高級ブランドのマスク製造等の取り組みについて

2020/07/29

世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)、シャネル(CHANEL)、バーバリー(BURBERRY)といった誰もが知るラグジュアリーブランドが次々に医療従事者への支援を決め、マスクをはじめ医療用ガウン(防護服)や消毒液等の製造に着手しています。今回は、そんな高級ブランドによる社会貢献の取り組みについて触れてみたいと思います。
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Withコロナにおけるマスクの存在

 2019年11月に中国の武漢で最初の発生が確認されて以来、急速に世界中に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。世界各国では、医療崩壊や経済活動停止といった国難に直面しました。特に欧米中心にその感染者数の多さは、各国に深刻な被害を及ぼしたことは記憶に新しいでしょう。そして、新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中で注目されているのが「マスク」の存在です。専門家によっては、欧米では「マスク」をする習慣が定着していないため、感染が広がったとも言われています。ちなみに、日常生活においてマスクをする習慣が定着しているのは、日本をはじめとするアジア各国だそうです。中国では、大気汚染の問題からマスクをする人が増えたと言われており、日本においては毎年流行するインフルエンザや花粉症から予防する目的でマスクを日常つける習慣が生まれたそうで、このような習慣は世界的には稀有なケースのようです。

 このように、私たちが日常つけている「マスク」ですが、用途によって違いがあります。一般的には大きく3つに分類され、工場や建築等の産業おいて発生する粉塵などを防塵する用途で使われる「防塵マスク(産業マスク)」、医療現場などで使われ「サージカルマスク」の名称でも知られている「医療用マスク」、そして「家庭用マスク」に分けられます。家庭用マスクには日本で多く普及している材質のものとして「ガーゼ」タイプ、「不織布(繊維を糸のように織らずに絡み合わせたシート状の布)」タイプがあり、形状としては「平型」「プリーツ型」「立体型」などが一般的なものとして挙げられます。最近では、冷却効果や殺菌効果など、高機能の繊維で作られたマスクも登場しています。

 そして、感染拡大の恐怖が広がるなか、感染対策としてのマスク着用の有効性についても世界各国で議論されています。専門家の意見は必ずしも一致していませんが、最近の傾向としては世界保健機関(WHO)も感染予防の補助手段としてマスクの着用を推奨し始めています。一般的に、マスクに期待できる有効性としては、自身が感染した場合に他者への飛沫感染リスクを下げる効果、また逆に他者からの飛沫感染リスクを下げる効果、鼻や口などを直接手で無意識に触ってしまう接触感染を防ぐ効果などが挙げられています。

 Withコロナにおいて、マスクの重要性はますます高まると予想されます。そのため世界各国が海外に依存していたマスクや医療用ガウン(防護服)の製造を、需要と供給の安定を図るため自国での製造にシフトし始めています。とは言え、すぐに生産体制を整えられるものでもありません。そんな状況の中、次々と有名ブランドたちが手を挙げ、社会貢献事業が始まったのです。
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コロナに立ち向かう高級ブランドの心意気

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、病院や医療従事者にとって、治療に必要不可欠なマスク・防護服や消毒用のアルコールジェル等の生産・供給が追いつかない状況が続き、各国の政府や企業が様々な支援策を打ち出す一方、このような状況下において、欧米を中心とする高級ブランドもまた自身の技術を活かし、困っている病院や医療従事者向けに不足しているマスクや手袋・医療用ガウン(防護服)の生産に乗り出し無料配布するといった、支援の動きが広がりを見せています。特に世界から注目を集めたのが、比較的早い時期から支援に名乗りを上げた、フランスのルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やシャネル(CHANEL)、イギリスのバーバリー(BURBERRY)の取り組みです。

ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の取り組み

 1854年にフランス・パリで創業の老舗高級ブランド「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」。定番ラインとして「モノグラム」「ダミエ」「エピ」「ヴェルニ」などといったカバンやバッグが有名ですが、それらを制作する職人の技を活かした支援事業が話題になりました。フランス国内の5つのアトリエにて、マスクの原材料を供給している企業と提携し、医療用防護マスクの生産を開始。さらに、型紙を利用した医療用ガウン(防護服)の生産にも乗り出します。いずれも、新型コロナウイルス治療の最前線で働く病院関係者や医療従事者に無償で提供されています。今回自ら志願し、生産に携わってくれた職人の数は300人にのぼり、公式ホームページやSNSにてブランド側から職人たちへ感謝の意を表しています。また、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の母体でもある巨大コングロマリット(複合企業)「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」グループも、赤十字基金への寄付や、香水工場にて消毒用のアルコールジェルを生産し、フランスの保健機関などに無償提供するなど、率先して新型コロナウイルス対策の支援に取り組んでいます。
ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)バッグ画像

