ゴヤール(GOYARD)の歴史

2020/02/06


160年以上の歴史を誇るフランスの老舗ラグジュアリーブランド「ゴヤール(GOYARD)」。最上級のトランクやバッグをはじめとするアイテムの数々はそのクオリティの高さ故に、今も昔も世界中のセレブリティから熱狂的な支持を得ています。今回は、そんな「ゴヤール(GOYARD)」の歴史について紹介したいと思います。

フランス最古参の老舗ブランドの始まり

歴史に登場する世界の王族や富豪・政治家・芸術家などが顧客に名を連ね、妥協を許さない徹底した最高水準の物作りで、今も世界中のセレブリティから愛され続けているフランスの老舗ラグジュアリーブランド「ゴヤール(GOYARD)」。
日本での知名度は、ここ10数年で徐々に広まりましたが、その歴史は古くピエール・フランソワ・マルタンにより1792年に創業した「メゾン・マルタン」がブランドの前身になります。
「メゾン・マルタン」は、旅行用の木箱や梱包用品の専門店としてスタートしますが、同じフランスで後の1854年に創業するルイ・ヴィトン(Louis Vuitton) よりも前に、衣装や貴重品などの梱包からトランク(旅行用鞄)でいかに美しく包装し持ち運べるかを追求していました。
当時のメゾン・マルタンの看板には、「ボックスやケースを種類豊富に取り揃えております。併せて、丁寧な梱包をご提供。壊れやすい家具や貴重品、帽子、ガウン、花などもオイルドキャンバス、キャンバス、わらを使って安全に梱包いたします。その他、馬車用やコート掛け用のトランクに、オイルクロスや防水加工を施したキャンバス布にいたるまで、すべて適正価格で販売いたします。」と書かれていたそうです。
そして、メゾンの評判はたちまち当時の上流階級の人々の間に広まり、いくつかの貴族の御用達メゾンとして成長します。
1800年代に入ると、フランス・パリの市内中心部であるサントノレ通りに移転し、現在も同じ場所でゴヤール(GOYARD)が本店を構えています。

そんな成功を収めたピエール・フランソワ・マルタンには、後継者となる跡継ぎがいませんでした。そこで自身が後見として面倒をみていたポリーヌという女性の婿に、当時従業員として働いていたルイ・アンリ・モレルを迎え後継者としました。
メゾンを譲り受けたモレルは、「メゾン・マルタンの後継者」を名乗り「モレル社」を立ち上げます。

「メゾン・ゴヤール」と「ゴヤールディン」の誕生

そんな順風満帆のモレル社に、フランスのブルゴーニュ地方で2世紀以上前から水上筏(イカダ)での木材運送業を経営していたゴヤール家のエドメ・ゴヤールという人物がパリに移住をきっかけにモレル社に就職し、1845年にはその息子であり当時10代後半だったフランソワ・ゴヤールという青年が、モレルの弟子として入門します。
当時マルタンも健在だったため、二人の師匠の元で腕を磨き技術の継承を受けたフランソワでしたが、1852年にモレルの急逝によりメゾンを引き継ぎます。
翌年の1853年には、自身のメゾンとして「メゾン・ゴヤール 」に社名を変更し、ここにブランド「ゴヤール(GOYARD)」が誕生しました。
その後、30年余りの期間に「メゾン・ゴヤール 」は、フランソワの手によって大きく成長を遂げます。
この間の1860年には、現在のゴヤール(GOYARD)の礎を築いた息子のエドモン・ゴヤールが生まれます。
1885年になると、そのエドモンが父フランソワの跡を継ぎ、経営者としてメゾンに数々の革新をもたらします。

なんと言っても彼の最大の功績は、ゴヤール(GOYARD)の象徴とも言えるキャンバス地「ゴヤールディン」を生み出したことです。
1892年に発表された「ゴヤールディン」は、代々ゴヤール家が営んでいた筏(イカダ)を始めとする木材運送業からインスパイアされ、開発されました。
特徴的なデザインである杉綾模様は薪を連想させ、綿と麻で織られたキャンバス地に天然塗料を重ねて作られた素材は、耐久性と耐水性に優れトランクなどの商品に採用され品質を大幅に向上させました。
レザー のように使えば使うほど味わいが深まり美しさが増していくこの素材は、その製造過程を門外不出とされ、ブランドを象徴するアイコンとして今に至ります。

