザ・パラゴン」は、米国宝石学会(GIA)から最高評価「D」カラーを獲得した希少なダイヤモンド。まさにグラフの審美眼と技術力を象徴する逸品です。
ザ・グラフ・レセディ・ラ・ロナとヴィーナス
2015年にボツワナで発見されたテニスボール大のダイヤモンド原石を購入し、最高品質のカットを施して誕生した「ザ・グラフ・レセディ・ラ・ロナ」。またその一部からは、ハート型の「ザ・グラフ・ヴィーナス」が誕生しています。
ザ・スター・オブ・ボンベイとその他の名石
1974年、インド王家の象徴とされるイエローダイヤモンド「ザ・スター・オブ・ボンベイ」を入手。さらに「ザ・インペリアル・ブルー」「ザ・ゴールデン・エンプレス」など、数多くの歴史的なダイヤモンドを手がけています。
グラフの挑戦と未来

名誉と栄光の軌跡
ローレンス・グラフは1973年に「クイーンズ・アワード」を初受賞。以降も3度の受賞、さらには叙勲を受けるなど、業界内外からその功績が讃えられています。1993年にはロンドンの高級ショッピングエリア「ニューボンドストリート」に本店を移し、2000年からは世界中に店舗を展開しています。
社会貢献とサステナビリティ
グラフは南アフリカをはじめとする鉱山国に拠点を構え、福祉活動にも力を入れています。ダイヤモンドの産地との強固なパートナーシップを築くことで、地域社会にも貢献する姿勢を貫いています。
代表的コレクションとその魅力

アイコニックな「バタフライ」コレクション
ローレンスのラッキーモチーフである蝶をデザインに落とし込んだ「バタフライ」シリーズは、グラフを象徴するコレクション。そのほか「クラシックグラフ」「ボウ」「ニュアージュ」「エタニティ」など、卓越した技術と芸術性が融合した作品が揃います。
ダイヤモンドウォッチの展開
近年では、貴石を使用したラグジュアリーウォッチをレディース・メンズともに展開し、ジュエリーの可能性をさらに広げています。
おわりに|グラフの哲学と未来への展望
グラフは「1カラット以下のダイヤモンドは扱わない」とされるほど、大粒かつ高品質な宝石へのこだわりを貫いています。その哲学は今もブランドの核として息づき、卓越した職人技によって、貴重な原石を完璧なジュエリーへと昇華させています。
「21世紀のキング・オブ・ダイヤモンド」と称されるグラフ(GRAFF)の伝説は、これからもジュエリー界に新たな光を灯し続けることでしょう。