世界最古のレザーブランド「デルヴォー(DELVAUX)」
2025/03/03
約200年の歴史を誇る世界最古のラグジュアリーレザーグッズメゾン「デルヴォー(DELVAUX)」。そのレザーアイテムはファッションの枠を超え、芸術性を備えた皮革製品として世界中のセレブリティたちをも魅了しています。今回はそんなベルギー王室御用達ブランドの歴史や人気アイテムについて紹介させていただきます。
「デルヴォー(DELVAUX)」とは
ベルギー発の「デルヴォー(DELVAUX)」は、世界最古のラグジュアリーレザーグッズメゾンとして、およそ200年にわたり他と一線を画し、伝統を守りながらも時代に応じ進化を遂げてきた由緒あるレザーブランドです。今回は、ベルギー王室をはじめ世界中のセレブリティに愛される「デルヴォー(DELVAUX)」の魅力や歴史、アイテムについてお話しさせていただきます。
ブランドの始まりは日本では江戸時代にあたり、ベルギー王国が建国される前年の1829年ブリュッセルにおいて、創業者シャルル・デルヴォーが旅行用品のアトリエを開業したことにさかのぼります。確かな職人技による皮革製品の数々は、その品質の高さが評判を呼び、1883年にはベルギー王室御用達の栄誉を賜り、現在までその称号を維持しています。またこれにより、ロイヤルファミリーをはじめ世界中のセレブリティや目の肥えた人々の間で、広く愛用されるようになりました。
移動手段として鉄道の発展など産業革命の影響を受け、女性の社会進出を見越し身軽に旅行できるように、女性向けのレザーハンドバッグを考案し、1908年には意匠登録を出願。1946年には、航空機で旅行するためのスーツケース「アヴィア エアレス(Avia Airess)」を開発し、航空機用鞄としては世界で初めての特許を出願しました。
1950年代にはオートクチュールの影響を受け、シーズンごとに新作を発表するスタイルを確立。これによりデルヴォー(DELVAUX)は単なるバッグメーカーではなく、ファッションと共鳴するブランドへと成長し、タイムレスな逸品を次々と誕生させていきます。
中でも1958年に発表された「ブリヨン(Brillant)」は、デルヴォーのアイコンとして現在も高い人気を誇るモデルです。ブリュッセル万国博覧会のために特別にデザインされたこのバッグは、建築的なフォルムと洗練された曲線が特徴で、発表以来世代を超えて愛され続けています。
そして2021年、カルティエ(Cartier)やヴァンクリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)など錚々たるブランドを束ねる、世界3大ラグジュアリー・コングロマリットの一つ、「リシュモン(Richemont)」グループの傘下に入り、益々ブランドは進化を遂げます。
デルヴォー(DELVAUX)はまた、ベルギーの文化芸術とも深く結びついており、2013年にはベルギーの国宝でブリュッセルの愛すべき象徴「マヌカン·ピス(小便小僧)」のブロンズ像の衣装を制作するという名誉にも預かっています。
現在、デルヴォー(DELVAUX)は世界中で50店舗以上を展開。ベルギー国内のみならず、世界のラグジュアリー市場において確固たる地位を築いており、その卓越したクラフトマンシップと洗練されたデザインは、ベルギーの伝統と芸術を体現する存在として、今なお人々を魅了しています。

「デルヴォー(DELVAUX)」の人気モデル
「デルヴォー(DELVAUX)」のレザーアイテムは、かのエルメス(HERMÈS) がその高いクオリティと品質の良さを認めるほど、伝統的な手作りにこだわり、ひとつひとつ職人の技で仕上げた“一生もの”として、世界中の女性たちから愛されています。その理由にデルヴォー(DELVAUX)の魅力を語る上で欠かせない独自のデザイン哲学があり、単なるファッションアイテムではなく、職人技と芸術性が融合した“作品とも言える存在”を追求していることが挙げられます。シュルレアリスムの巨匠であるルネ・マグリットなどアーティストの影響を受け、遊び心のあるデザインや独創的なフォルムがバッグ等のアイテムのディテールに取り入れられ、その数々の人気モデルは持つ人の個性を引き立てるユニークな芸術作品としても高く評価されています。
ここでは、そんなデルヴォー(DELVAUX)の代表的な人気モデルを紹介します。
ブリヨン(Brillant)
1958年に誕生した不動の名作「ブリヨン(Brillant)」は、ブランドの象徴として時代を超えて愛され続けているモデルです。元々はブリュッセル万国博覧会のために制作されたコレクションで、現在も常に新しい姿に進化し、ベルギーとフランスにあるアトリエで64のレザーパーツを組み合わせて仕上げられています。エレガントなシルエットに美しい馬蹄型のバックルのタイムレスなデザインが特徴で、サイズもGM・MM・Mini・Charmsなど多彩に展開しています。
タンペート(Tempête)
帆船のトラペーズから着想を得て、1967年に建築家ポール・ゴーシャルズと共同のデザインで誕生したブリヨンと並ぶアイコンバッグ「タンペート(Tempête)」。ブリヨンがクラシカルな雰囲気を漂わせるのに対し、タンペートはモダンで現代的なイメージです。直線的でシャープなシルエットとスタッズのユニークな留め具が特徴的で、ハンドバッグやショルダーバッグとして使用することが可能な、機能美へのこだわりが詰まった汎用性の高いモデルです。サイズもGM・MM・Charmsなどを展開しています。
パン(Pin)
世界中で平和や愛が叫ばれた1972年に誕生した「パン(Pin)」は、自由でカジュアルな印象のモデル。しなやかな丸みを帯びたフォルムで、ハンドバッグやショルダーバッグとして使用できる機能的なアイテムです。フロントのD字型シグネチャーデザインが特徴的な万能バッグで、Daily・BucketをはじめD マルチファンクションといった財布など、幅広いサイズやコレクションを展開しています。
クールボックス(Cool Box)
2018年に登場した「クールボックス(Cool Box)」は、名前の通りボックス型のシルエットが特徴で、1枚のレザーから作られています。取り外し可能なショルダーストラップがついており、利用シーンに合わせて楽しめます。サイズはMM・Mini・Nanoの3つを展開しています。
そのほかにも、ファッションデザイナーのジャン・コロナとのコラボレーションアイテムで、2019年にブリヨンをアレンジして生まれた「レックス・エックス・エル(L’XXL)」、1970年代のモデルからインスパイアされ生まれた2022年発表の「ランゴー(Lingot)」、2024年デビューの幾何学的な穴あきトートバッグ「L’Airess(レアレス)」など、単なるトレンドに流されることなく、時代を超えて愛される美しさと品質を兼ね備えたアイテムを次々と生み出しています。
最後に「デルヴォー(DELVAUX)」のアトリエには、これまでに制作された3000点以上にのぼるデザインがすべて記録されたアーカイブが存在し、歴史と伝統を守りながらも常に“伝統と革新を融合”させたその姿勢こそが、200年近くにわたりトップブランドであり続ける理由なのかもしれません。