カルティエ(Cartier)の歴史と逸話

2018/11/30

世界5大ジュエラーとして名高く、時計ブランドとしても超一流のカルティエ(Cartier)。トップの座へと上り詰めた逸話や過去の記録をまとめましたので是非ご覧ください。
カルティエ(Cartier)リング画像

王侯貴族からの絶大な支持

 「王の宝石商、宝石商の王」-かのイギリス国王エドワード七世からカルティエ(Cartier)へと贈られた言葉です。およそ100年以上も前からカルティエ(Cartier)のジュエリーは王侯貴族に愛されてきました。1847年にスタートしたカルティエ(Cartier)。創設者のルイ=フランソワ・カルティエはフランスにあるヌーヴ・デ・プティ・シャン通りにお店を構えます。そこは当時、国王の弟の家系にあたるオルレアン公の館から目と鼻の先でした。館では社交界が度々行われており、そこに集う貴族や身分の高い人々にルイ=フランソワは目を付けたのです。彼の読みは見事に的中。カルティエ(Cartier)のジュエリーは上流貴族を中心に名が広まっていきます。
 極めつきとなったのがフランス皇妃ユゥジェニーからカルティエ(Cartier)へオーダーしたことでした。1859年、ナポレオン3世によるパリ大改革が行われました。改革によって美しく華やかな街へと生まれ変わったパリ。ここでも商いの才が発揮されたルイ=フランソワはパリのオペラ座付近に店舗を移転します。街だけではなく人々も着飾るようになり、カルティエ(Cartier)のブティックはパリの中心的存在となりました。その噂を耳にした皇妃ユゥジェニーがカルティエへオーダーしたことをきっかけに宮殿御用達となったカルティエ(Cartier)はその名をヨーロッパ全土へと広げ、ブランドとして大きな成長を遂げたのだそうです。
カルティエ(Cartier)リング画像

新たなトレンドを確立させた「アールデコ・スタイル」

1900年台初頭、ヨーロッパでは「アールヌーヴォー・スタイル」というのが流行しておりました。「アールヌーヴォー・スタイル」とは、花や動物をモチーフに金属やガラスを用いてデザインするというものでした。当時は産業革命をきっかけに、街には粗悪で安価な物が増えてしまい、いつしか人々は芸術性のある高価な物を求めるようになりました。世の中に新しい風をと建築家、芸術家、工芸家などあらゆるアーティストたちが「アールヌーヴォー・スタイル」でヨーロッパは彩られていきます。後に出てくる「アールデコ・スタイル」は1920年台からなのですが、それよりも前にアールヌーヴォーから脱却していたのがカルティエ創業者の孫であるルイ・カルティエでした。1914年に発表した「タンク」はそれまでの曲線的でエレガントなアールヌーヴォーとは異なり、直線的で近代的なものでした。やがてそれはアールヌーヴォーに代わってトレンドとなりルイ・カルティエは「アールデコ・スタイル」の先駆け者となりました。
カルティエ(Cartier)時計画像

数々の“世界初”

 こちらも同じく1900年、ダイヤやカラーストーンの台座にはシルバーが使用されておりました。ところが、年数経過により酸化してしまう為に折角のジュエリーの見栄えが悪くなってしまいます。そこで、代わりとなったのがプラチナでした。これを考案したのがルイ・カルティエと言われておりジュエリー界の大きな革新となりました。
 1904年には、腕時計「サントス」を制作。実はこれが世界初の腕時計でした。飛行士であり、ルイ・カルティエの友人であったアルベルト・サントス=デュモンより腕時計制作の相談を受けたのだそうです。ルイ自身も以前から時計制作に興味があり、完成されたのが「サントス」でした。懐中時計のように、出し入れせず直ぐに時間を確認出来る、当時では画期的なものだったそうです。
 さらに1912年、今度は世界初のバケットカットのダイヤモンドです。これもまたルイ・カルティエのアイディアでした。著名人ではモナコ公国の公妃であったグレース・ケリーに、レーニエ三世から贈られたエンゲージリングがバケットカットのダイヤでした。家族の反対を押し切り女優を志し、22歳の若さでハリウッドデビュー。人気絶頂の中、ヨーロッパの天子との結婚を決めたまさに波瀾万丈な人生を送った彼女に相応しい特別なリングだったのではないでしょうか。
カルティエ(Cartier)リング画像

Written by 上田勝太

上田 勝太

ゴールドプラザ 主任鑑定士
1985年生まれ 鑑定士歴15年
月次の最高買取金額10億円 各ニュースに出演
ゴールドプラザのコラム・ブログ・SNSにて情報を発信中

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