ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN) その歴史と特徴
2023/02/03
2世紀以上にわたり、世界中から愛されてきた高級食器ブランド「ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)」。現デンマーク王室御用達の製陶所として開窯し、今も伝統のハンドペイント技術を守りながら邁進し続けています。今回はそんなブランドの歴史や特徴、人気コレクションについて紹介させていただきます。
ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)の歴史
白磁にコバルトブルーの繊細な絵柄や、コレクターアイテムとしても人気のイヤープレート(クリスマスプレート)で有名な「ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)」。世界中で愛されてきたデンマーク発の高級食器ブランドとしての歴史は、日本における江戸時代中期の1700年代にまで遡ります。
当時のヨーロッパでは磁器の製造技術が未熟であり、また磁器の原料とされる鉱石のカオリン(カオリナイト・カオリン石等)の主な原産国も、中国をはじめとしたアジアの遠い国々でした。そのため磁器は高級品として「ホワイトゴールド」と呼ばれ、貴族同士の贈り物や美術品として珍重されました。1700年代初頭に、ドイツの鉱山にて採掘されたカオリンを原料に製造に成功した磁器が、本格的なヨーロッパでの磁器生産の始まりと言われており、その製造方法も門外不出の技術として守られてきました。この磁器工場こそが現在の「国立マイセン磁器製作所(マイセン窯)」になります。
遅れること1773年バルト海に浮かぶ(現デンマーク領)ボーンホルム島にてカオリンが発見され、翌74年に鉱物学者のフランツ・ハインリッヒ・ミュラーによって磁器の製造に成功します。
1775年、鉱物学者の研究所は国内産業の発展と経済活性化を図るため、先代デンマーク=ノルウェー国王フレデリック5世の未亡人で王太后であったジュリアン・マリー(ユリイェーネ・マリー:デンマーク語)の支援を受け、王室御用達の製陶所として開窯し、これが「ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)」の始まりとなります。その後マイセン窯等から人材を集め高度な製造技術を習得することで、79年には王立の窯「王立コペンハーゲン磁器製作所」となり、以降ヨーロッパにおける磁器製造の名窯として名声を高めていきます。1790年には、国王クリスチャン7世がロシアの女帝エカチェリーナ2世への贈り物として作られた、現在もブランドの最高峰コレクションとして君臨する「フローラ ダニカ」が誕生します。しかし、ヨーロッパ全土における世情はフランス革命を筆頭に王政の崩壊が続き、1868年王立コペンハーゲン磁器製作所は「ロイヤル」の称号を残すことを前提に、民間に経営が委ねられることになります。
民営化された「ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)」は、1884年アートディレクターにデンマークの建築家であり画家のアーノルド・クローを迎え、経営の刷新を図ります。彼が生み出した作品は、1889年・1900年のパリ万国博覧会において、続けてグランプリを受賞し、国際的な評価が高まるとともにパリ・ロンドン・ニューヨークと出店が続きます。また一方で、彼は日本の芸術に造詣が深く(ジャポニズム)、有田焼の絵付けのように釉薬の下に自然を水彩画のように描いた作品や、開窯当時に手描きによる下絵のデザインパターンとして最初に考案され廃れてしまったデコレーション番号「パターンNo.1」を刷新し、今もブランドを象徴する「ブルーフルーテッド」シリーズとして生まれ変わらせ、「ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)」は、世界的ブランドへ飛躍を遂げていきます。その後は幾度の買収を繰り返し、製陶所の拠点もデンマークの首都コペンハーゲン市内を転々としますが、2012年にフィンランドの企業に買収され現在に至ります。
今も正式名称は「ロイヤル コペンハーゲン陶磁器工房」と言い、ブランドのロゴも「ロイヤル」の称号を受け継ぎ、デンマーク王室御用達として王冠をモチーフにしたデザインを掲げています。
ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)の特徴
「ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)」の陶磁器における大きな特徴は、バックスタンプとハンドペイントによる絵付けの技術ではないでしょうか。
1775年の開窯以来、生み出された作品の裏側には必ず「3本のウェーブ(波線)」「王冠マーク」「ペインター等のサイン」がバックスタンプとして施されています。
