日本発の世界的ブランド「コム・デ・ギャルソン(COMME des GARÇONS)」

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大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。

世界に衝撃を与えた日本発のファッションブランド

「黒の衝撃」や「ぼろルック」「こぶドレス」など、既成概念にとらわれない独創的なクリエイションで世界中に衝撃を与え続ける「コム・デ・ギャルソン(COMME des GARÇONS)」。本記事では、その歴史と世界的な評価、さらには数あるブランドラインの中から代表的なものを解説します。


川久保玲が築いた前衛ファッションの礎

ブランドの誕生と理念

「コム・デ・ギャルソン(COMME des GARÇONS)」は、三宅一生の「ISSEY MIYAKE」、山本耀司の「YOHJI YAMAMOTO」と並び称される、日本を代表する高級既製服(プレタポルテ)ブランド。日本国内では“ギャルソン”の愛称で親しまれ、創業から50年以上経った今も、国内外のファッショニスタを魅了し続けています。

このブランドを立ち上げ、世界的ブランドへと育てたのが、創業者でありCEO、そしてデザイナーである川久保玲です。

川久保玲の生い立ちと反骨のクリエイション

1942年、東京に生まれた川久保玲は、慶應義塾大学で美術史を専攻後、旭化成に入社。しかし、わずか3年で退社し、フリーのスタイリストとして活動を始めます。自らが求める衣服が市場に存在しなかったことから、自ら服作りを始め、1969年に「コム・デ・ギャルソン」を立ち上げました。

ブランド名はフランス語で「少年のように」という意味。1973年に法人化され、1975年には東京コレクションでデビューを果たします。


「黒の衝撃」:世界が注目したパリ・コレクション

1982年、パリ・コレクションで発表された黒を基調にした革新的なコレクションは、従来の美の概念に挑戦するもので、世界のファッション界に強烈なインパクトを与えました。この出来事は「黒の衝撃」と呼ばれ、ヨウジヤマモトと共に日本人デザイナーの地位を国際的に高めました。

日本国内でも「カラス族」「ぼろルック」として社会現象となり、ブランドの「黒」のイメージはここから定着していきました。


世界が認めたコム・デ・ギャルソンの革新性

コム・デ・ギャルソンは「男らしさを排したメンズウェア」「美の常識を覆すシルエット」「服を作らない」など、ファッションの本質に問いを投げかけるコンセプトで注目を浴び続けてきました。

その功績は数々の受賞や展覧会でも評価されており、2012年にはアメリカCFDA国際賞を受賞。2017年にはニューヨーク・メトロポリタン美術館で展覧会が開催され、生前に開催されたデザイナーはイヴ・サンローランに次いで2人目という快挙を成し遂げました。


コム・デ・ギャルソンの代表的なライン

現在、ブランドには4名の主要デザイナー(川久保玲、渡辺淳弥、栗原たお、二宮啓)がおり、以下のように多彩なラインが展開されています。

コアブランドとメインライン

  • コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)
     ウィメンズの代表ライン。創業当初より川久保玲が手がける。
  • コム デ ギャルソン・オム(HOMME)
     1978年スタートのメンズライン。現在は渡辺淳弥が担当。
  • オム プリュス(HOMME PLUS)
     1984年スタートのハイエンドなメンズライン。
  • オム ドゥ(HOMME DEUX)
     ビジネスシーン向けのメンズライン。
  • コム デ ギャルソン シャツ(SHIRT)
     シャツを中心としたカジュアルライン。
  • コム デ ギャルソン・コム デ ギャルソン
     ベーシックスタイルを提案するウィメンズライン。

ライフスタイルとコラボレーションに特化したライン

  • パルファム(parfums)
     香水を中心としたライン。「ワンダーウッド」などが人気。
  • ウォレット
     スペイン製の高級革を使った財布や小物ライン。
  • プレイ(PLAY)
     キャラクターラインで、ハートのロゴが象徴的。
  • ブラック(BLACK)
     黒を基調にしたユニセックスのライン。

デザイナー別ライン

  • ノワール・ケイ・ニノミヤ(noir kei ninomiya)
     二宮啓による黒を基調としたウィメンズライン。
  • ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)
     ウィメンズ向けの実験的ライン。コラボレーションも豊富。
  • ジュンヤ ワタナベ マン(MAN)
     メンズライン。個性的なディテールと機能性を兼ね備える。
  • タオ(tao)
     ニット中心のウィメンズライン。栗原たおがデザイン。

多彩なコラボレーションとアート性

コム・デ・ギャルソンは、早い時期から異業種とのコラボレーションを実施してきました。音楽やアートとの関係も深く、以下のような有名ブランド・アーティストとのコラボを行っています。

  • アーティスト/キャラクター
     ザ・ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ピンクパンサー、ディズニー、スター・ウォーズなど。
  • ファッションブランド
     ルイ・ヴィトン、エルメス、グッチ、ミキモトなど。

まとめ|反骨精神がブランドの原動力

コム・デ・ギャルソンは、常に流行に流されず、独自の視点でファッションを追求し続けてきました。コロナ禍でも川久保玲は「今こそ新しいことに挑むべき」と語り、その精神はブランドのDNAとして今もなお受け継がれています。

その揺るがぬ信念と創造力が、コム・デ・ギャルソンを世界中から愛される唯一無二のブランドたらしめているのです。