ビデオカメラの歴史
2016/10/02
いまや、ポケットに収まるスマートフォンでもフルハイビジョンの高画質なビデオを録画することもできる時代ですが、ビデオカメラの黎明期には、ビデオを録画する部分と、撮影する部分の機材に分かれており、一般家庭で使用しているのは、ごく限られた人たちだけでした。
そんなビデオカメラがいかにして小型化をしてきたのか、その歴史をご紹介しましょう。
フィルムにビデオを記録していた時代
ビデオが一般化する前の時代、映像の記録にはフィルムが使われていました。この当時は、ビデオ信号を電気的に記録する方法が発明されていなかったので、テレビ番組などもフィルムで撮影して放送されていました。
しかし、録画が前提の番組であれば問題はありませんが、速報性が重要となるニュースなど、次第にフィルムによる録画の欠点が問題になり始めます。
そこで、1950年代に入ると、ビデオ信号をそのまま電気的に記録する方法の研究が進み、1956年(昭和31年)には、初めてのビデオテープレコーダの規格が登場して、1980年代までテレビ放送の主流となりました。
ポータブル化の流れとVHS規格の登場
1966年(昭和41年)には、初の民生用ポータブル録画機器がSONYから発表されました。
当時の録画機器は今のような一体型のコンパクトなものではなく、カメラ部分とデッキ部分が分離したもの。
包装用の機材については、カメラもデッキも民生用よりもはるかに重く、二人がかりで撮影を行っていたそうです。
その後、1976年(昭和51年)には、日本ビクターからVHS規格が発表され、同規格を使ったビデオカメラも登場してきます。
しかし、まだビデオカメラは一体型ではなく、カメラとデッキが分離しているものでした。
一体型ビデオカメラ「カムコーダ」の登場
1980年代には入り、ようやくカメラ部分とデッキ部分を一体化したビデオカメラ(カムコーダ)が考案されます。
そして、1982年(昭和57年)にはVHS規格のサブ規格である「VHS-C」が登場し、1984年(昭和59年)、遂にカメラ部分とデッキ部分が一体化されたカムコーダ第1号「GR-C1」が日本ビクターから登場することになります。
しかし、カメラとデッキを一体化したとはいえ、まだまだサイズは大きなもので、今のような「片手で」持てるようなものではありませんでした。
ハンディカムが登場しビデオカメラは片手持ちの時代へ
カムコーダの登場と同じ年には、家電業界統一規格として「8ミリビデオ規格」が発表。
1985年(昭和60年)には、ソニーから8ミリビデオ規格を採用したカムコーダが発売されます。
それが、ハンディカム第1号「CCD-M8」。
現在のビデオカメラの先駆けとなったモデルです。
この初代モデルは商業的には成功しなかったそうですが、片手でカメラを持って映像を撮影するという、ビデオカメラの新しい形を提案した記念すべきモデルだと言えるでしょう。
そしてハンディカムの流れから、各社の開発競争が始まり、カムコーダは徐々に小型が進みます。
そして遂に「パスポートサイズ」というキャッチコピーをつけたソニーのカムコーダ「CCD-TR55」が1989年(平成元年)に登場。
今も続くビデオカメラの形が、ここで完成しました。
その後も、液晶ビューカムの登場や記録媒体がフラッシュメモリに移行するなどの進化を遂げて現代に至ります。
民生用のビデオカメラは、今後ますます小型化していく方向に進化していくのでしょうか。
その未来の姿に興味は尽きません。
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