2021-2022年 プラチナ相場予想

2021/12/02

一般に宝飾品の貴金属として有名な「プラチナ(白金)」。その希少性の高さから、カードなどのランク付けとして“特別・貴重” の例えとしても使われます。しかし近年、世界市場におけるプラチナ価格は、金(GOLD)価格を下回るなど長期低迷が続いています。今回は2021年以前の傾向から、2022年のプラチナ相場を予想してみたいと思います。
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「プラチナ(白金)」の希少性と品位について

一般に「プラチナ(白金)」と言えば、宝飾品に用いられている貴金属を思い浮かべる方も多いかと思われます。また、チケットやクレジットカードの格付けとして“貴重・特別” の例えに使われることもあります。このようなことから、消費者のイメージとしては、希少で価値が高い印象を持ち、例えばクレジットカードのランクで言えば、「ゴールドカード」よりも「プラチナカード」の方が上というのが一般的なイメージでしょう。
しかし、近年の世界市場における相場は、プラチナ(白金)価格よりも金(GOLD)価格が上回っています。その要因として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延などによる世界経済のリスクや景気懸念、米中対立など地政学的リスクの高まりにより、「有事の金」とも呼ばれる安全資産に買いが集まり金価格が高騰し、一方のプラチナ価格は世界的な需給が影響し、低迷していると言われています。この度はそんなプラチナ相場を、2021年以前の傾向から2022年における予想をしてみたいと思います。

昨今、長期低迷が続いているプラチナ相場ですが、貴金属「プラチナ(白金)」として見れば、やはり希少価値の高いレアメタルではあることは確かです。ここ数年の供給源の割合は、リサイクル(自動車の触媒・工業製品・宝飾などから)が4分の1、残りの4分の3が鉱山採掘から産出されています。
2020年における世界全体の年間産出量を金(GOLD)と比べてみても、金の約3200トンに対し、プラチナは約166トンとおおよそ金の19分の1しか産出されていません。

またプラチナ(白金)は、金(GOLD)と同じように金属として使用するには柔らかい特性があるため、パラジウムなどの割り金を混ぜて加工が施されることが一般的です。合金の純度(品位)の規格は、日本では1000分率(パーミル)が用いられ、貴金属としてのプラチナ(白金)は、その純度を表す「Pt999・Pt950・Pt900・Pt850」の4区分に分けられ刻印されることが多く、品質を示す重要な役割を果たします。以前はPt1000(純度100%)という刻印が日本の基準で認められていましたが、2012年4月1日以降は国際基準の「100%の純度は存在しない」という理由で、Pt999(純度99.9%)が最高純度のプラチナ(白金)を示す規格となりました。ちなみにJIS(日本産業規格)の品位区分では、ジュエリー用貴金属合金のプラチナ(白金)は、「Pt950・Pt900・Pt850」のみと規定しています。
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「プラチナ(白金)」需給と2021年までの相場傾向

世界市場におけるプラチナ(白金)の需要は、主に工業・医療・化学用、宝飾用、投資用に分類され、2019年における用途別割合は、自動車の触媒用が約34%・化学工業用が約29% ・宝飾用が約24%・投資用が約13%と発表されています(参考:ジョンソン・マッセイ社 2019データ)。この割合はここ数年大きく変わっておらず、工業用途(触媒含む)は全体の60%を超えています。一方、金(GOLD)の需要は、工業用途は約7.5%・宝飾用が約48%、その他は投資用等が占め、この数字からも分かる通り、プラチナ=産業、金=資産、といった性格が垣間見えます。
供給についても、前述で少し触れましたが、イギリス貴金属製錬大手ジョンソン・マッセイの2019年のデータでは、プラチナ全体の4分の3(約74%)が鉱山から採掘され、残りの4分の1(約26%)がリサイクルとして供給されています。さらに、世界で採掘された4分の3のうち約73%が南アフリカ共和国の産出が占めているため、国内情勢によって世界のプラチナ相場に影響を及ぼすことも知られています。
つまりプラチナ(白金)相場は、世界の経済状況や地政学的リスクに連動しやすく、資産として不安定で乱高下しやすい、といった性格を持っています。
ここ数年の主なプラチナ相場の動きを辿ってみますと、2008年3月に史上最高値(7427円/kg)を記録してから、同年9月のリーマンショックにより、翌10月には2000円台前半まで急落しました。2010年にはギリシャ経済危機の影響がEU加盟国にまで及び、2015年頃まで3000円台後半から5000円台前半を推移していました。2015年には、フォルクスワーゲンの排気ガス不正問題が発覚し、ヨーロッパを中心とした地球温暖化問題による脱ディーゼル化の影響でプラチナの需要が急激に減り、相場が急降下。さらに、2016年イギリスのEU離脱(ブレグジット)問題、2018年米中貿易戦争、2020年には新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と次々にプラチナを取り巻く環境が厳しさを増し、一時的に1843円まで下落しました。