さらにエドモン・ゴヤールは、事業を拡大のためフランスのボルドーとビアリッツ、モナコのモンテカルロに支店を構え、ロンドンやニューヨークに販売代理店を出店させます。
また、サントノレ通りの本店は富裕層のみに限定するなど、経営戦略にも手腕を発揮します。

そして、エドモンの指揮のもと参加した数々の世界万国博覧会では、多くの賞に表彰され世界的な名声を得ることになります。
そのことからゴヤール(GOYARD)は、イギリス王室・ロシア皇帝・アメリカ大統領などの御用達メゾンとしての栄誉を手にします。

1923年にはエドモンの息子ロベールがメゾンを引き継ぎ、エドモンは後見役として事業をさらに発展させていくのです。

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今も輝き続ける至高のブランド「ゴヤール(GOYARD)」

事業を引き継いだロベール・ゴヤールは、1931年にトランクに収納できる画期的な旅行用デスクを開発し特許を取得します。1936年には、ホテル王シャルル・リッツや宝石商ルイ・ブシュロンなどとヴァンドーム委員会を設立し精力的に活動しました。
1979年にロベールが亡くなると、その息子である4代目フランソワ・エドモン、さらに5代目イザベルと事業は継承されていきます。

そして、1998年にゴヤール(GOYARD)の熱狂的なコレクターとして知られていたジャン・ミシェル・シニョールが、買収という形で会社を受け継ぎ、彼の3人の息子アレックス、レミ、ピエールとともに経営に携わり、現在に至っています。
シニョール家が舵を切ったことで、ブランドはさらなる進化と確固たる地位を築きました。
その一つに、第二次世界大戦をキッカケに製造を中止していた「ゴヤールディン」を復活させ、カラーバリエーションを既存のブラック以外に、時代のニーズに合わせレッド・オレンジ・イエロー・グリーン・スカイブルー・ネイビーブルー・バーガンディー・グレー・ホワイトなど多数展開させています。

創業から160年以上の間に、ゴヤール(GOYARD)は数々の輝かしき歴史を残してきました。
1853年の創業から続く「マーカージュ」と呼ばれる自分のイニシャルを刻印するサービスがその一つで、代々ゴヤール家が営んでいた木材運送業で材木に刻印をするところから発想を得たと言われています。「世界に一つしかない自分だけのゴヤール」として今もブランドの代名詞の一つです。

1890年には、ペット用製品として「ル・シック・デュ・シアン」シリーズを発表します。愛犬用のウエアや首輪・ブーツ、愛猫用のトラベルバッグなど大好評となります。2008年には専門店もオープンし、発表から100年以上経った現在でも人気のコレクションとして健在です。

2010年には、ゴヤールの歴史が盛り込まれた美術書を出版し、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムで「最高級のバイブル」と称賛されました。この書籍は限定発行だったため、今はフランスを始めとするヨーロッパの国立図書館等に所蔵されています。

また、ゴヤール(GOYARD)のコレクションは時代を超えて人々から愛され、今も流行に左右されず永く愛用できるコレクションを4つのカテゴリーに分けて世に贈り続けています。
その4つのカテゴライズとは、メゾン・マルタンの時代から続く技術が継承されたトランクやキャリーバッグなどの「トラベルグッズ」、現代におけるゴヤールの代名詞として大人気のトートバッグ”サンルイ”を筆頭にハンドバッグや財布などを扱う「デイリーバッグ・小物」、前述のル・シック・デュ・シアンが有名な「ペットアイテム」、専属の職人が世界に一つだけの至極の逸品生み出すオーダーメイド「スペシャルオーダー」になります。

最後に、創業からの長い歴史のなかで、各国の王室や元首、名士や芸術家などの著名人から愛されてきた「ゴヤール(GOYARD)」。その証として顧客名簿の中には、ロックフェラー家、ロマノフ家、 パブロ・ピカソ、コナン・ドイル、ジャック・カルティエ、ココ・シャネル、ジャンヌ・ランバン、アルトゥール・ルービンシュタイン、クリストバル・バレンシアガなど、ほんの一部挙げて見ても錚々たる名前が記載されています。

大量生産や流行を追い求めることなく、独自の美学で常に至高のラグジュアリーブランドを確立してきた「ゴヤール(GOYARD)」。今後も理想のメゾンを築きあげていくことは間違いありません。

Written by 上田勝太

上田 勝太

ゴールドプラザ 主任鑑定士
1985年生まれ 鑑定士歴15年
月次の最高買取金額10億円 各ニュースに出演

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