第四回 ルイ・ヴィトン 高価買取の法則

2016/06/30


ルイ・ヴィトン高価買取の法則、第四回をお送りいたします。
前回は、ルイ・ヴィトンの日本への定着までを歴史を交えてお話させていただきました。

では、ルイ・ヴィトンがなぜ現在でも流行に大きく左右されない、普遍的な人気を保っているのか、詳しくご説明していきたいと思います。

欧米人と日本人の意識の違い

皆様は、ラグジュアリーブランドと聞いて、どういった印象を持たれるでしょうか?

『良い商品だから1つは欲しいけど、高級品だから簡単には買えないなぁ。』
『でも、お金を貯めていつかは手に入れてやろう!!』
こう思われる方が多いのではないでしょうか?

しかし、欧米人の考え方は違います。

『確かに高級品だから、質の高いものなんだろうなぁ。』
『欲しいのは欲しいけど、そもそも庶民の持ち物じゃないから無理に買う必要ないかな。』

これが一般的な欧米の方の考え方と言われています。
つまり、日本の方は欲しい商品が金額的に買えるか買えないのかが重要なのに対し、欧米の方は、欲しい商品が自分にふさわしいのかどうかという所を重視する傾向にあるのです。
事実、日本の女性のルイ・ヴィトンの普及率は、ルイ・ヴィトン製品を持っているという方が約90%、ルイ・ヴィトンのバッグを持っているという方で約50%と、本場ヨーロッパよりかなり高い数字となっています。

日本人はブランド好き

日本人のブランド好きを証明する話があります。
あるIT系のベンチャー企業の面接官をされていた方の体験談です。

ある時、面接にイタリア人の男性が応募してきました。
その方は、英語・イタリア語・日本語を使いこなし、イタリアでは政府機関で働いていた方でした。
その方に面接官はこう言いました。
『当社はベンチャー企業なので、イタリアで働いておられた時よりも確実に給料は下がりますけれど大丈夫ですか?』

そう聞いた男性はこう答えます。

『給料はそんなにいりません。日々生活できれば十分です。』

面接官がこう続けます。

『でも、イタリアといえば有名なブランドショップも多いし、お金はいくらあっても足りなかったんじゃないですか?』

すると笑いながらこう答えたそうです。

『イタリアの人は、そんなにブランド品買いません。
イタリアのブランド品のお店に買い物に来る人は、10%が地元の富裕層、20%がギャング・マフィア関係の人間、残りの70%がアジア人、それもほぼ日本の方です。』

それを聞いた面接官の男性は、少し恥ずかくなってしまった、というお話です。

私はこの話を聞いた時、恥ずかしいというかビックリしました。

文化の違い=定着率の違い

何故こんなにも考え方・普及率が違うのでしょうか?
これには昔から存在する、『階級意識』の違いが関係しています。
ヨーロッパでは昔から、一部の貴族階級の人たちが大きな権力を握っていました。
贅沢な品・質の高い品はほぼ貴族階級にしか流通しませんでした。
こういった時代が長く続いたヨーロッパの人たちの中では、高級品=身分の高い人の持ち物、という意識が根強く残っている為、一般庶民の、ブランド品を持とうという考え自体が希薄だと言われています。

アメリカの方は、身分=所得という考え方が強い為、ある一定の所得を持っている人たちしか、ブランド品を持とうという意識は強くないと言われています。

では日本はどうかというと、昔から日本にも階級制度は存在しました。
士(し)・農(のう)・工(こう)・商(しょう)という言葉を聞いたことはありませんか?
江戸時代までは、日本でも武士階級が大きな権力を握っていました。
しかし明治維新の際階級制度が撤廃され、それが広く庶民にも定着したため、欧米の方たちに比べて、『階級意識』が低いとされています。

この『身分・階級意識の低さ』こそが、高級品が広く定着しやすい大きな原因の1つになっているのです。

では、次回はヴィトン製品自体や、中古販売店から見た人気の秘密について、ご説明したいと思います。