そして2021年、2月から5月あたりまで4000円台後半を推移していましたが、その後は下落傾向にあり、その要因の一部としてアメリカ経済のインフレ懸念や長期金利の低下、コロナの影響による世界的な自動車の減産(トヨタショックを代表する世界的な人的要因による半導体不足)などが考えられています。9月中旬には年初以来の安値となり、10月に入るといったん回復傾向を見せますが、11月に入り再び下落し3000円台後半を推移しています。
このように、プラチナ(白金)の相場は、世界の情勢により乱高下しやすいのです。

2022年のプラチナ相場予想

相場の値動きを予想する際、マーケットの需要と供給を読むことが重要となります。
2022年におけるプラチナ(白金)の需要は、大方の専門家の予想が需要拡大の傾向にあると読んでいます。その理由として、世界的な脱炭素社会に向けた取り組みの加速が影響しています。特に自動車においては、アメリカやヨーロッパ各国を中心に、ガソリン車やディーゼル車の新車販売禁止の義務化が発表されており、中国においても燃料電池車(FCV)の生産に力を入れ始めています。世界各国が二酸化炭素(CO2)を出さないグリーン水素で動く燃料電池車(FCV)の開発を急ぐなか、水素エネルギーを取り出す触媒として必要なのが「プラチナ(白金)」となるからです。また燃料電池車は、ディーゼル車の約10倍ものプラチナを必要とするため、更なる需要の増加が見込まれます。
イギリスのプラチナ市場調査分析の国際機関WPICにおいても、世界的な脱炭素化加速により需要増加観測が強まり、プラチナ(白金)の国際価格が上昇基調にあると発表しています。
そのほかにも、宝飾用のプラチナ需要としてアメリカのプラチナ・ギルド・インターナショナルは、2021年のプラチナジュエリーの需要がかつてないほど高まり、2022年もこの傾向を牽引していくだろうと、見立てています。
一方、供給については、2022年は供給過多になるかもしれないとの声があります。この理由として、2020年からのコロナ禍においては感染リスクの懸念から鉱山やリサイクル工場を閉鎖した影響で供給不足となりましたが、コロナ以前は供給過剰であったことから、感染拡大が縮小すればまた元に戻るだろうと推測しています。さらに、2次供給として産業廃棄物(スクラップ車や精密機械)に含まれるプラチナを取り出すリサイクルの低コスト化が、供給増の要因にも挙げられています。

2022年は需要も供給も増えるとここまで予想はしていますが、実際プラチナ(白金)の相場はどうなるかと言いますと、無責任な言い方とはなりますが、世界の情勢次第というのが正直なところです。
新型コロナウイルス感染症の収束も世界的に見ればまだ不透明な部分も多く、また世界経済を回復するため、先進国による金融緩和や石油備蓄放出などの政策を行なっていますが、依然としてインフレ懸念は払拭できていません。

現にプラチナ(白金)や金(GOLD)においては、現金に近い資産からインフレにより価格が上昇しそうな資産に乗り換える「インフレヘッジ」の動きがあり、価格が高騰しているとも言われています。
世界情勢は一段と混沌とするなか、プラチナ(白金)を取り巻く環境も急激に変化しており、2022年はプラチナ相場から目が離せません。

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