ヴァレンティノ(VALENTINO)の歴史と特徴

イタリアを代表するラグジュアリーブランド「ヴァレンティノ(VALENTINO)」。創業以来、オートクチュールからバッグ・シューズまで、多彩なアイテムで世界中のセレブリティを魅了し続けてきました。本記事では、ヴァレンティノのブランドの歩みや、代表的なアイテム、デザインの特徴について詳しく解説します。

大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。


ヴァレンティノ(VALENTINO)の歴史と創業背景

オートクチュールをイタリアに根付かせた先駆者

ヴァレンティノは、フランス発祥のオートクチュールをイタリアに持ち込み、その地位を確立した先駆的ブランドです。イタリアにはグッチ(GUCCI)やブルガリ(BVLGARI)といった老舗ブランドがありますが、オートクチュール分野を本格的に展開したのはヴァレンティノが初めてでした。

創業者ヴァレンティノ・ガラヴァーニの軌跡

ブランドの創業者であるヴァレンティノ・ガラヴァーニは1932年、イタリア・ヴォゲラに生まれました。服飾の道を志し、ミラノやパリで技術を学び、ジャン・デッセやギ・ラロッシュといった名メゾンで経験を積みます。

1959年、ローマに自身のアトリエを構えるも、経営は軌道に乗らず苦境に立たされます。しかし、1960年に父親の支援を受け、ジャンカルロ・ジャンメッティをビジネスパートナーとして迎え入れ、「VALENTINO」として再スタートを切りました。

世界的ブランドへの成長

1962年、フィレンツェのピッティ宮殿で発表した初のコレクションが高評価を得て、世界的に注目されるように。1967年にはファッション界の権威「ニーマン・マーカス賞」を受賞し、翌年には白だけのコレクション「ホワイトコレクション」を発表。これにより、世界的なトップデザイナーの仲間入りを果たします。

その後も1970年代に絶頂期を迎え、日本を含む海外進出を果たし、1984年にはオリンピックのイタリア選手団の公式ユニフォームをデザインするなど、国際的評価を高めました。

ガラヴァーニの引退とその後

1998年、ブランドは経営権を売却。ガラヴァーニは2008年までクリエイティブディレクターとしてブランドに携わり続け、同年に惜しまれつつも引退。2012年にはカタール王族の企業に買収され、経営基盤をさらに強化しました。


クリエイティブディレクターとブランドラインの進化

キウリ&ピッチョーリによるブランド再生

ガラヴァーニの引退後、ブランドは一時低迷しますが、2008年にマリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリの2人が共同クリエイティブディレクターに就任。10年にわたりヴァレンティノのアクセサリー部門で成果を上げた2人は、新生ヴァレンティノの象徴とも言える「ロックスタッズ」シリーズを生み出し、ブランドの再評価に大きく貢献しました。

多彩なブランドライン展開

ヴァレンティノは、以下のように複数のブランドラインを展開し、多様なターゲット層にアプローチしています:

  • ヴァレンティノ(VALENTINO)本ライン:ハイエンドなメンズ・ウィメンズウェア
  • ヴァレンティノ ローマ:より手の届きやすい価格帯のレディースライン
  • ヴァレンティノ・ガラヴァーニ:バッグやシューズなどのアクセサリー専門ライン
  • レッド ヴァレンティノ(RED VALENTINO):若年層向けの遊び心あるデザイン

2016年にはキウリがディオールへ移籍し、ピッチョーリが単独でクリエイティブディレクターを務めるようになり、「VLTNコレクション」など、現代の感性を取り入れた新たな挑戦を続けています。


ヴァレンティノ(VALENTINO)の象徴的モチーフと特徴

「ヴァレンティノレッド」に込められた情熱

ヴァレンティノを象徴する色といえば「ヴァレンティノレッド」。修行時代に観たバルセロナのオペラで、赤一色の舞台衣装に心を打たれたガラヴァーニは、それ以降赤への情熱をデザインに込めるようになります。特に赤のイブニングドレスは、芸術作品としても評価され、美術館に展示されるほどです。

モードと伝統が融合した「ロックスタッズ」

もうひとつの代表的デザインが「ロックスタッズ」。レザーアイテムに打ち込まれた鋲が特徴で、エレガントさとパンクスタイルの融合が魅力。日本の「金継ぎ」からインスピレーションを得たとされ、壊れた美の再構築をテーマにしたユニークな発想も注目を集めています。


世界中のセレブが愛する理由

ヴァレンティノは、ジャクリーン・ケネディ・オナシス、オードリー・ヘップバーン、レディー・ガガ、テイラー・スウィフトなど、数多くの著名人から愛され続けてきました。これは単なるファッションを超え、ヴァレンティノが持つ圧倒的な存在感と芸術性が評価されている証です。


まとめ:伝統と革新を融合するラグジュアリーブランド

「永遠に続くものなど存在しない」という言葉の通り、ヴァレンティノは常に変化を受け入れながらも、伝統を大切にし続けています。イタリアオートクチュールの礎を築いた歴史と、革新的なデザインで新たなファンを生み出し続けるヴァレンティノは、今後もラグジュアリーファッション界を牽引する存在であり続けるでしょう。