金継ぎとは?壊れた器を美しく蘇らせる日本の伝統修復技術とそのやり方
最終更新日:2025/05/16
「金継ぎ(きんつぎ)」という言葉を耳にしたことはありますか?
金継ぎとは、割れたり欠けたりした陶磁器を修復し、継ぎ目に金などを施して新たな美しさを加える日本独自の修復技法です。
壊れた器を捨てずに活かす――その姿勢には、サステナブルな精神と深い美意識が息づいています。本記事では、金継ぎの意味や歴史、現代における価値、そして初心者でもできる金継ぎのやり方まで詳しくご紹介します。


大嶋 雄介
2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。
◾️ 目次
金継ぎとは?意味と特徴を解説
金継ぎとは、陶磁器が割れたり欠けたりした部分を漆で接着し、その継ぎ目を金粉や銀粉などで装飾して仕上げる修復方法です。破損部分を隠すのではなく、あえて際立たせ、独自の美として昇華させる点が最大の特徴です。
特に注目されるのが、「侘び寂び(わびさび)」という日本の美意識との深い関係。完璧さよりも不完全さや経年変化の中に美を見出すその哲学は、金継ぎの精神と見事に一致しています。
金継ぎの歴史|茶道とともに育まれた日本の美
金継ぎの起源は、室町時代にさかのぼります。当時、茶道が隆盛を極める中で、茶人たちは器に生まれた「傷」にも美しさを見出しました。中でも有名な茶人・千利休は、割れた器を修復する過程に「美と精神性」を見出し、金継ぎの文化を後押ししたとされています。
金継ぎは、単なる修復技術ではなく、器と向き合い、そこに宿る時間と物語を尊重する行為でもあるのです。
金継ぎが現代で再注目されている理由
近年では、サステナブルな暮らし方やエシカル消費が注目される中で、金継ぎへの関心が再燃しています。壊れた器をすぐに捨てるのではなく、「直して使い続ける」ことに価値を見出すライフスタイルは、現代人の心にも響きやすいテーマです。
さらに、InstagramやYouTubeなどで金継ぎを紹介するクリエイターが増えたことで、金継ぎは“美しい修復術”として国内外で注目される文化となっています。
金継ぎのやり方|初心者でもできる基本工程
「自分でも金継ぎができるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。実は、初心者でもできるように金継ぎキットが多数販売されており、自宅でも気軽に体験できます。ここでは、基本的な金継ぎのやり方をご紹介します。
1. 必要な道具と材料
- うるし(接着・コーティング用)
- 金粉または真鍮粉(仕上げ用)
- 砥の粉(割れた部分の補修用)
- 小筆や竹串
- マスキングテープ
- ゴム手袋(肌の保護)
- 金継ぎ専用キット(初心者向け)※市販品でもOK
2. 金継ぎの基本手順
(1) 洗浄・乾燥
破損した器の断面を丁寧に洗い、しっかりと乾燥させます。
(2) 接着
うるしに砥の粉を混ぜてペースト状にし、割れた部分に塗布して貼り合わせます。マスキングテープで固定し、数日かけて乾燥・硬化させます。
(3) 補修・研磨
欠けや隙間には、砥の粉とうるしを混ぜたペーストを詰めて補修し、乾燥後に表面を滑らかに整えます。
(4) 金粉の装飾
継ぎ目にうるしを薄く塗り、乾かないうちに金粉を筆で振りかけます。しばらく置いた後、軽く押さえて密着させます。
(5) 乾燥と仕上げ
最後に全体を乾燥させ、余分な金粉を払って完成です。
💡ポイント:天然うるしはかぶれる可能性があるため、最初は合成うるしや初心者向けの金継ぎキットから始めるのがおすすめです。
金継ぎキットで自宅体験も可能
現在では「金継ぎキット 初心者用」と検索すれば、さまざまなセット商品が見つかります。必要な道具が一式揃っており、解説書や動画付きのものも多く、初心者でも安心してスタートできます。
中には、「簡易金継ぎ」と呼ばれるエポキシ系接着剤を使った方法もあり、短時間で見た目にも美しい仕上がりが得られる手法として人気です。
金継ぎが教えてくれる「壊れたものの価値」
金継ぎの魅力は、美しい修復技術だけではありません。それは「壊れたこと」や「不完全さ」を否定せず、その傷の中に美しさや歴史を見出す哲学にこそ、本質があります。
現代は、壊れたらすぐに買い替えることが当たり前になりつつありますが、金継ぎは「直すこと」「使い続けること」の尊さを教えてくれます。
まとめ|金継ぎで器と心に新たな価値を
金継ぎとは、割れた器を金で繋ぎ、美しさを加えて再生させる日本が誇る修復技術です。ただの補修ではなく、壊れたこと自体を肯定し、独自の価値として輝かせるその姿勢は、まさに日本の美意識そのもの。
初心者向けの金継ぎキットも充実しており、今では自宅でも気軽に体験することができます。器に新たな命を吹き込み、物を大切にする心を取り戻す――金継ぎは、今の時代にこそ必要とされる“修復の美学”なのかもしれません。
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