ドイツが誇る世界的な陶磁器ブランド「マイセン(MEISSEN)」の魅力を徹底解説

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300年以上の歴史を誇り、ヨーロッパ最古の磁器窯として知られる「マイセン(MEISSEN)」。その確かな技術と芸術性の高さから、今なお世界中のコレクターや陶磁器愛好家を魅了し続けています。本記事では、マイセンの歴史、特徴、代表的な作品・コレクションについて詳しくご紹介します。

大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。


マイセン(MEISSEN)の歴史|ヨーロッパ白磁のはじまり

ヨーロッパ初の白磁製造に成功したことで知られるマイセン磁器。正式名称は「国立マイセン磁器製作所」で、その起源は1710年、ザクセン選帝侯アウグスト強王の命により設立された「王立ザクセン磁器工場」に遡ります。

当時のヨーロッパでは、中国磁器や日本の古伊万里などが「ホワイトゴールド(白い金)」と呼ばれ、王侯貴族の間で高値で取引されていました。磁器の製法を再現するべく、アウグスト強王は哲学者チルンハウスの研究を元に、錬金術師ベトガーに磁器製造を命じます。1709年、ベトガーがついに磁器の焼成に成功し、翌年にはマイセンに窯が築かれました。

以後、マイセン窯は門外不出の技術とされ、その技術を狙って各国が人材を引き抜くなど、磁器をめぐる争奪戦も繰り広げられました。19世紀に入ると世界中の富裕層からの注文が相次ぎ、マイセンの名は国際的なブランドへと成長します。現在は、ドイツ・トリービッシュタールに拠点を移しつつも、伝統と革新を融合した作品を世に送り出し続けています。


マイセン(MEISSEN)の4つの特徴

1. 深みのある青「マイセンブルー」と染付技術

マイセンの代名詞ともいえる「マイセンブルー」は、コバルトを用いた独自の染付技術によるもの。1739年には代表作「ブルーオニオン」が誕生し、今なお人気の高いコレクションです。

2. 窯印「クロスソード」による真贋の証明

1722年から採用されている交差した2本の剣「クロスソード」は、マイセン製品の窯印であり、贋作防止のために施された商標です。描かれ方から製造年代の判別も可能で、コレクターには重要な判断基準となっています。

3. 無形文化遺産に登録された絵付けと造形技術

マイセンの絵付け技術は、ドイツ国内の無形文化遺産にも登録されるほど。緻密な手作業による絵付や成型技術は、300年以上受け継がれた伝統の結晶です。

4. 時代を反映する多彩な美術様式

バロック、ロココ、新古典主義からアール・ヌーヴォー、アール・デコまで、マイセンは各時代の美術様式を柔軟に取り入れてきました。伝統を守りつつ、常に革新を続けてきた姿勢も大きな魅力です。


マイセン(MEISSEN)の代表作・人気コレクション

スワンサービス

1737〜1741年にかけて制作された豪華なディナーセット。白鳥や貝、カタツムリなどが白磁で立体的に表現され、バロック様式の傑作として知られています。

ブルーオニオン

1739年に誕生した最も有名なデザイン。中国の柘榴を誤って玉ねぎと捉えて描かれたという逸話があり、今も高い人気を誇ります。

スノーボール(ロイヤルブロッサム)

王妃への贈り物として誕生した「枯れない花」。小さな白いガマズミの花を立体的に表現した装飾技法で、現行では「ロイヤルブロッサム」として展開中。

マイセンローズ

19世紀初頭のビーダーマイヤー様式で描かれた薔薇のモチーフ。ドイツ国内でも人気が高く、現行ラインナップでも定番デザインです。

フィギュアとアニマルフィギュア

芸術作品としての価値が高い人形や動物モチーフのフィギュアもマイセンの魅力の一つ。特に「猿の楽団」や「クーデター前夜のパリの市民」などは高く評価されています。


その他の名作と現行コレクション

「ドラゴン」「インドの華」「ドイツの華」などの伝統柄に加え、「イヤーコレクション」や現代的なデザインの「波の戯れ」「剣マークコレクション」など、多彩なシリーズが展開されています。


まとめ|マイセンは“進化する伝統”

「マイセン(MEISSEN)」という名称には、単なるブランド以上の意味があります。ヨーロッパ白磁の発祥地であり、高級磁器の象徴として、またドイツ・マイセン市の文化と誇りを表しています。

日本の有田焼と姉妹都市関係を結ぶなど、グローバルな文化交流も積極的に行われており、伝統を大切にしながら次世代のアーティストたちとともに、常に新しい表現へと進化し続けるマイセン。これからもその動向に注目が集まります。