ダイヤモンドのカットの歴史
2016/11/20
ダイヤモンドのカットには、本当にたくさんの種類があり、その歴史もさまざまです。
今では定番となったスタイルも、元々は宝石職人たちが苦労してみつけ出したカット方法なのです。
ここでは、ダイヤモンドの原石をより美しく見せるために、職人たちが研究を重ねながら作り上げた「カットの歴史」について探っていきましょう。
ダイヤモンド加工の歴史
ダイヤモンドは紀元前800年頃のインドで発見されたのが始まりと言われています。
当時の研磨は輝きを最大限に引き出すといったものではなく、原石の硬度や神秘的な輝きを楽しんだり、パワーストーンとして崇められていたようです。
輝きを引き出すためのカットが研究され始めたのは、14世紀のヨーロッパだと言われています。
15世紀中盤にはローゼンツカットやテーブルカットが発表され、16世紀後半にはオランダでローズカットが発表されました。
ローズカットは薔薇のつぼみのようなドーム型をしており、今までのカットに比べてぐっと輝きが増すカットだったため、当時のヨーロッパの貴族には大人気だったようです。
今でもアンティークジュエリーファンには、その上品なデザインが人気となっています。
中世ヨーロッパにおけるダイヤモンドのカットの歴史
17世紀に入ってからは、南アフリカやインドからたくさんのダイヤモンドがヨーロッパに持ち込まれるようになり、宮中の夜会で栄えるような、きらびやかなダイヤモンドのカットが研究されるようになります。
それまで人気だったテーブルカットは、華やかさに欠ける印象があるため、より研磨面を増やしたローズカットが人気となっていきます。
17世紀の終わりには、ベネチアの職人ペルッツィがブリリアントカットのルーツともいえる、オールドマインカットを発表しました。
これは、カット面を58も持つ華やかなものでしたが、ほぼ正方形をしていました。
ここからさらに研究が進み、円形のラウンドブリリアントカットと非常によく似たスタイル、オールドヨーロピアンカットが誕生します。
20世紀以降のダイヤモンドのカットの変遷
19世紀の終わりに電灯が開発されてからは、電灯の明るさに栄えるようなカットの研究が始まり、1919年に数学者のマルセル・トルコフスキーがブリリアントカットを発表しました。
これが現代にも続く王道のカットスタイル、ブリリアントカットの誕生です。
その後ラウンドだけでなく、ペアシェイプやハートシェイプ、オーバルやマーキスといった個性的なスタイルも誕生します。
また、ステップカットの流れを汲んだエメラルドカットや、様々なカットの良さを合わせたミックスカットなど、輝き以外の要素も楽しめるカットが数多く誕生しています。
ダイヤモンドのカットは、輝きを最大限に引き出すために今もなお研究され続けています。
古代インドでは神秘的な力を授けてくれる石として崇められていたダイヤモンドですが、現代ではその美しい輝きで、女性をより魅力的にみせるアイテムに変化していると言えるでしょう。