金の産出量について
2015/06/25人類の歴史が始まって以降、産出された金の総量は競技用プール3.5杯分ほどと言われています。
リングを一つ作るために必要な金を採掘するためには、1トンもの金鉱石が必要なほど金は希少なものですが、アクセサリーや金地金としてだけでなく、工業部品用としても利用されるなど、需要が増加しています。
そこで今回は、金の産出量や産出上位国についてご紹介しましょう。
現在の金の産出量は?
金の産出量は、年間2500トン程度と言われており、これを国別の産出量で見ていくと、近年では中国が産出量世界第1位で、年間約370トン。
第2位のオーストラリアが約250トンなので100トン以上の差をつけています。
第3位以降はアメリカ、ロシア、ペルーと続き、世界において金の生産上位国となっています。
金の産出国イコールで思い浮かべる人も多い南アフリカは、確かに2007年まで世界第1位の産出量でしたが、現在では以前の半分以下の約160トンまで減少してしまっています。
金の産出量が変化した理由とは?
こういった金の産出量の変化は、なぜ起こっているのでしょうか。
産出量が減少している南アフリカは、もともと天然資源が豊富な国でしたが、1990年代には、掘りやすい場所はほとんど掘りつくしてしまい、産出を続けるには地下深くまで採掘しなければならない状況になってしまいました。
採掘にかかるコストもより増えた上、鉱石に含まれる金の含有量も減ってきていると言われています。
そのほかにも、金の採掘施設の老朽化や1994年の民主化以降の急激なコスト上昇なども影響し、産出量が減少傾向にあります。
一方、急激に産出量が増えている中国は、1980年代の改革開放政策によって金採掘の設備投資が積極的に行われ、年々金の産出量を増やしています。
山東省や雲南省の金山だけではなく、新疆ウイグル自治区で、100トン級と言われる大型金鉱が近年発見されたことなどが大きく影響しています。
広大な国土の中には未開発な地も多く、吉林省などにはまだまだ金鉱脈を発掘できる可能性があると言われています。また人口が多く労働力が豊富ということもあり、金の産出について、今後のさらなる伸びが期待されています。
金山の開発状況やその採掘方法は?
金の産出の増加が期待できる中国で、金鉱山の開発が積極的に行われているのはもちろんですが、金の価格が上昇している近年では、金鉱山の開発が世界各地でも盛んになってきています。
また、近年では金の鉱脈を発掘するための開発方法や、その後の採掘方法が変化してきています。
以前は、金鉱石が地表に露出しているような金鉱山で、金鉱石を掘りだして精錬することが一般的な金の採掘方法でした。これは「露天掘り」という採掘方法なのですが、残念ながら現在ではこういった方法で金を産出できる金鉱山はなかなかありません。
そのため、金の鉱脈がありそうな場所を探して試堀するという方法が主流となっています。それでは金の鉱脈はどのようにして探しているのでしょうか。
金の鉱脈は、砂金の取れる河川の上流など金の鉱脈がある可能性が大きいポイントを絞って探していますが、試堀して実際に鉱脈を見つけることができるのは、ほんの10%にも満たないと言われています。
また鉱脈が見つかったとしても、地中を数千メートルも掘らなければならないこともあり、年単位で時間がかかってしまうこともあり、採掘コストが金の販売価格を上回ってしまう場合もあるようです。
金は天然資源のため、採掘し続ければ、産出量もいずれ減っていきます。かつて佐渡金山を保有していた日本でも、現在では商業的な採掘が行われているのは鹿児島県のたった1カ所のみ。
増える需要に応えるだけの金を産出していくことは、非常に難しい課題となっていますが、金はもともと化学的に安定していてリサイクルもしやすい金属です。
新たに金を産出すること以外に、金のリサイクルを進めていくことも重要な課題と言えるでしょう。