パール(真珠/Pearl)の品質を支える6つの要素について

2017/12/01

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磨いたり、形を整えたり加工することなく、自然のままの宝石「真珠」。
パールを宝石としてのパールたらしめる要素について説明いたします。

6つの要素について

パール(真珠)は貝の体内で生成されることはご存知でしょうか?
貝の最大の特徴といえば、貝殻ですよね。実は、貝は自分で貝殻を作っています。
貝殻を作る成分を分泌する外套膜(がいとうまく)という器官が、貝殻を作るのですが、その器官が貝の体内に偶然に入りこむことで真珠が生成されます。
その外套膜は細胞分裂して袋状になり、真珠袋をつくります。
そしてその真珠袋の中で結晶化され真珠層ができて真珠が生成されます。
養殖の場合は核(外套膜の組織片)を母貝の体内に入れ生成させます。
また、そのように採れたパール(真珠)には価値や品質を決める主な6つの要素があります。

1つ目:巻き

「巻き」とは球体を巻いている真珠層の厚さのことで、真珠層の巻きが厚く均等であるほど品質が高いと言われています。
また、一定以上の巻きがないと、表面だけでなく内側からの輝きもなく光沢も出ません

2つ目:照り(テリ)

照りとは真珠の2つの共存した反射による光沢のことです。
一つは真珠の表面のツヤから反射する表面光沢です。
もう一つは、数千層も積み重なった真珠層に入り込んだ光が反射し光を放つ内面光沢です。
照りは真珠層の厚さや(巻き)・構造により反射の具合が変わってきます。

3つ目:色目

色目とは真珠の色のことで、真珠は白色というイメージがありますが、実は3つの要素から色を判別します。
その要素とは干渉色(かんしょうしょく)、実体色、下地色の3つに分けられます。
それは、一粒の真珠でも、さまざまな色を発しているため、複数の視点から判断するためです。
干渉色は、真珠層の中に入った光が屈折、反射、透過などにより混ざりあって表面に現れる色のことです。
真珠層を作る幾重にも重なりあう炭酸カルシウムが生み出す色のことです。
水面上の油膜や、シャボン玉の表面に現れる虹色の発色と同じ原理のものです。
実体色は、真珠層の炭酸カルシウムを固定させているタンパク質の色素で、実際に真珠が持つ色のことです。
下地色は、核と真珠層の間にある有機質層が透けて見える色のことで、ブルー系のアコヤ真珠などはこの色を発します。
ただし、この有機質の層が核を綺麗に覆わないと、シミとなって現れてしまうこともあります。
真珠の色目は、これらの色彩要素が複雑に干渉しあって、世界に一つだけの色を作り出しているのです。

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4つ目:形

真珠の形は一般には丸い珠、特に真円に近いものが品質が高いと評価されます。
ただし、真珠には色々な形があり、左右対称のきれいな形をした涙型のドロップなどは個性的でその希少性から評価されています。

5つ目:キズ・エクボ

貝という生物が生成するため、真珠には完全なものはありません。
もっとも多いのが、養殖中に自然にできた小さなへこみや小さなキズです。
キズが少ないほうが、当然価値は高くなります。
しかし、人的に後からつけたキズとは異なるため、そういう小さなへこみやキズをエクボと言います。

6つ目:大きさ

真珠の直径のことで、真珠は重さで取引されるため、他の要素や評価が同じであれば、サイズが大きいほど評価は高くなります。

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価値や品質について

真珠の価値を決める各要素は前述でお話しさせていただきましたが、「巻き」「照り」「色目」の成因には密接な相互関係があり、一般的に「巻き」の厚いほど「照り」「色目」に優れた特徴が現れ、「照り」が美しく光沢を放つことで宝石としての価値や品質が決定されます。
そして、真珠の検査項目である「巻き」「照り」「色目」「形」「キズ」などの要素の全てにおいて、グレードが最上級と評価されたものを「花珠(ハナタマ)」と呼び、その希少価値は数百粒のアコヤ真珠から1粒程度しか採れない程度です。
また、基本的には「形」が真円に近かったり、大粒の方が価値が高くなる真珠ですが、自然の産物である真珠にはその独特の個性により評価が上がることもあります。
形で言いますと、米粒に似た形のライス、俵形のオーバル、涙型のドロップなど変形したものでも最近は人気が出てきています。
真珠は、その成分から手入れが必要な宝石です。主成分は炭酸カルシウムであり、真珠の表面に汗やアブラが付着し、しばらくそのまま放置すると結晶が溶けだし、表面光沢がなくなります。
そのためには、使用したらこまめに汗やアブラを拭き取り、密閉されていない通気性の良いところで保管しましょう。
また、エクボについては多少のものでしたら、身に着けると意外に目立ちません。

品質状態による買取価格の差

ここまでお話した、要素や品質、状態により売却時の価格も左右されます。
特に高品質な「花珠(ハナタマ)」のお品物は高額買取されることが多いようです。
品質の高いパール(真珠)製品には鑑別書が付属しており、そこに性質が記載されます。
パール(真珠)製品をご売却の際は、ご購入時に付属した鑑別書を同時に持ち込むことをお奨めします。

パールの買取はゴールドプラザ

Written by 上田勝太

上田 勝太

ゴールドプラザ 主任鑑定士
1985年生まれ 鑑定士歴15年
月次の最高買取金額10億円 各ニュースに出演