金の価値

2015/07/01

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資産運用や投資などを目的に売買される金には、普遍的な価値があるといったイメージを持つ人が多いでしょう。

 

金は、どういった歩みの中でそのようなイメージを確立させていったのでしょうか。

 

また、それだけ価値が認められながらも、現代では金貨が通貨として存在しないのはなぜなのでしょうか。

 

今回は、金の価値についてご紹介しましょう。

金貨の代わりに紙幣を用いた「金本位制」

金本位制というのは、19世紀後半から20世紀初頭ごろまで、世界の主要国がとっていた制度です。

もともとは貨幣そのものを金にすることで、お金と金の価値を近付けた「金貨本位制」が行われていました。

品質が安定し、少量でも価値のある金は、物々交換をしていた時代から利用されていたため、ごく自然な流れでできた制度です。

しかし金貨は持ち歩くには重く、金を使った貨幣はコストもかかってしまうので、あまり実用的ではありませんでした。

そこで登場したが「地金本位制」です。それぞれの国にある中央銀行が発行した紙幣と同等の金を保有し、いつでも紙幣を金に交換できる体制を取ることで、紙幣に対する信用を保とうとしたものでした。

しかし、不安定な情勢の中でいつ紙屑同然になるかわからない紙幣はあまり信用されず、金に交換する人が増加し、備蓄していた金が底をついてしまう国もありました。

その後、金本位制を離脱する国が増え、1937年にはこの制度が終焉を迎えます。

そして戦後には圧倒的国力を持っていたアメリカが、「金為替本位制」を導入します。

この制度では、その頃の日本では円を金に交換できなかったのですが、円を相応のドルと交換し、そのドルと相応の金と交換できるというものでした。

しかしアメリカといえどもこの制度を長く続けることはできず、1971年にニクソンショックによって金との交換が停止され、1978年に金本位制は世界で完全に終了する形となりました。

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投資用として利用される「地金型金貨」

金本位制が終了したことで、金とお金を交換することは行われなくなりましたが、金の価値に対する信頼は変わらず、通貨としての金貨が無くなった現在では投資用として「地金型金貨」が存在しています。

カナダのメイプルリーフ金貨やオーストリアのウィーン金貨などは、少額で投資が可能なことや1枚ずつ売却できることから、ちょっとした資金の足しとして、また家族に分配しやすい贈与財産として活用されています。

地金型金貨には、純度が99.99%の24Kと純度が91.67%の22Kなどの4種類があります。
金本来の輝きや品質としては24Kが勝っていますが、硬度が高い22Kのほうが傷つきにくいという特性があります。

金の相場と連動した価格で売買されますが、加工されている分プレミアムが付き、金地金よりも割高になっています。

気軽に投資を始めることができる「地金型金貨」のほかに、「収集型金貨」というものもあります。

これは地金型金貨と比べると資産的価値は落ちますが、例えばオリンピックの記念金貨などコレクターの需要の高さによって価格が高騰するため、地金型金貨よりも高くなる場合があります。

持っているものの価値がどんなものか分からない場合は、一度プロに査定してもらい、その価値を確認しておくと良いでしょう。

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