「銀食器」について

2023/08/01

ゴールドプラザブランド食器買取バナー
「銀食器」は、古くから王侯貴族に愛用されており、現在でも格式の高いレストランなどで触れる機会もあります。また銀がテーブルウェアに採用された理由は、抗菌作用や毒に反応するという話もございます。今回はそんな「銀食器」についてお話しさせていただきます。

「銀食器」とは

「銀食器」とは、一般的に銀で作られたフォーク・スプーン・お皿などの食器を指し、「銀器」や「シルバーウェア(silverware)」とも呼ばれています。また「銀器」には食器以外にも装飾品や神具が含まれた総称として呼ぶことがあり、「銀食器」と区別して使われることもございます。
「銀食器」は、銀の含有率が92.5%以上の「スターリングシルバー」と銀でコーティング(銀メッキ)された「洋白銀器」の大きく二つに分類されており、どちらも高価ではございますが、やはりスターリングシルバーの方が価値は高くなります。銀はもともと柔らかい⾦属のため、スターリングシルバーのような純銀と呼ばれる製品には、割⾦に銅などを加え強度を上げています。また、割⾦の素材や配合具合により微妙な⾊合いや質感も変わってきます。一方の洋白銀器(銀メッキ)は、ニッケルなど合金素材の素地に純銀でメッキしたもので、洋銀やニッケルシルバーとも呼ばれています。そもそも洋白銀器は、高価な純銀製の食器の代用として作られたものでしたが、広く一般に普及したことで今では「銀食器」の代名詞として知られています。
そして、古くから銀が食器に使われる理由は、見た目の美しさもさることながら、抗菌作用と熱伝導が高いためと言われています。現在でも下着や靴下など抗菌仕様の繊維には銀(銀イオン)が含まれているのがその証拠で、熱伝導が高さも料理の温かさや冷たさを感じながら⼝当たり良く楽しめるからと言われています。
銀は紀元前から、貨幣や宝飾品として用いられてきた貴重な金属であり、中世ヨーロッパにおいては「銀食器」を使うことが、富と豊かさの象徴でもありました。また銀は、無味無臭のヒ素などにも反応することから毒殺を防ぐ目的や、常に手入れをして磨かないと変色してしまうため“食器にまで手間暇がかけられる”といった経済力のステータスとして王侯貴族に重宝されました。
西洋では昔から出産のお祝いに銀のベビースプーンを贈る習慣がございますが、これも赤ちゃんが「一生食べ物に困らないように」「魔除けやお守りとして」幸せに育って欲しいといった願いが込められているからで、日本でも近年ではお食い初めの際に銀のスプーンが使われることもあります。

「銀食器」のお手入れ方法

「銀食器」は、ステンレス製の食器に比べて優しい光沢と質感がとても魅力的なカトラリーです。とはいえ銀のデメリットといえば、黒ずみや変色です。銀の食器を扱うレストランなどでは、変色しないよう毎日「銀食器」を磨きお手入れが欠かせないそうです。そもそも銀はなぜ黒く変色するのか、それは空気中に含まれる硫化水素または亜硫酸ガスと銀が化学反応を起こすことから、長い間使用していないと変色します。ここでは、そんな「銀食器」のお手入れについて紹介させていただきます。

黒ずみや変色を落とす

銀食器が黒く変色してしまった場合は、鍋で水を沸かし沸騰したら塩または重曹を入れ、適度に切ったアルミ箔を投入し銀食器を入れて数分煮沸。その後、取り出して拭き残しがないよう綺麗に磨けば、元の光沢が甦ります。ただし銀は熱伝導が高いので火傷には注意が必要です。

洗浄・洗い

銀食器の使用頻度が高い場合は、変色も起こりにくくなりますので、食器用洗剤等を使い柔らかいスポンジで洗い、洗いムラや拭きムラがないように布巾などで水気を完全に拭き取ってください。また、銀は柔らかい⾦属ですので目の粗いスポンジ、クレンザーや研磨剤等は控えた方が良いでしょう。強酸・強アルカリ性の洗剤や漂白剤もNGです。

クリーニング

ポリッシュ液を染み込ませた専用のクリーニングクロスやクリーニンググローブ、専用の液体クリーナーを使用することでツヤが出ます。どちらもシルバーアクセサリー等で使うことが多いですが、もちろん銀食器にもご利用いただけます。ただし口にするものですので、お使用の際は、再度食器用洗剤等で水洗いすることをおすすめします。