シャネル(CHANEL)の取り組み

 1910年フランス・パリにて、 ココ・シャネル(本名:ガブリエル・ボヌール・シャネル)が立ち上げた、フランスを代表するラグジュアリーブランド「シャネル(CHANEL)」。「マトラッセ」と呼ばれるキルティング加工を施したショルダーバッグや、八角形のケースが特長のジュエリーウォッチ「プルミエール」、世界的ベストセラーになった香水「オードゥ・パルファムNo.5」など、人気のコレクションは多岐に渡ります。そんな「シャネル(CHANEL)」もまたフランス国内における支援として、5万枚以上のマスクをフランスの医療機関、消防団、警察、憲兵隊等に提供しました。同時に、150人に近いオートクチュール(高級注文服)、プレタポルテ(高級既製服)の職人たちがチームを作り、フランス関連当局から原材料の承認が得られ次第、医療用防護マスクと医療用ガウン(防護服)の本格的な製造を開始すると発表しています。もともと、パリの「コロナウイルス感染症対策におけるマスク運動」の旗手と言われる人物こそが、シャネルのクチュリエの一人であったことから、このような取り組みが広がったと言われています。また、シャネル(CHANEL)は、フランス国内で働く約8500人の従業員の雇用を維持する方針を掲げ、一方で医療従事者のために多額の寄付も行っています。
シャネル(CHANEL)バッグ画像

バーバリー(BURBERRY)の取り組み

 1856年イギリスにて、創業者であるトーマス・バーバリーによって設立された「バーバリー(BURBERRY)」。通気性や耐久性に優れた布地の新素材「ギャバジン」を考案し、その素材から作られた後にブランドの代名詞となる「トレンチコート」は、第一次世界大戦時の英国軍に正式採用され、さらに冒険家などからも愛されました。また、そのトレンチコートの裏地に使用されたチェック柄こそが、かの有名な「バーバリー・チェック」です。イギリス王室御用達のブランドとしても有名で、一時期の日本市場においては、外資系ブランドとしてルイ・ヴィトンに次ぐ売上げを誇るほど人気を博しました。そんな「バーバリー(BURBERRY)」もまたイギリス国内における支援として、イギリス・ヨークシャー州のトレンチコート工場の設備を再編成し、病院や医療従事者向けに医療用マスクや医療用ガウン(防護服)の製造に乗り出しています。また、バーバリー独自の国内供給網を活用し、イギリス国民保健サービス(NHS)の医療スタッフへ医療用マスク10万枚を迅速に配達、オックスフォード大学にワクチン開発の資金提供、イギリス各地の慈善団体に寄付など、積極的に支援活動を行っています。
バーバリー(BURBERRY)財布画像


いずれのブランドも、高度な職人の技や自社の強みなど、ブランドのリソースを最大限に活用した社会貢献という取り組みで、消費者との絆を紡ぐ心意気を見せてくれました。

アフターコロナと高級ブランドの存在意義

 ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)、シャネル(CHANEL)、バーバリー(BURBERRY)以外にも、多くの高級ブランドが多額の寄付をするだけでなく、コロナと闘う医療従事者への「マスク製造」といった支援を続々と表明しています。

 特に被害が大きかったイタリアにおいては、国を代表する世界的ブランド「グッチ(GUCCI)」、「プラダ(PRADA)」、「フェラガモ(Ferragamo)」といったブランドが自社の工場や設備を活用しマスクや防護服の生産を開始しています。また、ブルガリ(BVLGARI)においては、香水部門の工場を活かして消毒用アルコールジェルを製造し、地元医療機関などへ供給を開始しています。ブルガリ(BVLGARI)のCEOジャン-クリストフ・ババン氏曰く「実際に手を動かし、アクションすること」こそが社会貢献であり、アフターコロナにおいても、今後ブランドが利益を生むだけではなく、良き市民としてどういう活動を行ったのかにより存在意義が生まれ、ブランドの価値が高まり、商品の購買意欲に繋がる、との見解を示しています。

 このように、アフターコロナにおける高級ブランドの存在意義は、ファッション・アパレル業界の専門家も多く予想するように、大きなターニングポイントを迎えています。そして、コロナ禍におけるブランド各社の支援事業の数々は、まさに「消費者との繋がり」を最重要視する証でもあり、アフターコロナにおいて消費者の価値観が変わっても、今回の「マスク製造」を筆頭とする社会貢献の姿勢や努力こそが、これから必要とされる「高級ブランドとしての価値」になっていくのかもしれません。

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