プラチナ(白金)価格の下落について

2019/11/28

金や銀と並び宝飾品として、また貴金属投資として有名な「プラチナ(白金)」。
ここ数年は、そんなプラチナの市場価格が下落し続けています。
今回はその要因について触れてみたいと思います。
プラチナ(白金)価格の下落について-ゴールドプラザのコラム画像3

「プラチナ(白金)」という貴金属

みなさんもご存知の「プラチナ」、または「白金」と呼ばれるこの貴金属は、地球で採掘されるレアメタルのなかでも特に稀少とされ、その希少価値から婚約指輪や結婚指輪などの特別な宝飾品として、お持ちになる方も多いのではないでしょうか。
2017年の世界全体の産出量を金(GOLD)と比べてみても、金の約3150トンに対し、プラチナは約200トンと金の約16分の1しか産出されていません。
ちなみに、その希少性から「貴重な・特別な」というたとえで「プラチナ」という単語が使われることがあり、「プラチナチケット」「プラチナカード」などが代表例です。

主な産出地は南アフリカ共和国を中心とした南アフリカ地域で、その産出量は全世界のおおよそ7割をしめています。
また、プラチナの歴史は紀元前の古代エジプトまで遡り、王家の装身具にプラチナが使われていたと言われています。
1800年代には、イギリスの化学者がプラチナの精錬・加工技術を開発したことで、宝飾品での利用が盛んになります。
特に有名なのが、宝石商の王と呼ばれたフランスの「カルティエ(Cartier)」が、世界で初めてプラチナを使ったジュエリーを制作したと言われていることで、その後多くのジュエラー が「プラチナ・ジュエリー」を制作し始めます。特にダイヤモンドとの組みあわせが美しく調和することから多く用いられ、現在におけるブライダルリング原型として継承されています。

プラチナのジュエリー用合金の純度(品位)の規格は、日本では1000分率(パーミル)が用いられ、パラジウムなどの割り金の割合と純度を表す「Pt999・Pt950・Pt900・Pt850」の4区分が一般的です。
ちなみに、同じジュエリーとして利用されている「ホワイトゴールド(白色金)」は金をベースとした合金であり、一般的に「プラチナ(白金)」とは異なります。
プラチナ(白金)価格の下落について-ゴールドプラザのコラム画像2

世界市場における「プラチナ(白金)」の用途と需要

日本では一般的に、宝飾品としての利用がイメージとして強いプラチナ(白金)ですが、世界市場においては主に工業・医療・化学用の触媒(化学反応においてそのもの自身は変化しないが、反応速度を変化させる物質)として利用されていることが多く、統計結果によると世界全体のプラチナの工業・医療・化学用途は約60%を超え、宝飾用途は約35%となっています。
また、銀も同様で全体の約60%は工業用途として利用されています。
ちなみに金(GOLD)は、約7.5%が工業用途として、約48%が宝飾用途として、その他は投資需要が占めるため、プラチナとは大きく異なります。

では、なぜプラチナは工業・医療・化学用としての需要が高いのでしょうか。
プラチナは耐久性にすぐれ溶けにくく、酸に対する強い耐食性など非常に安定した性質であると同時に、触媒としての高い活性を持ち併せているためであり、欧米では自動車の排気ガスの浄化触媒や化学工業の触媒、燃料電池や発熱装置などに多く利用されています。
プラチナ(白金)価格の下落について-ゴールドプラザのコラム画像1

「プラチナ(白金)価格の下落と「金(GOLD)」価格との逆転現象

宝飾品や投資用として私たちに身近な貴金属のプラチナ(白金)ですが、同じ貴金属としての金(GOLD)よりも希少なため、値段が高い状態が、今までは「正常」とされてきました。
しかし、ここ数年は世界経済や情勢不安が要因で「安全資産である金」の買いが進み、金価格が高騰するのに対し、プラチナは有史以来、産出した量が金の26分の1にすぎず希少なはずも値下がりが続き、ついに両者の国際価格は2015年初めから逆転したままで、しかも金とプラチナの価格差は拡大しました。
「金が強くなった」というよりも、むしろ「プラチナが弱くなった」という側面が強く、その要因の一つとして、前述で紹介したプラチナの工業・医療・化学用途の約60%のうち、大半を占める自動車の排気ガスの浄化触媒の需要減少が一因とされています。
プラチナが主に利用用途として使われる排気ガスの浄化触媒の自動車はディーゼル車であり、2015年に発覚した独フォルクスワーゲン(VW)の排気ガス不正問題や、地球温暖化問題によるヨーロッパを中心とした脱ディーゼル化の影響がプラチナの供給をだぶつかせていると言われています。
また、プラチナの割り金としても使われるパラジウムは、ガソリン車用の触媒に利用され、世の中のガソリン車へのシフトの流れから両者の需要と価格も逆転し、価格差は2019年10月時点でプラチナの2倍となっています。

そのほかにも、プラチナ価格の低迷による金価格との逆転現象には、いくつかの要因が重なっていると言われています。
その一つは宝飾品としてのプラチナ最大消費国「中国」の需要減、そしてもう一つがリサイクルです。廃棄されるものに含まれるプラチナを取り出し、再利用することで市場に供給される分が増えてきています。年々再利用の技術が高まることで供給源として大きくなり、世界の産出量の7割を占める南アフリカ共和国では、供給先が減り国内経済の低迷から通貨であるランドも下落し、プラチナ価格下落に繋がっていると言われています。

一方で、プラチナ価格が金価格を下回るといった「正常でない状態」は、投資対象のチャンスとして捉える方も少なくないかもしれません。
プラチナ投資の最大の特徴は、金投資と同様の「価値が無くならない安全資産」であることであり、また金にはない特徴として「金より希少価値が高い」「世界の経済状況に連動しやすい」ことです。
世界をとりまく情勢は一段と不透明になっている昨今、プラチナの価値は今後どう変わっていくのか、みなさんと一緒に見守っていきたいと思います。

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