アルフレッド・ダンヒル(ALFRED DUNHILL)の歴史
最終更新日:2025/04/25


大嶋 雄介
2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げ、その後、営業企画部に進出し、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析をじっくりと、緻密な専門知識を深化させています。
◾️ 目次
英国を代表するラグジュアリーブランド「ダンヒル」
イギリスの老舗ラグジュアリーブランド「アルフレッド・ダンヒル(ALFRED DUNHILL)」は、日本でも「ダンヒル(dunhill)」の名で広く知られ、創業から120年以上の歴史を誇ります。紳士の装いを象徴するブランドとして、ファッションから喫煙具、アクセサリーに至るまで幅広いアイテムを展開し、世界中のエグゼクティブから愛されています。
アルフレッド・ダンヒルの創業と革新の始まり
自動車アクセサリーから始まったブランド
創業者アルフレッド・ダンヒルは、1872年イングランドに生まれ、1893年に父親の馬具製造卸業を引き継いだことをきっかけに、自動車の普及に着目。当時はまだ新興産業であった自動車に関連した皮革アイテムやコート、小物などの製造販売を開始しました。
そのコンセプトは「エンジン以外ならすべて揃っている」とうたわれ、店名として掲げた「モートリティーズ(Motorities)」は、たちまち成功を収めます。この創業精神は、現在のダンヒルにも受け継がれています。
喫煙具への展開と国際的な成功
1900年代初頭には、ドライブ中にも安全に使用できる防風パイプや防水パイプを開発し、喫煙具ブランドとしての地位も確立。その後、1920年代には喫煙具の規制を受けてレザー製品に注力し、ロンドン以外にもパリやニューヨークなどへ進出しました。
創業者の弟ハーバード・ダンヒルが社長に就任し、さらに子どもたちも事業に加わり、長男のアルフレッド・ヘンリーは会長に、一人娘のアルフレッド・メアリーは「メアリー・ダンヒル社」を立ち上げるなど、家族経営でブランドを拡大していきます。
日本との深い関わりと国際展開
蒔絵万年筆とパイロットとの提携
1931年、ダンヒルは日本の並木製作所(現・パイロット)と提携し、世界に誇る「ダンヒル・ナミキ蒔絵万年筆」を発表。現在でもアンティーク市場で高値が付くなど、コレクター垂涎の逸品として知られています。
第二次世界大戦と再生
戦争の影響でロンドン本店は空襲により全壊し、1959年には創業者アルフレッドが逝去するなど困難な時期もありました。しかし、1966年には作家トルーマン・カポーティがダンヒルのタキシードを着用し注目を集め、1969年にはエリザベス女王より輸出功績が認められ表彰されます。
現代のダンヒルとリシュモン傘下での進化
1993年、創業100周年を迎えたダンヒルは、スイスのラグジュアリー・コングロマリット「リシュモン(Richemont)」の傘下に加わり、グローバルブランドとしてさらなる発展を遂げます。
2008年にはキム・ジョーンズがクリエイティブディレクターに就任し、2017年からはアンドリュー・マアグがCEOに、マーク・ウェストンがクリエイティブディレクターに迎えられ、現代のダンヒルらしいエレガンスと機能性の融合が進められています。
ダンヒル(dunhill)の主なアイテムとその特徴
紳士を彩るファッションとアクセサリー
「アルフレッド・ダンヒル」は、バッグや財布、時計、スーツ、アクセサリーなど、紳士向けの高級アイテムを中心に展開しています。特に人気の皮革製品には以下のラインが挙げられます。
- コンフィデンシャル
- コンノート
- ディーエイト
- サイドカー
- シャーシ
日本代表とのパートナーシップ
2000年よりサッカー日本代表のオフィシャルスーツを提供し続けており、2022年のカタールW杯でもアパレルパートナーを務めました。この長期的な関係を記念し、「2022 SAMURAI BLUE COLLECTION」も発表されています。
ブランドの原点を象徴するカーアイテムと喫煙具
ダンヒルの原点とも言える自動車関連グッズは、現在でも語り継がれる名品が多くあります。
- ボビー・ファインダーズ(1903年):警官発見用の双眼鏡
- ダッシュボードクロック(1910年):車載用の懐中時計
- カーコート:雨風を防ぐドライバー用コートで、2018年コレクションで復刻
また、金・銀・エナメルを使った高級ライターは、今も世界中の愛煙家に人気です。
ブルドッグのモチーフとブランドの遊び心
ブランドマスコットとして知られるブルドッグは、キーホルダーやペーパーウェイト、交通安全のお守りなどに展開され、長年にわたり愛されています。
本店「ボードンハウス」としての象徴
現在のダンヒルの本店は、ロンドン・メイフェア地区の由緒ある「ボードンハウス」に構えられています。18世紀に建てられたこの屋敷は、元ウェストミンスター公爵の邸宅であり、ココ・シャネルのロマンスの舞台とも言われる歴史的建築物です。
伝統と現代性を両立させたこの場所に本拠地を構えることは、まさに英国が誇る紳士ブランド「アルフレッド・ダンヒル」の象徴ともいえるでしょう。