2026年上半期の金相場を徹底解説|史上最高値から調整局面へ転換した理由と下半期見通し
最終更新日:2026/08/04

2026年上半期の国内金相場は、年明け直後に史上最高値を更新する歴史的な高値圏で推移した一方、春から夏にかけては一転して調整局面へと転じました。この背景にあるのが、米国とイスラエル・イランの軍事衝突を起点とする一連の連鎖です。
本記事では、2026年上半期の金相場の値動きを振り返りながら、下落を招いた要因を整理し、あわせて下半期の見通しについても解説します。金(ゴールド)の売却タイミングを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

2026年度上半期における金相場の総括
2026年の金相場は、年初から大きく動いた半年間となりました。ここでは時系列に沿って、上半期の値動きを振り返ります。
1月:史上初の1トロイオンス5,000ドル突破
1月、ニューヨーク金先物価格は史上初めて1トロイオンス5,000ドルの大台を突破し、一時5,600ドル台まで上昇しました。この動きを受けて国内の店頭小売価格も上昇を続け、1グラムあたり2万円台後半という、これまでにない高値圏での取引が続きました。
1月末〜2月初旬:急落と中東情勢の緊迫化
1月末から2月初旬にかけて、金価格は複数の材料が重なり急落する場面を迎えます。その後2月28日には米国・イスラエルによるイランへの軍事作戦が始まり、最高指導者の死亡やホルムズ海峡の封鎖懸念など、中東情勢は一気に緊迫化しました。
通常であれば「有事の金買い」で価格が押し上げられる局面ですが、実際には軍事費調達を目的とした一部中央銀行による金売却や、資金としての米ドル買いの集中も重なり、金価格は一進一退の乱高下を繰り返す展開となりました。
3月:国内価格が過去最高水準を更新
国内では円安の進行も加わり、3月3日には国内店頭小売価格が一時29,969円と、1グラム3万円の大台を目前にする過去最高水準に達しました。
4月以降:インフレ懸念とFRBの姿勢転換で調整局面へ
4月以降、状況は徐々に変化していきます。中東情勢の緊張長期化にともなう原油高がインフレ懸念を強め、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が急速に後退。逆に「年内の利上げ」までもが意識される展開となり、金価格は歴史的な高値圏から段階的に調整を強めていきました。
原油は通常、ガソリンや発電だけでなく製品の原料などにも使われるため、原油価格が高騰すると企業のコストが増え、食品や日用品など幅広い商品の値上がりにつながります。このインフレを抑えるためにFRBが利上げへ動くのではないか、あるいは高い金利を長く維持するのではないかという見方が広がったことが、金相場の重荷となりました。
6月下旬〜7月:戦闘終結合意も利上げ観測は継続
6月下旬に米国とイランが戦闘終結に向けて合意したことで原油価格はいったん反転下落したものの、金融市場の利上げ観測は後退せず、金相場の重荷であり続けました。この結果、7月に入ると国内店頭小売価格は2万3,000円台まで値を切り下げ、7月3日時点では23,799円/gとなっています。
もっとも、6月末には1ドル=162円台という歴史的な円安水準まで進んだことが、国際価格の下落分を相殺する形で国内価格を下支えしており、上半期を通して見れば依然として高値圏での推移という評価に変わりはありません。ただし、1月末〜3月初旬に比べると大きく値を下げたことになり、買い時・売り時の見極めがより難しくなった上半期だったといえるでしょう。
金相場変動の要因と背景

