どうなる?今後の「ダイヤモンド」相場予想

2020/11/03

エンゲージリングなどに使われる代表的な宝石として、またトランプカードの絵柄や野球の内野の名称に用いられるなど、誰もが知る宝石の王様「ダイヤモンド(Diamond)」。そんなダイヤモンドにも相場が存在し、日々変動していることをご存知でしょうか。今回は、そんな「買う」「売る」際にも大きく影響を及ぼすダイヤモンド相場のしくみと、今後の傾向を解説させていただきます。
グラフ(GRAFF)リング画像

「ダイヤモンド」の相場とは

もはや説明不要なほど世界中の人々を魅了してきた、宝石の王様「ダイヤモンド(Diamond)」。その希少性の高さからルビー・サファイア・エメラルドと並び世界四大宝石の一つとして知られています。
また、4月の誕生石としても有名で、石言葉も様々ありますが「清浄無垢・純潔・永遠の絆」などの由来から、特にエンゲージリング(婚約指輪)などに使われる宝石としても愛されています。
そんなダイヤモンドですが、実は金(GOLD)やプラチナなどと同様に国際相場が存在することはご存知だったでしょうか。相場とは、その商品が市場などで取引されるその時点の価格のことで、ダイヤモンドの相場も日々変動しています。

一般的に、ダイヤモンドと呼ばれるものには、大きく分けて「天然」「合成(人工)」「模造」の3つが存在します。そのうち「模造」は、ガラスやプラスチック等を使ったダイヤモンドに見せかけた模造品ですが、天然ダイヤモンドと合成(人工)ダイヤモンドは、端的に言うと、自然にできたものか、人工的にできたものかの違いになります。
長きに渡る研究の成果や科学の発展により、人口的に生成することが可能になった合成(人工)ダイヤモンドは、天然のダイヤモンドと比較しても、本質的に同じ化学組成や結晶構造、物理的特性を持っています。
そんな合成(人工)ダイヤモンドの価格は、同等の品質や形状の天然ダイヤモンドと比較して、おおよそ半分以下と言われています。

一方の天然ダイヤモンドは、ロシア・ボツワナ共和国・コンゴ民主共和国・オーストラリア・南アフリカ共和国・カナダの6カ国で世界の産出量の約90%を占めており、それらの国々から採掘されるダイヤモンドの原石は、品質により宝石用や工業用など用途が分けられ、宝石用として使われる原石にはさらにランク付けがされます。そこから専門業者による研磨やカットなどが施され、米国宝石学会(G.I.A)が定めた「品質評価国際基準」によって宝石としての品質評価がなされます。「品質評価国際基準」とは、いわゆる「4C」のことを指し、カット(カッテングのグレードによる輝き)、カラット(重さ)、カラー(色)、クラリティ(透明度)、それぞれの項目において総合的な評価が下されます。
そして、世界中のダイヤモンド取引市場において広く使われ、ダイヤモンド価格の国際基準とも言われるアメリカのラパポート(Rapaport)社が発行する4Cの評価に基づいた「ダイヤモンド価格表」を指標として国際基準相場価格が決まり市場で取引されます。ざっくりとですが、これが天然のダイヤモンドの国際相場が決まるスタンダードな流れになります。
また、中古ダイヤモンドの買取価格なども、この国際相場を1つの基準として査定しているケースも多いため非常に重要な指標となります。

もちろん、そのほかにも相場を決定する構成要素として、ダイヤモンド市場における「需要と供給のバランス」などもありますが、それらを踏まえ次で説明させていただきます。
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「ダイヤモンド」相場が変動する要因

株やFXなど、他の金融商品の相場のように世界経済や政治情勢などの動向により激しくは変動しませんが、国際市場におけるダイヤモンドの相場もまた、変動する要因は存在します。