保管方法

銀食器は長く放置すると黒く変色しますので、空気に触れないように保管することが重要になります。しばらく使用しない場合は、銀製品専用の収納シートや袋を使用することがベストですが、無い場合はクッキングペーパー・ラップ・布などで重ね傷ができないよう一つ一つ包み、気密性の高い容器やフリーザーパックなどに入れて保管してください。また保管場所も、開け閉めが多い場所などは空気に触れる回数も増えるため、なるべく頻度が少ないところに保管しましょう。

以上お手入れについてご紹介致しましたが、「銀食器」はお手入れすればするほど味わいが増し、長く使うことができます。

「銀食器」の有名ブランドについて

ヨーロッパの王侯貴族をはじめ、日本においても明治の文明開化により洋食器における「銀食器」は特別な存在になりました。そんな「銀食器」には数々のブランドやメーカーが存在し、今も愛され続けています。ここでは数多ある中から代表的なものを取り上げてみたいと思います。

クリストフル(CHRISTOFLE)

1830年創業の銀食器を代表するフランスのブランドです。フランス王室御用達としてナポレオン3世など数々の王侯貴族や著名人から愛されてきました。クリストフルの銀食器は「食卓の芸術品」と称賛され、今日では世界各国の大使館や高級ホテルなどで使われています。

マッピン&ウェッブ(Mappin & Webb)

イギリスを代表するカトラリーブランドで、1775年創業と歴史は古く、1897年には英国王室御用達となり、各国の王侯貴族に愛されてきました。現在は高級ジュエラーや時計メーカーとして知られていますが、クラウンジュエラーとしての名門の伝統はシルバーウェアに引き継がれています。

エルキューイ(ERCUIS)

創業1867年、フランスのカトラリーブランドです。創業者の名前がブランド名になった多くのメーカーと違い、エルキューイ村の若き牧師が村の立て直しのために銀器や金銀メッキ製品を製造した事がブランドの始まりとなります。数々の一流ホテルやレストランに採用されてきた銀器は、その実力と人気の証です。

ジョージジェンセン(GEORG JENSEN)

デンマークのコペンハーゲンにて1904年創業の装飾品やカトラリーなどを手がけるブランドです。 銀細工師であった創業者の名前が社名となり、北欧発のシルバーアイテムは不動の人気を誇り、過去にはプレミアがついたものもあります。

ピュイフォルカ(PUIFORCAT)

1820年創業のフランスを代表する銀製品ブランドです。創業者は銀細工職人・彫刻家・デザイナーであったことから世に出回ったシルバーウェアは芸術性も高く多くのコレクター垂涎の的となり、かのアンディ・ウォーホルも収集していた程です。現在も職人の手によって製作されています。

早川器物(早川シルバー)

1948年創業の新潟県燕三条の銀器専門ブランドで、通称「早川シルバー」。日本が誇る職人技術で洋白銀器(ニッケルシルバー)をはじめ各種銀器を製造しています。日本国内だけでなく世界各国で愛用されています。

上田銀器工芸

創業は1926年の東京都台東区に構える、日本に老舗銀食器メーカーです。ヨーロッパのカトラリー製造技術と日本の伝統技法を融合させた作品は、日本の皇室のテーブルウェアを製作するほどの実力です。

そのほかにも、スターリングシルバーの銀器といえばアメリカを代表するジュエラー「ティファニー(TIFFANY & Co.) 」、イギリスで長く親しまれている銀食器メーカー「クイーンアン(QUEEN ANNE)」、日本においては新潟県燕市の1915年創業小林工業が手がけるシルバーカトラリーブランド「ラッキーウッド(LUCKY WOOD)」、日本を代表する洋食器ブランドであり銀食器にも定評のある「ノリタケ(Noritake)」などが挙げられます。
最後に、時代を重ねながら大切に使われてきた「銀食器」は、アンティーク品としての価値も高く根強い人気を誇ります。家のどこかに眠っている「銀食器」がございましたら、使って愉しむのも良し、査定に出して価値を鑑定してみるのも良しです。

Written by 上田勝太

上田 勝太

ゴールドプラザ 主任鑑定士
1985年生まれ 鑑定士歴15年
月次の最高買取金額10億円 各ニュースに出演

食器の買取についてはコチラ >>

食器の買取実績についてはコチラ >>
食器のコラムについてはコチラ >>