ダイヤモンドの4Cとは?
2016/10/16
ダイヤモンドの価値や品質は「4C」という基準によって評価されます。
そのため、4Cについて知っておくと、ダイヤモンドを選ぶ際に役立ちます。
今回は、ダイヤモンドを品質によってグレードを分ける「4C」についてご紹介しましょう。
1つめのC -カラット
「カラット」(略字でct)は宝石の重量を表す単位です。
1カラットは0.200グラムと定められており、精密な電子天秤を用いて測定されます。
カラットの語源は「カロブ(イナゴ豆)」に由来すると言われています。
それは古来、カロブの実の一個の重量が、大体0.2グラムであった事から、宝石取引の際に分銅として使われていたためです。
通常は1.35ctというように、小数点第3位までを鑑定書に記載されます。
また、カラットの補助単位として、「ポイント」という単位があります。
1カラット=100ポイントとして使われています。
現在までに発見されたダイヤモンドの原石で、世界最大の物は、約3100カラット。
鉱山所有者の名前から取って、「カリナン」と名付けられたこの世界最大の原石は、イギリス王室に寄付されました。
あまりに巨大だったため、9個の大きな石と、96個の小さな石に分けてカットされ、大きい9個にはそれぞれ「カリナンⅠ~Ⅸ」と名付けられました。
その9個のダイヤモンドの中でも、最も大きいのは、「カリナンⅠ」で、530.20カラット。
これが、世界最大のダイヤモンドで、その別称に「アフリカの星」と名付けられ、現在もイギリスの、タワー・オブ・ロンドンに保管されています。
一般的に、カラット数が大きければ大きいほど、希少で、価値も高まります。
しかし、同じカラット数でも後述する他の3C(カラー、クラリティ、カット)の組み合わせで、価値も変わってきます。
ただ、闇雲にカラット数の大きい物だけに絞って選ぶ事はせずに、指輪なら自分の手との、総合的なバランスを考えながら選ぶ事をオススメします。
2つめのC -カラー
ダイヤモンドは透明であるように思われていますが、実は無色から薄い黄色といった、自然色が付いています。
これは、内部にある不純物に色が付いているためで、無色のものより薄い黄色がかった物の方が希少価値は下がります。
カラーの等級にはD~Zまであり、Dがほぼ白色、一番高いランクです。
その色味の違いは極めて微細なため、素人目に判断する事は不可能。
熟練した専門家が、理想的な明かりや温度の下で、厳密に判別しているのです。
価値だけで決めてしまう事はナンセンスですが、D~G、Iくらいまでは、国際的に無色と認定されるランクとされています。
そしてそのランクを境に価値も大きく違ってきます。
このランクを境に、肉眼でも色味が判別出来るレベルになってくるからです。
さて、無色のダイヤモンドの価値を強調してきましたが、実はダイヤモンドは無色から薄い黄色以外にも、様々な天然色の付いたダイヤモンドがあるのです。
ピンク、ブルー、グリーン、パープルなどの種類があり、これらは「ファンシーカラーダイヤモンド」と呼ばれ、希少価値がとても高い物も多く存在します。
ちなみに「ブルーダイヤモンド」は奇跡のダイヤモンドと言われており、「ホープダイヤモンド」というダイヤモンドが有名です。
しかし、その「希望」という名前とは裏腹に、その持ち主に次々と不幸をもたらしたという、少し怖い逸話を持っています。
カラーは個人によって好みが分かれやすいので、財産性を求めるならばDにより近いものを選ぶといいでしょう。
また、アクセサリーとしてのデザイン性を重視するならば、自分の好みに合った色合いのダイヤモンドを選ぶ事をオススメします。
3つめのC -クラリティ
「クラリティ」とはダイヤモンドの透明度を示す基準です。
実際は透明度というよりも、結晶化されていない炭素や、不純物の有無、小さなひび割れ、キズの有無等を鑑定します。
ダイヤモンドは天然物ですから、こうした不純物や傷等はどうしても避けがたく、これらがダイヤモンドの透明度を下げる要因になっています。
「クラリティ」の精査は訓練を受けた「グレーダー」と呼ばれる専門家が、10倍のルーペを用いて、効果的な照明を使い分けて行います。
キズ等を「ブレミッシュ」、内部の不純物やひび割れの事を「インクルージョン」と言い、ブレミッシュやインクルージョンの数や位置、色や大きさなどを総合的に判断して、「クラリティグレード」が定められます。
10倍のルーペで見て、ブレミッシュ、インクルージョンが無いものを「FL(フローレス)」といい、無傷とされるので、最高のランクとされています。
最高ランクから順に並べると、「IF(インタナリーフローレス)」、「VVS1」「VVS2」「VS1」「VS2」「SI1」「SI2」「I1」「I2」「I3」という順になります。
それぞれ、とても細かく基準が分けられていますが、最低ランクの「I3」になると照明なしでも肉眼で見える顕著なインクルージョンがあり、ダイヤモンド自体の耐久性を脅かす可能性があるのでご注意下さい。
ちなみに、「VS2」以上のクラリティグレードは、素人の肉眼では分らないレベルですので、選ぶ目安にはなるかと思います。
しかし、価値を下げるマイナスイメージのブレミッシュやインクルージョンも、天然のダイヤモンド特有の個性、指紋のような物です。
キズも含めて、大切に思えるようなダイヤモンドに出合える事が、一番の幸せでは無いでしょうか。
4つめのC -カット
「カット」とは、ダイヤの原石から宝石に変える研磨技術に対する評価を示す基準です。
今までご紹介した3Cの評価は、ダイヤの石そのものの評価であった事に対して、カットは研磨職人の腕への評価、即ち人間の技術に対する評価です。
どれほど、素晴らしい原石を手に入れたとしても、カット次第でその価値は激減してしまいます。
最新の技術と経験によって、バランス良くカットされたダイヤモンドは、その輝きと価値を増幅させてくれるのです。
現在、ほとんどのダイヤモンドには、「ラウンド・ブリリアントカット」という58面のカットが施されています。
この技術は、ロンドンで家族代々ダイヤモンドカッターを継いできた職人、トルコフスキー・マーセルによって生み出されました。
ダイヤモンドカッターでありながら数学者でもあったトルコフスキー・マーセルは、最もダイヤモンドを美しく見せるカットプロポーションを数式で示し、「ラウンド・ブリリアントカット」を証明し、生み出したのです。
その後、アメリカの研磨業者の手によって研究が重ねられ、現在の「ラウンド・ブリリアントカット」が完成を見るのです。
カット技術の評価は「カットグレード」で表します。
「Ideal」を最高ランクとして、順に「Excellent」「Very Good」「Good」「Fair」「Poor」と並びます。
ここではご紹介しきれないくらい、カットには様々なデータや要素がありますが、お店に並んでいるダイヤモンドのほとんどは「Good」以上の物です。
また、「Very Good」以上のカットグレードのダイヤモンドは、記載や広告を避ける事は通常ありません。
そのため、どれだけ良い広告文句が並べられていたとしても、カットグレードの記載が無い場合、カットグレードは「Good」以下の可能性があり、大きく価値や輝きが下がる物の場合があります。
ここでご紹介した4Cのデータが書きこまれた鑑定書がダイヤモンドの客観的価値になります。
悪徳なダイヤモンドの広告等では、カラットの大きさだけを強調したりすることが多く見られます。
しかし、正しい4Cの目と知識を持って納得出来るダイヤモンド選びをすれば、きっとあなたの特別なダイヤモンドが見つかると思います。