「3本のウェーブ(波線)」は、デンマークを囲むスンド(エーレスンド)海峡・大ベルト海峡・小ベルト海峡を象徴しています。そして「王冠マーク」は、王室御用達としての正当性や深い結びつきを表しており、開窯当初はハンドペイントで描かれていましたが、その後釉薬の下に王冠マークを刻印するようになり、王冠のデザイン自体も時代により変化し、製造年代を特定する基準にもなりました。いずれも支援者であった王太后ジュリアン・マリーのアイデアによるものと言われております。また「ペインター等のサイン」については製造年代により異なりますが、基本「ペインター(絵付師)のサイン」「デザイナーのサイン」「パターンナンバーや型番」「焼き方」が施されております。
そして、ハンドペイントによる絵付けの技術においては、東洋の青い絵付けに強く影響を受けたコバルトブルーの顔料を使ったデザインが特徴で、日本においても「コペンハーゲンブルー」の名で人気を博しています。開窯当時は牛の耳やトナカイの腹部から採取した繊細な毛で筆を作り、細部にまでこだわったデザインを丹念に描くなど、陶磁器の絵付けには高い技術や集中力が必要で、そのため熟練したペインター(絵付師)のいる工房はブランドとしての価値を高めました。
現在も「ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)」の陶磁器の絵付けはすべて手描きであり、王室御用達の誇りと優れたハンドペイントの伝統を守りながらクラフトマンシップを継承していることこそ、最大の特徴と言えるでしょう。
ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)のブランドコレクション
数ある作品の中で、「ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)」を語る上で外すことのできない、代表的なコレクションをここで紹介させていただきます。
ブランドの原点であり永遠のベストセラー「ブルーフルーテッド」シリーズ
長い歴史の中で、製陶所が最初にデザインした下絵のパターンであり、デコレーション番号「パターンNo.1」と呼ばれた「ブルーフルーテッド プレイン」からシリーズは始まります。母国デンマークにおいては、溝彫のデザイン形状が貝殻を連想させることから「二枚貝に描いた」という意味のMusselmaletと呼ばれており、文化的遺産の一部としてデンマークの家庭においては、代々受け継がれてきた「ブルーフルーテッド プレイン」が必ずあるそうです。民営化後にアーノルド・クローにより刷新されたブルーフルーテッドのシリーズには、プレインにデザインが加味され、「ブルーフルーテッド フルレース」「ブルーフルーテッド ハーフレース」が続けて誕生します。時を経て2000年にはブレインのデザインを継承しながらも大胆にデフォルメした「ブルーフルーテッド メガ」といった新たなアイコンも生まれます。現在「ブルーフルーテッド」シリーズは、ブランドを象徴する永遠のベストセラーとして世界中から愛されています。
世界最高峰のディナーサービス「フローラ ダニカ」
1790年に国王の贈り物として作られた「フローラ ダニカ」。デンマークの約3000種類の植物が収められた図鑑“フローラ・ダニカ”から着想を得て、花や植物を忠実に描くために熟練のペインター(絵付師)が長い月日をかけて制作しており、ブランド最高峰のコレクションとして知られています。その高い芸術性は「デンマークの至宝」と称され、世界で最も豪華なディナーサービスの一つとして今もデンマーク王室による式典には必ず使われています。現在セカンドライン「フローラ」が、市販のコレクションとして展開されています。
100年以上続くコレクター垂涎のアイテム「イヤープレート(クリスマスプレート)」
1908年から生産が開始され、現在まで1回も欠かすことなく100年以上に渡り毎年制作され続けている「イヤープレート」。叙情的で温かみのある風景やシーンが描かれており、その絵が人々を魅了し、世界中に多くのコレクターが存在します。また、一度描かれた絵や制作する型は、その年の生産が終わると二度と作られないため、年度が古いものや生産数が少なかった年のプレートは希少価値が高くコレクター垂涎の的となっています。特に初年度の1908年版や、生産数の少なかった第一次世界大戦中の1915年版から1918年版、第二次世界大戦中の1944年版などは、現存するものが非常に少ないと言われています。また、デンマークを始めヨーロッパにおいては「クリスマスプレート」として知られており、現在はイヤーアイテムとして「イヤープレート」と「クリスマスプレート」は別々の絵が描かれ販売されています。
このほかにも、1点1点手作業で作られる陶磁器の人形「フィギュリン」、デンマークの女性デザイナーであるグレーテ・マイヤーが手掛ける「ブルーライン」などがコレクションとして展開されており、一方で廃盤となったコレクションも中古市場において需要が高く、各年代を代表する作品は色褪せることなく、いつの時代においても高級食器ブランド「ロイヤル コペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)」としての地位を確立しています。
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