2025年秋の金相場高騰を振り返る ― 背景・要因・今後の展望
最終更新日:2025/12/16

大嶋 雄介
2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。
◾️ 目次
2025年秋、金(ゴールド)の円建て店頭小売価格は歴史的な高値圏を維持しました。その背景には、米国の金融政策転換、地政学的リスクの長期化、そして日本国内の政治・経済政策が複合的に影響したと考えられます。
本記事では、2025年上半期から秋のピークに至るまでの金相場の動きを振り返りながら、価格高騰を招いた要因を整理し、2026年以降の見通しについて解説します。
本日の金買取相場
データ取得日 :
| 金 | (前日比) |
|---|---|
| プラチナ | (前日比) |
| 銀 | (前日比) |
2025年秋、金価格が過去最高水準に
近年の金相場は、インフレ懸念や地政学的リスクの高まりを背景に、長期的な上昇トレンドを描いてきました。2024年にかけて過去最高値を更新する局面が続き、2025年はその流れがさらに加速した一年だったと言えるでしょう。
2025年上半期から夏までの動き
2025年初頭、国内の金店頭小売価格は1gあたり約1万5,000円前後でスタートしました。春から夏にかけては、米国のインフレ指標や中東情勢への警戒感が相場の下値を支え、1万6,000〜1万7,000円台を中心とした高値圏で推移しました。
この時点では「ここ数年続いてきた上昇トレンドの延長」と受け止めていた方も多かったかもしれません。
秋以降の急伸と歴史的水準
しかし秋に入ると状況は一変します。国際金価格の急伸と円安の同時進行により、日本の円建て金価格は一段と押し上げられました。9月には1g=2万円台を突破し、10月には初めて2万3,000円台に到達。その後も過去最高水準を維持する展開となりました。
2025年金相場の動向
| 2025年最高値 (2025年12月15日) |
2025年最安値 (2025年1月5日) |
平均買取金額 |
| 23,614円 | 14,472円 | 17,833円 |
金相場高騰の背景
2025年秋の金価格高騰は、単一の要因ではなく、複数の材料が重なり合って生じた結果です。ここでは主な背景を整理していきます。
世界的な金価格の上昇と安全資産需要
金は株式や通貨に対する不安が高まる局面で選好されやすい「安全資産」です。インフレの長期化や景気の先行き不透明感を背景に、世界的に「資産の一部を金で保全したい」という動きが強まり、ドル建て金価格そのものが過去最高水準まで上昇しました。
この国際価格の上昇が、円建て金相場にもダイレクトに反映されています。
米国の利下げ観測と金の相対的魅力
金は利息を生まない資産ですが、金利が低下する局面では、債券や預金といった利回り資産の魅力が相対的に低下します。その結果、金の存在感が高まりやすくなります。
2025年は、米国経済に減速シグナルが見え始め、インフレの鈍化も意識されたことで、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測が市場に広がりました。これによりドル安を見込んだ投資家の金需要が増加し、国際金価格を押し上げる要因となりました。
通商摩擦と中央銀行の金購入
さらに、米政権による関税を軸とした通商政策(いわゆるトランプ関税)への警戒感が、先行き不透明感を強め、リスク回避先としての金需要を刺激しました。
加えて、各国中央銀行による金購入も2025年を通じて高水準を維持しました。外貨準備の分散を進める動きの中で、中央銀行の公的需要は金相場の「構造的な下支え」となっています。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)も、金価格が高水準にある中でも、戦略的な分散投資として金の買い増しが続いていると報告しています。
地政学的リスクの長期化
中東情勢、ウクライナ情勢、台湾をめぐる緊張など、世界各地で不安定要因が続いています。こうした状況下では、国や通貨に依存しない実物資産である金が選好されやすく、「有事の金」として中長期的な追い風となります。
日本の政治動向と円安の影響
国内要因としては、2025年10月に発足した高市政権の経済政策も市場心理に影響を与えました。物価対策や産業支援を含む大型の経済対策が打ち出される一方、財政拡張への懸念から円相場への影響が意識されました。
また、台湾情勢をめぐる発言などを通じて、日本を取り巻く地政学リスクが国際的に注目された点も、「有事の金」を意識する投資家心理と重なります。
これらの要因が重なり、円安とドル建て金価格の上昇が同時に進行する「二重の押し上げ」によって、国内の金相場は過去に例を見ない水準に達しました。

今後の見通しと注目ポイント
2025年秋に記録的高値を付けた金相場は、今後どのような展開を迎えるのでしょうか。正確な予測は困難ですが、考える上で重要なポイントを整理します。
世界景気と中央銀行の動向
景気減速やインフレの長期化は、安全資産としての金需要を支えます。特に中央銀行による金購入が継続する限り、金相場には底堅さが残りやすいと考えられます。
各国の金融政策
米国をはじめとする主要国の利上げ・利下げ方針は、金相場に大きな影響を与えます。利下げが進めば金の相対的魅力は高まりやすく、逆に想定以上のドル高や実質金利の上昇が起きれば、調整局面を迎える可能性もあります。
為替相場(ドル円)の影響
国内投資家にとって特に重要なのが為替です。円安が続けば円建て金価格は上がりやすく、円高に転じれば調整幅が大きくなることもあります。日本の金融政策や政局、貿易収支などが間接的に金相場へ影響します。
政治・地政学リスクの行方
高市政権の経済運営や外交姿勢、台湾情勢を含む東アジアの緊張度合いは、今後も金相場の変動要因となるでしょう。不確実性が高まれば金は選好されやすく、沈静化すれば一時的な調整が起こる可能性があります。
まとめ|高値圏の金相場と向き合うために
2025年秋の金相場高騰は、政治・金融・地政学といった複数の不確実性が重なって生じた結果でした。これらの不安要素が解消されない限り、大きな下落は起こりにくい一方で、インフレ動向や実質金利の変化次第では反落局面も想定されます。
長期保有を前提とした金地金やインゴットであれば、無理に売却する必要はありません。しかし、「使っていないアクセサリー」「片方だけのピアス」「切れたネックレス」「デザインが古いジュエリー」など、眠ったままの金製品をお持ちの場合は、現在の高値水準を活かした売却を検討する価値は十分にあるでしょう。
まずは今の金の価値を知ることが第一歩です。最新相場や過去推移を確認する際には、以下の情報も参考にしてみてください。
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