世界各国が保有する「金(GOLD)」について

2019/08/29

世界共通の資産である「金(GOLD)」。かつては通貨として用いられたり、各国の貨幣価値の基準にもなりました。個人が宝飾品として、また投資などを目的として金を保有するのと同様に、世界各国でも準備資産として金を保有しています。今回はそんな各国の金保有事情について触れてみたいと思います。
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なぜ世界各国が金を保有するのか

「金(GOLD)」は、いにしえより人類にとって、その希少性の高さや他の金属と比べ経年劣化がほぼ無いことから珍重され、時の権力者の富や権力の象徴として用いられてきました。また、見た目の美しさから宝飾品として、価値のある金属として金貨や小判などの通貨に使われたり、近代における金本位制の時代には世界の通貨価値も、各国において共通価値であった金が基準で決まっていました。
1970年代後半に先進国の通貨の金本位制は終焉しますが、国際金融や為替相場の安定化を目的に設立された国連の専門機関であるIMF(国際通貨基金)の体制下において、加盟国の政府・中央銀行(国の金融の中心となる機関)は、輸入代金・対外債務返済等の支払い、国際通貨不均衡の是正、為替相場介入などのために、一定比率以上の外貨や金の資産を保有する義務を有することになりました。この資産のことを「準備資産」や「外貨準備」と言い、保有している金を「金準備(gold reserve)」と言います。
つまり、なぜ世界各国が金を保有するのかというと、国の破産や世界的企業の倒産、テロや戦争などで世界的に経済が不安定なった場合、IMF加盟国(2018年時点189カ国)は、国家の信用や財政資源の保険として世界共通の安全資産である金を保有して準備しておく義務があるからなのです。
ちなみに、2018年時点において日本は、IMF(国際通貨基金)への運営費出資国第2位であり、単独で理事を選出し、総務は財務大臣、総務代理は日本銀行総裁が担当しています。
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世界における金保有量のトップ10とは

前述でも紹介したIMF(国際通貨基金)ですが、その役割は加盟国の経済状況が悪化した場合に金融支援をしたり、為替相場の安定などを目的としています。そのため金においても各国家や公的機関の保有量を定期的に監視し、ランク付けをして発表しています。
また、その世界各国の中央銀行や公的機関の金保有量のデータは、金の国際調査機関であるワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)より提供されています。
それでは、「世界の中央銀行・公的機関の金保有量トップ10」を見ていきたいと思います。
ちなみに中央銀行とは、国家の金融システムの中核となる機関で、日本ですと「日本銀行(現在流通している紙幣や硬貨も日本銀行が発行する「銀行券」「貨幣」です)、アメリカですとFRB(連邦準備制度理事会)、イギリスはイングランド銀行、ドイツはドイツ中央銀行、ユーロ圏はECB(欧州中央銀行)が該当します。
ワールド・ゴールド・カウンシル発表のデータによると、2019年6月時点での世界全体の金保有量は34076.88トンで、
1位 アメリカ 金の保有量(金準備):8133.46トン(うち外貨準備に占める金の割合:75.8% )

2位 ドイツ 金の保有量(金準備):3366.77トン(うち外貨準備に占める金の割合:71.7% )

3位 IMF(国際通貨基金) 金の保有量(金準備):2814.04トン(うち外貨準備に占める金の割合:なし )

4位 イタリア 金の保有量(金準備):2451.84トン(うち外貨準備に占める金の割合:67.4% )

5位 フランス 金の保有量(金準備):2436.07トン(うち外貨準備に占める金の割合:62.2% )

6位 ロシア 金の保有量(金準備):2206.99トン(うち外貨準備に占める金の割合:19.3% )

7位 中国 金の保有量(金準備):1926.53トン(うち外貨準備に占める金の割合:2.7% )

8位 スイス 金の保有量(金準備):1040.00トン(うち外貨準備に占める金の割合:5.8% )

9位 日本 金の保有量(金準備):765.22トン(うち外貨準備に占める金の割合:2.6% )

10位 インド 金の保有量(金準備):618.16トン(うち外貨準備に占める金の割合:6.6% )
※2019年6月末時点での世界全体の中央銀行と公的機関の金保有量ランキング上位10より抜粋

また、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表した2018年末のレポートによれば、
金の産出国トップ3は
1位 中国 約400トン
2位 オーストラリア 約310トン
3位 ロシア 約295トン

金埋蔵量トップ3は
1位 オーストラリア 約9800トン
2位 南アフリカ 約6000トン
3位 ロシア 約5500トン

金の消費需要国トップ3は
1位 中国 約976.7トン
2位 インド 約760.4トン
3位 アメリカ 約156.5トン

以上になりますが、金の保有量に関してIMF以外の上位4カ国は、外貨準備に占める割合が高いことが見受けられます。また、2018年の目的別需要の割合は、宝飾品50.6%、工業7.7%、投資26.7%、公的機関15.0%という内訳が発表されています。

日本の金保有量について

前述の金保有量トップ10をご覧になりお気づきの点はなかったでしょうか?そう、「日本はなぜこんなに金保有が少ないのか」という点です。しかも、外貨準備に占める金の割合も2.6%(2019年6月末時点)と低さです。
実は、ともに第二次世界大戦の敗戦国であり、アメリカの支援を受け戦後に国を経常黒字にした日本・ドイツとの違いにも表れています。戦後の経常黒字によって生まれた利益で、日本は米国債を買い、ドイツは金を買ってきた差が今になって出ているようです。
一般に中央銀行や国にとって、金は国債・通貨を保有する代わりであり、外貨準備の金は為替介入や対外債務返済のための資金になります。
また近年は、世界的にみても新興国を中心に金の保有量を増やす傾向にあります。それは、今までなら稼いだ利益を基軸通貨の米ドルに変え米国債として保有し運用していましたが、米ドル・ユーロ・日本円ともに安定しないため、通貨の代わりに金を保有し外貨準備に充てようと考えています。
逆に日本は、米国債の保有規模が大きくなりすぎて売れず、外貨準備として金を買いたくても買えない状況と言われています。

各国の「金保有(金準備)」事情

金保有(金準備)においてIMF以外のアメリカ・ドイツ・イタリア・フランスの上位4カ国はもちろんのこと、ここ数年ロシア・中国・トルコ・コロンビア・エクアドル・ポーランドなどの国も、まとまった量の金を買い増しする傾向が見られます。
また、ドイツにおいては、国外に保管している金674トン(3兆3千億円相当)を自国内で保管するため、2020年末までにインゴット(金塊)を本国に移送するとのことです。

世界各国の中央銀行がこぞって金を買い、相場が高騰している要因として、米中貿易摩擦やイギリスのEU(欧州連合)離脱問題などの経済不安、中東アジアにおける紛争問題など、世界情勢が不透明なっていることが挙げられます。
裏を返せば、「有事の備えは金」といわれる現物資産の金に、各国が国家財政の安定性を守るため注目するのは当たり前の結果と言えるでしょう。
なぜなら、先進国であれ発展途上国であれ、金は万国共通の「価値」だからなのです。
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