2022年 ダイヤモンド国内相場の上昇について

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2022年、世界的な経済・地政学的動向の影響を受けて、日本国内におけるダイヤモンド相場が大きく上昇しました。本記事では、ダイヤモンド相場の変動の背景を「国際市場の動向」「地政学的リスク」「為替相場」「インフレ」といった観点から詳しく解説します。

大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。

ダイヤモンド市場の回復と国内相場の急上昇

コロナ禍で打撃を受けた市場が復調へ

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、ダイヤモンド市場は需要・供給の両面から深刻な影響を受けました。外出禁止や鉱山の閉鎖などが相場に大きな打撃を与えた一方、2021年後半からはワクチン普及と経済活動の再開により回復基調が強まりました。

2022年、国内相場はなぜ急騰したのか?

日本国内のダイヤモンド相場が2022年に入り急上昇した背景には、以下のような複数の要因が複雑に絡んでいます。

  • ロシアによるウクライナ侵攻による地政学的リスク
  • 世界的なインフレの進行
  • 約20年ぶりの円安ドル高水準
  • ダイヤモンド原石の価格高騰

国際市場の変動要因

ダイヤモンド需要と供給のバランス

ダイヤモンド相場に影響する最大の要素は、「需要と供給のバランス」です。特に、世界最大のダイヤモンド企業であるデビアス(De Beers)は、市場全体の35%近くの原石を管理し、相場形成に大きな影響を与えています。

COVID-19の影響で供給網が混乱し、デビアスのCEOが「人生で経験したことがない」と述べるほど、市場の調整は困難を極めました。しかし、2021年後半の需要回復に伴い、2022年1月にデビアスが大幅な原石価格の引き上げを行ったことで、世界的に相場が上昇しました。

ロシア情勢が相場に与える影響

ロシアの資源支配とダイヤモンド供給

ロシアは世界の天然ダイヤモンド原石の約30%を産出し、その90%以上は国営企業的性格をもつ「アルロサ」が採掘しています。2022年2月のウクライナ侵攻以降、アルロサはアメリカやEUからの制裁対象となり、ダイヤモンドの供給にも不安が広がりました。

経済制裁と取引停止の流れ

アメリカはロシア産ダイヤモンドの輸入禁止を発表。さらに、アルロサへの追加制裁により、軍事資金の供給ルートを断とうとする動きが加速しました。また、ウクライナのゼレンスキー大統領も**「ダイヤモンドより平和を」**と呼びかけ、ベルギーなどの市場にも影響を与えています。

日本においては、2022年7月時点でロシア産ダイヤモンドの輸入は禁止されていませんが、今後の動向によっては規制強化の可能性があります。

円安・インフレがもたらす価格高騰

為替相場による価格変動

ダイヤモンドは主に米ドル建てで取引されており、日本国内での価格は円相場の影響を大きく受けます。2022年4月には1ドル=126円台まで下落し、円安ドル高が進行。これは約20年ぶりの水準であり、輸入品であるダイヤモンドの価格上昇を後押ししました。

世界的インフレによる影響

ウクライナ情勢や中国のロックダウンなどにより、サプライチェーンが混乱し、世界中で物価が高騰。この流れを受けて、ジュエリーメーカーやブランド各社も値上げを余儀なくされています。

結果として、日本国内でもダイヤモンド相場が上昇し、消費者にとっても価格上昇が実感される状況となりました。

今後の展望と売却タイミングの考察

将来的にインフレが需要に影響を与えることが予想され、相場の上昇が永続的に続くとは限りません。「高値で売るなら今がチャンス」とも言える状況です。

ダイヤモンドの売却を検討中の方へ

現在の高騰相場は、売却を検討している方にとって好機です。信頼できる買取業者を選び、今後の価格下落リスクを回避するためにも、早めの行動をおすすめします。