プラチナ(白金)価格の下落について

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大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。

プラチナとは?その希少性と価値

プラチナ(白金)は、金や銀と並ぶ代表的な貴金属であり、ジュエリーや産業用途として広く利用されています。その希少性は非常に高く、2017年時点での世界産出量は約200トン。対する金は約3,150トンで、プラチナは金の約16分の1しか採掘されていません。

こうした背景から、プラチナは婚約指輪や結婚指輪など、特別なジュエリーに使われる素材として定着しています。また「プラチナチケット」「プラチナカード」など、特別で価値のあるものの象徴としても言葉が使われることがあります。

主な産出地は南アフリカ共和国で、世界の約7割を占めます。歴史的にも紀元前の古代エジプトで王族の装飾品に使用されていた記録があり、1800年代には欧州での精錬技術の発達により、宝飾用途が拡大しました。

特にフランスの高級ジュエラー「カルティエ」が初めてプラチナをジュエリーに使用したことで注目され、ダイヤモンドとの相性の良さからブライダルリング素材としての地位を確立しました。

プラチナ合金の種類とホワイトゴールドとの違い

日本でのプラチナジュエリーは純度を「Pt999」「Pt950」「Pt900」「Pt850」と区分され、これは1000分率(パーミル)で表示されます。ホワイトゴールドは金をベースにした白色合金であり、プラチナとは異なる素材です。


世界におけるプラチナの需要と用途

宝飾品だけではない工業的需要

日本ではプラチナ=ジュエリーというイメージが強いですが、世界的には主に工業・医療・化学分野での使用が中心です。2019年時点での統計によると、世界全体のプラチナ需要の約60%以上が工業用途であり、宝飾用途は約35%にとどまります。

プラチナは耐熱性や耐腐食性に優れており、特に高い触媒性能を持つため、自動車の排ガス浄化装置や化学プラント、燃料電池などで活用されています。

対照的に、金は48%が宝飾用途、約7.5%が工業用途、残りは主に投資用として保有されており、用途構成に大きな違いがあります。


プラチナ価格下落と金価格逆転の背景

「金より希少なはず」が通じない市場の実情

従来、プラチナは金よりも希少であるため、価格も高いことが常識とされていました。しかし、2015年以降そのバランスは崩れ、金の価格がプラチナを上回る「価格逆転現象」が起きています。これは2019年時点でも継続しており、その差は拡大しています。

要因の一つは、安全資産としての「金」への投資需要の高まりです。世界経済や地政学リスクが高まる中で、金の価格が高騰。一方、プラチナは需要減が進行し、相場は下落傾向をたどっています。

ディーゼル車需要の減少が打撃に

プラチナ価格の下落において特に大きな影響を与えたのが、自動車の排ガス浄化装置としての需要減です。プラチナは主にディーゼル車に使われていましたが、2015年に発覚したフォルクスワーゲンの排ガス不正問題(ディーゼルゲート)をきっかけに、欧州では「脱ディーゼル化」が進行。

その結果、ディーゼル車向けのプラチナ需要が減り、供給過剰な状況を生んでいます。一方で、ガソリン車用触媒に使われるパラジウムの需要は増加し、2019年10月時点ではプラチナの約2倍の価格を記録しました。


中国市場の変化とリサイクル技術の進化も影響

プラチナ価格の下落要因としては、宝飾品需要の低迷も無視できません。特に中国は世界最大級のプラチナ消費国であり、ここでの需要が減退すると、価格に与える影響は大きくなります。

加えて、使用済み製品からプラチナを再利用するリサイクル技術の進化も供給増を促進しています。これにより、新規採掘以外の供給源が増えた結果、市場全体では供給過多の傾向が強まりました。

また、プラチナの主要産出国である南アフリカ共和国では経済低迷によって通貨ランドが下落しており、それも価格下落の一因とされています。


価格下落は投資のチャンスか?

一方で、金よりも希少であるはずのプラチナの価格が逆転しているこの状況は、投資家にとっては「買いのタイミング」と見る向きもあります。プラチナには「価値が消えにくい安全資産」という特徴があり、金よりも景気動向に連動しやすい傾向があります。

市場環境が不透明さを増す中、今後のプラチナ価格がどう動くか注目されており、将来的な反発を見越した投資も視野に入るかもしれません。

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