冶金(やきん)とは?製錬との違い、金を作る手順を解説

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大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。

金は古代から人々を魅了してきた貴金属ですが、その裏には「冶金(やきん)」という高度な技術があります。冶金とは、鉱石などの原材料から金属を取り出し、利用可能な状態に加工する一連の技術のこと。本記事では、冶金の基礎から製錬・精錬・精製との違い、さらに金がどのように地金として作られていくのかをわかりやすく解説します。錬金術との違いや冶金の歴史もご紹介します。


冶金(やきん)とは何か

冶金(やきん)とは、金属を鉱石などの原料から取り出し、目的に応じた形状や性質に加工する科学・工学分野のことを指します。英語では「metallurgy」と表記され、金属を「作る」および「加工する」技術の両方を含んでいます。冶金には2つの大きな柱があり、1つは鉱石から金属を取り出す「製錬(せいれん)」、もう1つは取り出した金属を合金化したり形を整えたりする「加工」です。

たとえば、金鉱石の中に含まれる微量の金を化学反応によって分離し、さらに純度を高めて地金として成形するまでのプロセスは、すべて冶金に含まれます。つまり、金属の抽出から最終製品の製造までをカバーする広範な技術領域なのです。


製錬や精錬、精製との違いは?

冶金の中でも特に混同されやすいのが「製錬」「精錬」「精製」という用語です。英語では製錬は「smelting」、精錬は「refining」、精製は「purification」に相当します。それぞれ工程や目的が異なり、冶金の中で役割が分かれています。


「製錬」とは

製錬(せいれん)は、鉱石に含まれる金属成分を化学的な処理によって取り出す工程です。高温での加熱や化学薬品を使って、金属を不純物から分離し、粗い金属(粗金など)を得る段階がこれにあたります。


「精錬」、「精製」とは

精錬(せいれん)は、製錬によって得られた金属からさらに不純物を取り除き、より高純度な金属を作る工程です。たとえば、粗金に含まれる微細な銀や銅などを除去して純度99.99%以上の金にするプロセスが該当します。

一方、精製(せいせい)は、さらに細かいレベルでの純化を意味します。たとえば、化学反応や電気分解などの方法を用いて、特定の用途に応じた極めて高純度の金属を得るときに使われます。

冶金という大きな枠組みの中に、まず「製錬」があり、その後に「精錬」や「精製」といった工程が続くという流れになります。いずれも金属の純度や品質を高めるための重要なステップです。


歴史

冶金の歴史は人類の文明とともに歩んできました。最も古い冶金技術の痕跡は紀元前5000年ごろ、古代メソポタミアやエジプトにさかのぼります。当初は自然金(自然界にそのままの形で存在する金属)が使用され、やがて銅や青銅といった合金が発明されました。

金に関しては、古代エジプトでの金装飾品の使用が最古とされ、ファラオのマスクなどに見られるように、王権や神聖性の象徴として用いられてきました。中国でも紀元前3000年頃には金属加工が行われており、冶金技術が文明ごとに独自に発展しました。

日本では弥生時代に鉄器が登場し、奈良・平安時代には金や銀も用いられるようになりました。江戸時代には、佐渡金山などで鉱山開発が進み、冶金技術も精緻化していきました。現代では、科学技術の進歩によって、高効率・高純度な金属の製造が可能となっています。

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錬金術で金を生み出すことはできなかった

中世ヨーロッパで盛んだった錬金術では、鉛などの卑金属を金に変えることを目指していました。しかし、これは科学的根拠のない試みであり、現実には金を人工的に生み出すことはできませんでした。

錬金術は、現在でいう化学の黎明期にあたり、さまざまな化学実験や記録が後の科学の発展に寄与した側面もあります。しかし、金そのものを元素レベルで創り出すには、核反応のような高度な物理的プロセスが必要であり、日常的・産業的には現実的ではありません。

現代では、金は地中に存在する鉱石から取り出すことで得るしかなく、錬金術的な方法で金を生み出すことは不可能とされています。


現代の金地金を作る手順

現代の技術を用いた金地金(インゴット)の製造は、以下のような手順で行われます。

  1. 採鉱:金鉱山から金を含む鉱石を採掘。
  2. 粉砕・選鉱:鉱石を細かく砕き、金成分を含む部分を選別。
  3. 製錬:化学処理によって鉱石から金を取り出し、粗金を得る。
  4. 精錬:電気分解などの方法で不純物を除去し、高純度の金に仕上げる。
  5. 鋳造:溶かした金を型に流し込み、冷やして金地金の形に整える。
  6. 検品・刻印:品質を検査し、純度や重量の刻印を施して出荷。

このようにして、我々が目にする美しい金地金が完成します。


まとめ

冶金は、金をはじめとする金属を鉱石から取り出し、加工する技術全般を指します。製錬、精錬、精製といった工程は冶金の中に位置付けられ、それぞれ役割が異なります。錬金術のように金を生み出すことはできませんが、現代の冶金技術により、高純度の金地金が効率的に製造されています。金の価値を支える背景には、こうした高度な科学技術があることを知っておきましょう。

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