山本耀司と「ヨウジ ヤマモト(Yohji Yamamoto)」の世界──黒のカリスマが築いたブランド哲学と多彩なライン展開

「反逆児」「革命児」などの異名で知られる世界的ファッションデザイナー・山本耀司。黒を基調としたアバンギャルドなデザインや左右非対称の美学で、モード界に衝撃を与え続けています。今回は、彼の中核ブランドである「ヨウジ ヤマモト(Yohji Yamamoto)」をはじめとしたブランドラインやコラボレーションの魅力をご紹介します。

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大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げ、その後、営業企画部に進出し、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析をじっくりと、緻密な専門知識を深化させています。


山本耀司の歩み──黒のカリスマ誕生まで

1943年、戦時下の東京に生まれた山本耀司。父を早くに亡くし、母が営む洋装店でファッションと向き合う環境で育ちました。慶應義塾大学を卒業後、文化服装学院で本格的にデザインを学び、1969年に若手デザイナーの登竜門「装苑賞」を受賞。コシノジュンコや高田賢三なども輩出したこの賞をきっかけに、彼のキャリアは本格的に始まります。

1972年に「ワイズ(Y’s)」を立ち上げ、1977年には東京コレクションにてデビュー。そして1981年、パリコレクションに「ヨウジ ヤマモト(Yohji Yamamoto)」として登場し、同年出展した川久保玲の「コム・デ・ギャルソン」とともに、黒を全面に押し出した独創的なスタイルで世界を驚かせました。このムーブメントは「黒の衝撃」と称され、世界的な評価を得ます。


株式会社ヨウジヤマモトの設立と多彩な展開

1984年には「株式会社ヨウジヤマモト」を設立。2002年にはスポーツブランド「アディダス」との協業による「ワイスリー(Y-3)」を始動し、映画衣装や宇宙服のデザインなど、その活躍は多岐にわたります。

2009年に経営破綻という試練を迎えたものの、外部支援を受けて事業再建に成功。その後も新たなブランドラインの創設や国際的な受賞を重ね、80歳を超えても現役デザイナーとして第一線で活躍を続けています。


「ヨウジ ヤマモト(Yohji Yamamoto)」の主要ブランドライン

山本耀司は、核となるブランドを軸に複数のラインを展開しており、それぞれが明確なコンセプトを持っています。

ヨウジ ヤマモト(Yohji Yamamoto)

1981年のパリコレで始まったハイエンドなウィメンズライン。黒を基調にした独自の世界観が特徴です。

ワイズ(Y’s)

1972年設立。機能性と日常性を重視したレディースラインで、インテリアブランド「Y’s for living」も展開。

ヨウジヤマモト プールオム(Yohji Yamamoto POUR HOMME)

1984年に誕生したメンズライン。山本耀司の哲学に基づいた男性像が表現されています。

ワイスリー(Y-3)

アディダスとのコラボレーションによるスポーツミックスライン。スタイルと機能を両立させた人気シリーズです。

サイト(S’YTE)

2011年に設立されたオンライン限定ブランド。「Y’s」を逆読みした名称で、アンチモードを掲げたジェンダーレススタイルが魅力。

グラウンド ワイ(Ground Y)

2014年始動。年齢・性別を問わず、山本の美学をより身近に体現できるユニセックスラインです。

ディスコード ヨウジヤマモト(discord Yohji Yamamoto)

2014年スタートのアクセサリーブランド。バッグやスカーフなど、上質なメイド・イン・ジャパン製品が揃います。

その他のブランド

・ワイルドサイド ヨウジヤマモト(WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO):ミリタリーやワークテイストを展開
・ブラックスキャンダル(BLACK Scandal Yohji Yamamoto):黒の魅力を再定義する実験的ライン
・リミ フゥ(LIMI feu):娘・山本里美が手掛けるモダンな感性のブランド


多彩なコラボレーションによる進化

山本耀司の挑戦はコラボレーションにも表れています。アディダスをはじめ、「ウブロ」「モンクレール」「ポーター」「ドクターマーチン」「シュプリーム」「NEW ERA」など、名だたるブランドと連携。

キャラクターとのコラボでは、「仮面ライダー」「サイボーグ009」「ONE PIECE」「エヴァンゲリオン」など、日本文化を象徴する作品とも積極的に関わり、2022年には「読売ジャイアンツ」とのコラボユニフォームも話題を集めました。


未来を切り拓き続けるデザイナー 山本耀司

「仕事中に倒れるのが理想」と語る山本耀司。その信念は、年齢や性別を超えて広く共感を呼び、「ヨウジ ヤマモト」は国内外の著名人から一般層まで幅広い支持を獲得しています。

常識を破壊し、新たな価値を創造し続ける“黒のカリスマ”山本耀司の挑戦は、これからもモードの未来を照らし続けることでしょう。