金鉱脈の発見から金の採掘まで、こうやって金はできあがる
2015/08/14
宝飾品や芸術品、また財産の一部として、長い歴史の中で人類に愛されて、珍重されてきた金。
21世紀となった現在でも未だ多くの人々を魅了し続けています。
ところで、金という非常に高貴で美しい輝きをもつ金属は、一体どうやって作られているのでしょうか。
そこで金の鉱脈を発見する方法から金の採掘方法まで、金が出来上がっていく過程について紹介します。
日本でも古くから採取されている金
地球上の様々な場所で金が採取されていますが、この日本でも金は古くから採取されています。
例えば、佐渡島に金鉱山があるということを、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
近年でも北海道の弟子屈町で金が含まれた鉱石が発見されて話題になっています。
地球レベルで見ると国土がさほど広くない日本には、貴重な鉱物があるというイメージはありませんが、この国にはまだまだ金が眠っている可能性があるのです。
金鉱脈を探すチェックポイント
金を作るためには、まずは原料となる金が眠っている鉱脈を探さなければなりません。
とはいえ世界各国に比べると国土が狭い日本で、闇雲に探すのは至難の業です。
そこで金の鉱脈を探すときには2つのポイントから絞る方法がいいと言われています。
1つめは「川」。東京の多摩川や金沢の犀川などでも古くから金の採取が行われています。
このように川に存在するのが、いわゆる「砂金」です。
2つめは温泉です。とはいえ、私たちが気持ちよく浸かっているお湯の中にあるというわけではありません。
金鉱脈がある温泉には一定の条件があるということも、近年研究結果が出ています。その条件というのは、塩素を多く含む温泉地。
そこには「浅熱水性金銀鉱床」がある可能性が高いからです。
では、この「浅熱水性金銀鉱床」というものはどのようなものなのでしょうか。
これはマグマが上昇した火山帯で作られるもので、マグマの中から溶け出した金や銀が含まれた熱水が、さらに上昇することで温度が急激に下がり、金や銀の鉱脈が出来るという状態を指しています。この中に、金が含まれているということです。
ちなみにこのような鉱脈から採取されたものは「山金」と呼ばれています。
金を採取する方法
金の鉱脈を見つけたら、いよいよ金の採取。
川金である砂金にしても、鉱石の中にある山金にしても、ほかの元素と結合した化合物となってしまう銀や銅に比べて、金は比較的単体で存在していることが多く、これは通称「自然金」とも呼ばれています。
砂金の場合、川の砂に混じっているものを採取しますが、鉱石に含まれている山金を採取するのは、少し手間がかかるようです。
山金は鉱石の中に大きな粒の自然金が存在していることは少なく、大抵は鉱石の中の石英や炭酸塩の中に、肉眼では見えないようなごく少量の金が混じっています。
ではそんな目に見えない金を採取するのはどのようにしているのでしょうか。
金の産出国として有名な南アフリカの主な金鉱山では、金が反応を示す水銀を使用してアマルガウムという合金にし、それを加熱することで金だけを取り出すという方法を取っているそうです。
ただし、大きな設備が不要なものの、水銀毒性に懸念があります。
近代的な鉱山の場合は採算面も考え、銅の溶鉱炉に金と銅の鉱石を同時に入れ、まずは銅を取り出し、次に銀、最後に電解して金を取り出すという方法が主流となっています。
金がザクザク出る「ゴールドラッシュ」という夢は、広大な国土を持つ国の話という印象がありますが、日本は火山帯も全国に渡って存在しており、温泉地も数多く存在します。
昔から金も産出されていますので、条件の合う温泉地さえ見つかれば、もしかしたら本物の「黄金の国・ジパング」となるのも夢ではないかもしれない、そんな期待をこれからも持ってしまいそうです。