回復か?下落か?横ばいか?今後のプラチナ(白金)価格の傾向を予想

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大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。

希少性の高いレアメタルとして知られるプラチナ(白金)。日本でも結婚指輪などブライダルジュエリーを中心に人気の貴金属ですが、ここ数年は金(GOLD)よりも大幅に価格が下回る状況が続いています。本記事では、なぜプラチナが金よりも安くなったのか、そして今後の価格傾向について分析・予想します。


プラチナ(白金)の基本的な特徴と供給・需要構造

プラチナはどのくらい希少なのか?

プラチナは「白金」とも呼ばれる非常に希少な貴金属です。その希少性から、「プラチナカード」「プラチナチケット」など、特別な価値を表す代名詞としても使われています。

大手調査会社リフィニティブGFMSの2019年レポートによると、金の年間鉱山生産量を100とすると、プラチナはわずか「5」。これは金の20分の1の量しか採れないことを意味します。ちなみに、銀は791、パラジウムは6です。

投資対象としてのプラチナの特性

金は「無国籍通貨」として世界中で安全資産とされているのに対し、プラチナはあくまで商品的価値を持つ工業用金属であり、通貨の代替にはなりません。この違いが、価格差の一因ともなっています。


プラチナ(白金)の供給構造と主な産出国

イギリスの貴金属大手「ジョンソン・マッセイ」によると、2019年のプラチナ供給のうち約74%が鉱山採掘、26%がリサイクルによるものでした。

産出国の内訳は以下の通りです:

  • 南アフリカ共和国:73%
  • ロシア:12%
  • その他(北米など):15%

主に南アフリカに依存した供給体制は、経済・政治の不安定性によって供給リスクを抱えています。


プラチナ(白金)の需要構造と用途別内訳

2019年時点での需要の地域別割合は以下のとおりです:

  • 欧州:29%
  • 中国:25%
  • 北米:14%
  • 日本:10%
  • その他:22%

用途別内訳

  • 自動車排ガス浄化用触媒:34%
  • 工業用途(化学・医療・液晶等):29%
  • 宝飾品:24%
  • 投資用途:13%

プラチナの過半数以上が自動車・工業用に使われており、とくに欧州における自動車需要の動向が価格に大きな影響を与えています。


金より安くなったプラチナ価格の背景

ディーゼル車離れと排ガス不正問題

2015年以降、プラチナ価格が金を大きく下回るようになった主な要因は、欧州でのディーゼル車からの脱却の動きです。特に、ドイツ・フォルクスワーゲン社の排ガス不正問題の発覚は、プラチナ需要の急減に直結しました。

自動車1台あたりに使われるプラチナは3〜10g程度とされ、自動車需要が減ることで需要も比例して落ち込んでいます。

リサイクル供給の増加

技術の進歩により、産業廃棄物や中古車から回収されたプラチナが再利用される「リサイクル供給」が年々拡大しており、新たな鉱山供給の圧迫要因となっています。


コロナショックと「安全資産」への資金流入

2020年、世界的なパンデミックにより、投資家の資金は安全資産である**金(GOLD)**に集中しました。その結果、プラチナとの価格差はさらに広がる一方となりました。


今後のプラチナ(白金)価格の展望とリスク要因

回復の可能性はあるのか?

新型コロナウイルス収束後も、自動車市場の動向次第では、プラチナの価格回復は難しいと見る声が大勢です。

特に、以下のような内燃機関の販売禁止政策が影響を与えています:

  • ノルウェー:2025年
  • ドイツ・オランダ・スウェーデン:2030年
  • イギリス:2035年
  • フランス:2040年
  • アメリカ・カリフォルニア州:2035年

この流れから見ても、自動車触媒用としてのプラチナ需要は、今後ますます縮小する可能性が高いでしょう。

宝飾市場も先行き不透明

中国・日本において高い宝飾需要も、婚姻数の減少や経済停滞による支出抑制の影響を受けて減少傾向にあります。特にブライダル用途がメインであるため、社会的トレンドの影響を大きく受けやすいのが特徴です。


まとめ:プラチナは回復か?下落か?横ばいか?

現状、プラチナ(白金)価格に関しては明るい材料が乏しく、横ばい〜下落傾向の継続が予想されます。工業用途の縮小、宝飾需要の鈍化、そして再利用供給の増加が価格の重石となっているためです。

ただし、将来的に新しい技術革新や、燃料電池車(FCV)など新たな用途が広がれば、再評価される可能性もゼロではありません。

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