その代表的な要因としては、以下の2つが挙げられます。
・世界におけるダイヤモンドの需要と供給のバランス
・外国為替相場による価格変動

まずは「ダイヤモンドの需要と供給のバランス」ですが、需要と供給の基本原則として、市場におけるダイヤモンドの需要量が多ければ世の中に流通するダイヤモンドが足りなくなるため価格(相場)は上昇し、逆に供給量が多ければ市場にダイヤモンドが溢れてしまい価格(相場)は下がります。競争市場における相場の変動要因としては当たり前のような気がしますが、実は前述でも触れた通りダイヤモンド市場の相場を決定する構成要素として、ある企業によって「需要と供給のバランス」をコントロールしている点が、他の国際相場とは異なります。言い換えますとコントロールしているため、相場が激しく変動しないとも言えます。
そして、その企業の名は「デビアス(De Beers)」。「ダイヤモンドは永遠の輝き(A Diamond is Forever)」のキャッチコピーや「婚約指輪は給料の3ヶ月分」といったマーケティング戦略を仕掛けた企業としても有名です。
デビアス(De Beers)は、グループ全体として世界の約35%のダイヤモンドの原石を分類・評価・販売し、世界のダイヤモンド市場の需要と供給をコントロールしています。独占的と批判を浴びることもありましたが、コントロールすることでダイヤモンドの価値や品質を守っています。

次に「外国為替相場による価格変動」ですが、外国為替相場とは簡単に言いますと、世界各国と貿易などを行う際に自国の通貨と外国の通貨の交換比率になります。よくニュース番組などで「1ドル=100円」などといった報道が流れますが、これが外国為替相場の交換比率になります。
ダイヤモンドは、産出国以外はほぼすべてが輸入になるため「外国為替相場による価格変動」の影響を受けやすくなります。例えば、日本においては、円高になれば安くなり、円安になれば高くなります。

また、相場ではありませんが、同等の品質のダイヤモンドであっても流通・販売経路におけるコストの違いにより「小売価格」も変動します。
簡単にダイヤモンドの流通・販売まで流れを説明しますと、国際相場(価格)が決まってからは、取引所からダイヤモンド輸入業者や輸入商社等を経て、加工会社・メーカー・ブランド・小売店等に流れ、一般消費者に普及します。
どこでどのように手を加えられたか、またどのぐらい人件費や広告宣伝費が加算されたかにより、皆さんの目にするジュエリーとしてのダイヤモンドの最終的な「小売価格」は変わってくるのです。

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コロナショックによる「ダイヤモンド」の相場状況と今後の予想

近年ダイヤモンドの相場は、比較的変動が少なく安定していたため、投資対象として富裕層を中心に注目を浴びてきました。しかし、2020年3月に世界中に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、一時的に急落します。その後少し持ち直してきてはいるものの、今後上昇傾向に進むのか読めない状況にあります。
ダイヤモンド相場もまた、いくら需要と供給をコントロールしているとはいえ、コロナショックによる世界経済の不況や地政学的リスクの影響を受けるのは当然の沙汰。デビアス(De Beers)のCEOも報道機関に「(大幅な売り上げの減少に対し)これまでの生涯で経験したことがない」と語るほどです。
また、近年さらに技術が発達したことにより、品質の良い「合成(人工)ダイヤモンド」が台頭し、天然に比べ加工のしやすさや価格の手頃さから市場を席巻し始めており、ますます天然ダイヤモンドの需要が下がってきています。

宝飾品の小売市場においても、ダイヤモンドで有名な高級ジュエリーブランド「ティファニー(Tiffany&Co)」は、婚約指輪関連の売り上げはほぼ半減し、大打撃を被っていると報道されています。
とはいえ、精神的に不安定なWITHコロナにおけるこの時代に、結婚をして安らぎを求める人も増えているという統計結果も出ています。つまり、これから先ダイヤモンドの需要はまだ増える傾向もあるということです。

最後に、多くの専門家が新型コロナウイルスの影響による世界経済の低迷が続く限り、服飾業界を代表する小売市場はもちろんのこと、ダイヤモンドを含めたいわゆる贅沢品・嗜好品の需要は安定しないと見立てています。
売る・売らないは別として、世界情勢全体の先行きが不透明な時代、いざというときのために使わなくなったご自宅に眠るダイヤモンドを、一度相場を知るために査定に出してみるのも良いかもしれません。
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