消費税の増税後は買取(売却)がお得?

2019/11/29

2019年10月から消費税率が10%に引き上げられ、増税後に金やプラチナなどの貴金属、時計など高額品を売却すれば上がった税率分得する?と言われていますが、これはいったいどういうことなのか注意点を交えて説明させていただきます。
金相場高騰バナー画像

消費税の増税後は、売却して「差益」を得るチャンス?

みなさんもご存知の通り、2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられました。消費税の増税前には、「2%上がる前に」と家電製品やブランド品、中には不動産など高額な買い物をする「駆け込み購入」が話題になりました。
これは今回だけの話ではなく、消費税の導入時も含めて過去3回とも同じ現象が起こっています。
また、金(GOLD)・プラチナ(白金)などの貴金属の投資にも、同様の現象が起こり、価格の相場も駆け込み需要で大きく伸びました。
逆に、過去の増税後はどうだったかと言いますと、購入したモノの価格が下がっていないことが前提ですが、増税の時期をまたいで売れば、上がった消費税率分が上乗され利益になるタイミングと考える人が多かったようです。
そう、いわゆる現物売買による「差益」です。

ここで売買取引による消費税について少し触れてみたいと思います。
例えば、個人で貴金属販売会社から金地金を購入した場合「小売価格」に消費税が上乗せされます。逆に買取会社に金地金を売却した場合「買取価格」に消費税が上乗せされます。
もう少し細かく説明しますと、上記例の場合、購入するときは個人が消費税を貴金属販売会社に支払い、受け取った貴金属販売会社が国に税金を納めます。逆に売却するときは買取会社が消費税を個人に支払い、受け取った人が国に税金を納めることになります。
ただし、このような取引において消費税の納付義務があるのは、法人と個人事業者(個人事業主)のみになります。どちらにも当てはまらなければ、申告する必要はありません。
また、課税期間内の課税売上高が1,000万円以下の個人事業者(個人事業主)も、納税義務が免除されます。

つまり、通常は個人として売却する場合は、消費税の課税事業者ではないので、消費税については申告する必要がないと言えます。

話は消費税の「差益」について戻りましょう。
あくまでも、販売と買取の間にあるスプレッドを排除した単純計算になりますが、
金レートが1グラム=5500円として、金地金500グラムを消費税が8%の時に購入すると、
5500円×500g +消費税8%=2970000円
という計算になり、消費税込みの販売価格は297万円になります。

次に、金レートが1グラム=5500円が変わらない前提で、増税をまたぎ金地金500グラムを消費税が10%の時に売却したとしたら、
5500円×500g +消費税10%=3025000円
という計算になり、消費税込みの買取価格は302万5千円になります。

そして消費税の「差益」を計算すると、
3025000円−2970000円=55000円
となり5万5千円分の利益になる計算です。

ですので、前述で述べた過去3回の増税後は、個人投資家などを中心に「差益」を狙って売る傾向が強かったと言われています。
ただし、個人でも短期間で何度も購入・売却を繰り返し、利益を生み出している場合などは、個人事業者による営利目的の売買とみなされ、消費税の納税義務が発生するケースもありますのでご注意を。

また、会社員など一般の給与所得者が、金やプラチナ、宝飾品等の資産を売却して得た利益は、所得税の対象となる「譲渡所得」とみなされます。ただ、譲渡所得には年間で50万円の特別控除があり、売却で得た利益と他の売却で得た利益を合わせた金額から、特別控除の50万円を引いた金額が、他の給料所得と合算して課税の対象となります(資産の保有期間によって課税対象となる譲渡所得の算出方法は異なります)。
さらに、ご家庭の事情等で家族の個人名義のものを代わりに売却したり、ご自身の家族に譲渡したものを家族が売却したりする場合は、「相続税」や「贈与税」の課税対象となるケースがありますので注意が必要です。

金やプラチナなどの貴金属の売却について

金(GOLD)・プラチナ(白金)などの貴金属の価格には市場相場があり、価格も日々変動するため、増税による差益を確実に確保したい個人の方には注意したいところですが、特に金(GOLD)に関して言えば、国内では地金の買取価格は2019年9月時点で1グラム5500円台と1980年以来約40年ぶりの高値を示し、増税から1カ月たった11月時点の段階でも相場が安定していることもあり、「今が売り時のタイミンング」という動機が生まれやすいのではないでしょうか。
2014年4月の前回の増税時にも、増税前より高値が付くと消費税の差益を確保するため、買取会社にインゴットや指輪、宝飾品を持ち込む個人でにぎわいました。

また、金やプラチナは「資産」としての意味合いも強く、増税前に買っておくべきものの代表として、金やプラチナのインゴット(地金・延べ棒)がメディア等で紹介されることが多いのは、同じ資産の代表格の不動産と比較しても、「固定資産税の対象にならない」「小分けにして保存・相続できる」「レートを見て即、売却できる」というメリットがあるからでしょう。
金価格の高騰-金画像

時計などの高級品の売却について

高級ブランドの時計やジュエリーなどの売却で、消費税の増税による差益を得ることは可能ですが、大前提として査定金額が同額もしくはそれ以上であることが挙げられます。
また、売却するモノによっては、先ほどご紹介した所得税の対象となる「譲渡所得」とみなされる可能性があります。
所得税に課税されない譲渡所得として「生活用動産の譲渡による所得」というものがあり、この「生活用動産」とは、家具や衣服など生活に通常必要な動産(現金・商品など不動産以外のすべての財産)のことを指します。
つまり、生活費需品の資産は課税対象にはならないため、高級時計であっても、生活必需品として個人が使用していた時計を売却する場合などは、「生活用動産」とみなされる可能性が高いと言えるでしょう。
ただし、「生活用動産」の範囲外として、貴金属や宝石、書画、骨董品などで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税されます。
要するに、指輪・ネックレスなどの高級ジュエリー1個(1組)、アンティーク品などで買取価格が30万円超えるものについては「譲渡所得」の対象となるということです。
注意したいところとしては、時計であってもダイヤモンドなどの貴石をあしらったものやアンティーク品で、買取価格が30万円超えるものについては課税対象になる可能性があります。

しかし、先に述べた金やプラチナなどの貴金属の買取同様に、譲渡所得には年間で50万円の特別控除がありますので、その範囲内であれば損をすることは少ないでしょう。

以上を踏まえて見れば、一定のルールや法令上の注意点を守り、消費税増税後の差益を生むことは、「お得」と考えるべきではないでしょうか。
ジュエリー買取バナー画像