合成ダイヤモンドはどう作られるのか?

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大嶋 雄介
著 者

大嶋 雄介

2010年にゴールドプラザに入社し、千葉店の店長として3年間で月間売上の最高記録を達成。鑑定士としてのキャリアをしっかりと積み上げました。その後、集客の戦略構想やSNSを活用したPR活動をしながら、リサイクル業界への深い理解と経験を積みました。現在は貴金属の換金業務に従事し、金融相場や市場動向の分析を通して緻密な専門知識を深化させています。BSテレ東「なないろ日和」などに出演。

天然のダイヤモンドが地中で数百万年かけて生成されるのに対し、人工的に作られたのが「合成ダイヤモンド」です。結晶構造や物理的特性も天然とほぼ同じで、現在ではジュエリー用途にも広がりを見せています。

合成ダイヤモンドと人工ダイヤモンドの違い

「合成ダイヤモンド」は、炭素を基に人工的に結晶化させたもので、「人工ダイヤモンド」と呼ばれることもあります。天然とは異なり、数週間程度で製造できるのが特徴です。


合成ダイヤモンドの製造方法

合成ダイヤモンドはどう作られるか-コラム2

高温高圧法(HPHT法)

天然ダイヤモンドが生成される地球内部の環境を再現した方法です。高温・高圧の装置内で炭素を結晶化させ、1955年にGE社が商業的合成に成功した歴史があります。

化学気相蒸着法(CVD法)

低圧・高温の環境下で炭素ガスを分解し、ダイヤモンド種結晶に炭素を蒸着させる製法。複数の結晶板を同時に成長させられるため、量産にも適しています。

その他の製法

超音波法や爆発法も研究されていますが、商業化には至っていません。


合成ダイヤモンドの主な用途

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工業用・医療用ダイヤモンド

切削工具やドリル、研磨材に使用されるのは、ダイヤモンドの高い硬度を活かしたもの。単結晶・多結晶など用途に応じて使い分けられています。

放熱・吸熱部品への応用

高い熱伝導性と絶縁性を持つため、半導体や電子機器の放熱部品(ヒートシンク)に使用され、精密機器の熱暴走防止に役立っています。

宝石としての合成ダイヤモンド

1970年代以降、宝石品質の合成ダイヤモンドの生成が進み、1980年代にはジュエリー市場でも流通。天然との判別が難しいほど品質が向上し、鑑別技術も発展しています。


ジュエリーとしての合成ダイヤモンドの魅力

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合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドの違い

宝石用には単結晶が使われます。多結晶は輝きに劣るため、工業用が主流です。天然では希少なカラーダイヤモンドも、合成なら自在に色付けが可能です。

模造ダイヤモンドとの違い

キュービックジルコニアなどの模造品はダイヤモンドとは化学組成も物性も異なるため、合成ダイヤモンドとは全くの別物です。


まとめ

合成ダイヤモンドは、天然にはない生産効率と多様な用途で注目を集めています。希少性という価値では天然に劣るものの、その特性と技術力は、未来のジュエリー市場や産業用途に欠かせない存在となるでしょう。

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