上半期の値動きを理解するうえで欠かせないのが、「米国とイランの軍事衝突」を起点とする一連の連鎖です。ここでは変動要因を3つの観点から整理します。
地政学的リスクと中央銀行の構造的需要
2026年に入ってからの金相場の強さの土台には、新興国を中心とした中央銀行による継続的な金購入と、米ドル依存を減らそうとする外貨準備の多様化という構造的な需要がありました。
ここに、2月末の米国・イスラエルによるイラン攻撃という地政学的リスクの急激な高まりが重なったことで、金は「有事の資産」として一段と存在感を高めるはずでした。実際、3月初旬には国内価格が過去最高水準を更新しています。
インフレ再燃とFRBの金融引き締め姿勢
しかし、ここから金相場の性格が徐々に変化していきます。中東情勢の緊迫化が原油価格の高騰を招き、それが世界的なインフレ圧力の再燃につながりました。アメリカではインフレ率が原油高を背景に急騰し、FRBは「様子見」から一段と警戒的な姿勢へと転換します。
2026年5月に就任したウォーシュ新FRB議長は、高インフレに対して「一切容認しない」との強い姿勢を示しました。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では4会合連続の政策金利据え置きをしながらも、複数の高官から利上げの可能性に言及する発言が相次ぎ、市場では「年内2回の利上げ」まで意識される局面もありました。
なぜ金利上昇が金価格の下落要因になるのか
金は利息を生まない実物資産であるため、金利が上昇する場面では、債券や株など利息の付く資産の魅力が相対的に高まり、金が売られやすくなります。今回は「地政学的リスクの高まり」というプラス材料と、「インフレ対応としての利上げ観測」というマイナス材料が同時に発生し、後者の影響がより強く相場に反映された結果、金価格は歴史的な高値圏から段階的な調整を余儀なくされました。
6月下旬に米国・イラン間の戦闘終結が合意され、地政学的リスクの後退で原油価格が反転下落したあとも、いったん強まった利上げ観測はすぐには解消されず、金相場の重荷であり続けています。
為替(円安)による国内価格への影響
国内の円建て価格に目を向けると、ドル建て価格の下落分を大きく相殺したのが歴史的な円安の進行です。国際価格が調整局面にあっても、国内の店頭小売価格は相対的に高い水準を維持する形となりました。
上半期の国内金相場は、「地政学的リスク」「米金融政策」「為替」という3つの要因が複雑に絡み合いながら形成されたといえます。
下半期の見通しと今後のポイント

上半期の値動きを踏まえ、2026年下半期の金相場を占ううえで押さえておきたいポイントを4つに整理しました。
1. 米国の金融政策の行方
下半期最大の焦点は、FRBが実際に利上げに踏み切るのか、それとも据え置きを維持するのかです。7月28〜29日に開催されたFOMCでは政策金利の据え置きとなりましたが、インフレ再燃の懸念と労働市場の動向次第では、年内の利上げ観測が高まる可能性も残ります。利上げ観測が強まれば金相場には下押し圧力となり、逆に後退すれば反発材料となりやすい構図が続くとみられます。
2. 中東情勢の行方
米国とイスラエル・イランにおける戦闘状態の行方も重要な視点です。ホルムズ海峡の航行や原油供給を巡る緊張が続けば、原油高からのインフレ懸念とあわせて「有事の金」需要が再び強まる可能性があります。逆に情勢が落ち着きを見せれば、金相場は一段と調整しやすくなるでしょう。
3. 米ドル・円の為替相場
ドル建て金価格が横ばい、あるいは下落局面にあっても、円安が進めば国内の店頭小売価格は下支えされます。日銀の金融政策や日米の金利差・貿易収支の動向が、為替を通じて国内金相場に影響を及ぼし続ける構図は下半期も変わらないとみられます。
4. 米国中間選挙に向けた政治・財政の不透明感
2026年11月に予定される米国中間選挙に向けて、政権の財政政策や通商政策を巡る不透明感が強まる可能性があります。過去の例からも、選挙前後は市場のボラティリティ(価格変動の度合い)が高まりやすく、安全資産としての金需要が意識される場面が増えることが考えられます。あわせて、各国の中央銀行による金購入という構造的な需要が下半期も続くかどうかも、中長期的な価格の下支え要因として注目しておきたいポイントです。
上振れリスク・下振れリスクの整理
これらの要因が絡み合うことで、下半期の金相場は上振れ・下振れのいずれの方向にも振れやすい展開が想定されます。
- 上振れリスク:中東情勢の再燃や中間選挙を巡る政治的混乱による安全資産需要の急増
- 下振れリスク:インフレの鎮静化とそれにともなうFRBの据え置き・利下げといった回帰シナリオ
まとめ|金の売却タイミングを見極めるために

2026年上半期の金相場は、1月の史上最高値更新から3月の高値圏、そして米国・イランを巡る地政学的リスクとインフレ、それに対応するFRBの金融引き締め姿勢への転換によって調整局面を迎えるという、非常に振れ幅の大きい半年間でした。
地政学的リスクと金融政策という2つの綱引きは下半期も続くとみられます。目先の値動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視点で相場の推移を見守ることが大切です。
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大嶋 雄介
2015年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」や日本テレビ「ニュースゼロ」などに出演。
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