どうなる?今後の「ダイヤモンド」相場予想
最終更新日:2025/07/09


大嶋 雄介
2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。
◾️ 目次
エンゲージリングに使われる宝石として広く知られているダイヤモンドは、その希少性と美しさから「宝石の王様」と称されます。トランプのマークや野球の用語にも登場するほど、日常生活の中でも馴染み深い存在です。
そんなダイヤモンドにも国際的な価格相場が存在しており、金やプラチナと同様、日々変動しています。本記事では、ダイヤモンド相場の仕組みや価格が決まるプロセス、そして2020年時点での相場動向や今後の見通しについて、専門的な視点から解説していきます。
ダイヤモンド相場はどうやって決まる?
天然と人工、3つの種類
ダイヤモンドには主に3種類が存在します。
- 天然ダイヤモンド
- 合成(人工)ダイヤモンド
- 模造ダイヤモンド
このうち市場で最も価値が高いのは天然ダイヤモンドですが、近年では合成ダイヤモンドの品質も向上し、見た目や物理的性質は天然とほぼ変わりません。ただし価格は天然の半分以下が一般的です。
天然ダイヤモンドの相場決定の流れ
天然ダイヤモンドの産出国は、ロシア、ボツワナ、コンゴ民主共和国、オーストラリア、南アフリカ、カナダの6カ国で全体の約90%を占めています。産出後、原石は「宝石用」「工業用」に分けられ、さらにグレードごとに分類・評価されます。
そして、G.I.A(米国宝石学会)の4C(カット、カラット、カラー、クラリティ)に基づいた評価を受け、ラパポート社のダイヤモンド価格表により国際的な基準価格が定められます。この価格表は、ダイヤモンド相場の世界的な指標となっており、買取価格の査定にも使われます。
相場に影響を与える主な要因
需給バランスをコントロールする存在「デビアス社」
ダイヤモンド相場における変動要因の一つは需要と供給のバランスです。しかし、他のコモディティと異なり、ダイヤモンド市場は特定企業が流通をコントロールしているという特殊な側面があります。
その企業がデビアス(De Beers)社です。かつて「婚約指輪は給料の3か月分」キャンペーンを打ち出し、ダイヤモンドのイメージを定着させたマーケティングの雄でもあります。
デビアスは、世界のダイヤモンド原石の約35%を供給・管理しており、需給の調整を通じて相場の安定化を図っているのです。
外国為替相場の影響
もう一つの要因が外国為替相場です。特に日本のような非産出国では、ダイヤモンドは輸入に依存しているため、為替レートの影響を大きく受けます。
- 円高 → ダイヤモンドが安くなる
- 円安 → ダイヤモンドが高くなる
また、同じ品質のダイヤモンドでも、流通ルートや広告費、人件費などにより小売価格は変動します。相場だけでは測れないコスト要因も覚えておくべきです。

コロナ禍がもたらした影響と今後の見通し(※2020年時点)
コロナショックによる急落
2020年3月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大により、安定していたダイヤモンド相場が一時的に急落しました。デビアスのCEOも「これまでの人生で経験したことのない危機」とコメントするほどの影響を受けています。
富裕層の投資対象として注目を集めていたダイヤモンド市場ですが、このような世界的経済ショックには相場がコントロールしきれない局面もあるということが露呈しました。
合成ダイヤモンドの台頭
さらに、近年は技術の進歩により高品質な人工ダイヤモンドが登場し、天然に比べ安価で扱いやすいことから市場シェアを拡大しつつあります。これにより、天然ダイヤモンドの価値が相対的に下がる懸念も出てきています。
ジュエリーブランドへの打撃と将来的需要
世界的な高級ジュエリーブランド「ティファニー(Tiffany & Co)」では、婚約指輪関連の売り上げが約半減したと報道されています。一方で、コロナ禍によって「家庭」や「安らぎ」を求める傾向も強まり、結婚需要の回復が相場の支えとなる可能性もあります。
ダイヤモンドを手放す前に「相場を知る」重要性
将来的な相場が不安定な時代、使わなくなったダイヤモンドを持っている方にとって、今の価格がどれくらいなのかを知ることは非常に大切です。相場に左右される贅沢品だからこそ、適切なタイミングでの査定が求められます。
まとめ:不透明な時代だからこそ、相場の動向に注目を
ダイヤモンド相場は安定しているようで、世界情勢や市場動向によっては予期せぬ影響を受けることもあります。特に2020年のような世界的危機下では、価格の変動や需要の変化に注目すべきです。
天然・人工・模造の違い、相場の仕組み、為替の影響、そして今後の展望を正しく理解することで、適正な売買や査定につなげることができるでしょう。